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魔法少女アンナ #1

 その日、とある建物の屋上で事件が起こり、人造魔法少女であるアンナがその現場へと向かうことになりました。

 エレベーターに乗ったアンナは魔法の筆記具“マジカルスタイラス”を使ってペン回しをしながら屋上に辿り着くまでの時間を潰していました。

 しばらくしてアンナの乗ったエレベーターはその建物の屋上へと辿り着きました。

 エレベーターから降りたアンナが塔屋から出てみると、そこには警官達と戦うハリケーンキャプターの姿がありました。

「ハアッ!」ハリケーンキャプターは両手に持つ小刀で最後に残っていた警官の一人を倒しました。

「ん……?」ハリケーンキャプターがアンナに気付きました。

「何者だ?」ハリケーンキャプターが言いました。

「僕はアンナ、魔法少女さ。」アンナが言いました。

「魔法少女……?」ハリケーンキャプターが言いました。「警察の仲間か?」

「そうさ。君を阻止する為に派遣された。」アンナが言いました。

「この……!」ハリケーンキャプターが魔法で空気を手裏剣へと変化させてアンナに向けて飛ばしました。

 ハリケーンキャプターの放った空気の手裏剣がアンナの左腕に直撃しましたが、アンナは少し怯んだだけですぐに体勢を立て直しました。

「君の目的は何?何故こんなことをしているの?」アンナが言いました。

「目的だと……?決まっている!全てのカードを手に入れて最強の存在となる!それが俺の目的だ!」ハリケーンキャプターが言いました。

「どうやってカードのことを知ったの?その腕輪はどこで手に入れたの?」アンナが言いました。

「俺がこのカードを見つけた時、黒いフードを被ったヤツが俺の前に現れて、それが何かを教えてくれたのさ!マジカルキャプトライザーもソイツがくれた!」ハリケーンキャプターが言いました。

「その人は何者なの?」アンナが言いました。

「知らん!そんなことはどうでも良い!俺はこのカードを手にした時に悟った、俺こそが最強になるべき存在だと!そしてそうなる為にはもっとカードを集める必要がある!」ハリケーンキャプターが言いました。

「残念だけどそうはならない、僕が君を阻止するから。」アンナが言いました。

「黙れ!」そう言ってハリケーンキャプターが空気の手裏剣を飛ばしました。

 アンナは右手に持ったマジカルスタイラスで空中に円を描きました。するとアンナの描いたその円が一時的に魔法の壁となって実体化し、ハリケーンキャプターの攻撃を防ぎました。

「何……!?」ハリケーンキャプターが言いました。

 さらにアンナがマジカルスタイラスで途中で直角に曲がった一本の線を描くと、その線が魔法の拳銃となって実体化しました。そしてアンナはその拳銃を左手で構えてハリケーンキャプターに向けて撃ちました。

「ウアッ……!」ハリケーンキャプターが怯みました。

「何だその力は……!?」ハリケーンキャプターが体勢を立て直しながら言いました。

「これが私の魔法。」アンナが言いました。

「おのれ……!」そう言ってハリケーンキャプターがアンナに切りかかりました。

 アンナはマジカルスタイラスで垂直に交差した二本の直線を描きました。すると、それらの直線が魔法の剣となって実体化し、ハリケーンキャプターの攻撃を弾きました。

 アンナはそのまま左手で魔法の剣を持ってハリケーンキャプターに切りかかりました。

 ハリケーンキャプターはジャンプしてアンナの攻撃をかわし、背後へと回り込みました。そして再び小刀で切りかかりましたが、アンナは身を反らせてその攻撃をかわすと、ハリケーンキャプターを切りつけました。

「ウオッ……!」ハリケーンキャプターが怯みながら後退しました。

 さらにアンナが空中に無数の小さな円を描くと、それらの円が魔法弾となった実体化し、ハリケーンキャプターに向かって飛んでいきました。

「ウアアアアアアアッ……!」ハリケーンキャプターは無数の魔法弾を受けてふっ飛ばされました。

 ハリケーンキャプターはそのまま屋上から落下し、倒れました。

 アンナはゆっくりと屋上の端へと歩き、通りを見下ろしました。そこには変身を解除したハリケーンキャプターが倒れていました。

 そこへ、応援の警官達がやって来ました。警官達は状況を察し、屋上の端へと集まり始めました。

 アンナは警官達とは逆に、変身を解除しながら塔屋へと戻っていきました。


 警察署ではヨウコがポリーと話をしていました。

「Xの身柄が魔法庁に拘束されたって話は本当なの?」ポリーが言いました。

「ええ、本当よ。」ヨウコが言いました。「魔法庁の連中、Xを確保する為にアサルトライフルで私達を攻撃して来たのよ。」

「噂には聞いてたけど、本当にメチャクチャな連中ね。」ポリーが言いました。

「後もう一息でアイツを倒すことが出来たのに……!」ヨウコが言いました。

「でも、それはそれで良かったのかも知れないわ。」ポリーが言いました。「これであなたもキャプターに集中出来るでしょ?」

「そんな……!私は……!」ヨウコが言いました。

「考えてみて。もう、Xはいないのよ?」ポリーが言いました。

「X……。」ヨウコが言いました。

「クイーンが私達の為に人造魔法少女を作ってくれたわ。」ポリーが言いました。

「人造魔法少女……?」ヨウコが言いました。

「その子の力も合わさればキャプターの撲滅も時間の問題になるわね。」ポリーが言いました。

「そんな子がいるならもう私の力なんか必要無いんじゃ……?」ヨウコが言いました。

「えっ……?ヨウコ、何を言っているの?」ポリーが言いました。

「少し……考える時間が欲しいのよ。」ヨウコはそう言ってその場を離れていきました。

「ヨウコ……。」ポリーが言いました。


 アンナはクイーンの庭園に訪れました。

 そこには人間のような容姿を持つ妖精“クイーン”が佇んでいました。

「クイーン。」アンナが言いました。

「アンナ。」クイーンが言いました。「どうでしたか、初めてキャプターと戦ってみた感想は?」

「キャプターの持つカードの力は強力ですが、今回戦ったキャプターはその力を完全に使いこなせてはいない様子でした。それ故に今回の戦いは然程苦しいものではありませんでした。」アンナが言いました。

「そうですか。」クイーンが言いました。「それで、キャプターについて何か情報は得られましたか?」

「はい。キャプターは魔法のカードの力をマジカルキャプトライザーというアイテムで自身の力としているようです。そして、キャプターとなった人間は精神が蝕まれ、カード収集に執着するようになるようです。また、何者かがマジカルキャプトライザーをカードを手にした人間に渡しているらしいのですが、その人物が何者なのか、何の目的でそのようなことを行っているのかは分かっておりません。その謎の人物に関する不明点を明らかにしていくことがキャプターの謎を解き明かす糸口になると考えられます。」アンナが言いました。

「えっと……。」クイーンが言いました。「次からはもう少し情報を小分けにして話してくれませんか?」

「私の会話に問題があったのでしたら申し訳ありません。」アンナが言いました。

「私は大丈夫ですけど……一般的に複数の情報を相手に伝えたい場合は一つずつ、相手の様子を確認しながら話すものなのですよ。」クイーンが言いました。「勿論私は大丈夫ですけど……。」

「以後気をつけます、クイーン。」アンナが言いました。

「アンナ。あなたは私が魔法で作り出した人造魔法少女です。厳密には人間とは異なる存在なのかも知れませんが、私はあなたに人間として生きていくことを望んでいるのですよ。」クイーンが言いました。

「その点は重々承知しているつもりです。」アンナが言いました。

「しかしあなたの言動はその……人間らしくないというか、とても不自然に思えます。」クイーンが言いました。

「どういう意味でしょうか?」アンナが言いました。

「機械的過ぎるのですよ。あなたの会話はあのケイトリン以上に機械的なのです。」クイーンが言いました。

「現在の僕の言動は理想的では無いということは理解しました。改善に努めます。」アンナが言いました。

「まず、その僕という表現……人間の少女は普通そんな風には言いませんよ。」クイーンが言いました。「そんなことを言うのは一部の変人だけです。」

「分かりました。」アンナが言いました。

「他にも具体的に指摘したい点は多々あるのですが、その為に時間を割くのも勿体無いですし、あなたの能力なら自力で学習出来る筈ですので敢えて指摘は行わないことにします。」クイーンが言いました。

「ご期待に沿えるよう努力します。」アンナが言いました。

「人間らしく振舞うことも大事ではありますが、とにかく今最も優先すべき目標はキャプターによる事件を根絶することです。ポリーが人手不足を訴えていますので、これから本格的に警察庁への協力を行ってください。」クイーンが言いました。

「はい。」アンナが言いました。

「警察と共に世界の平和を守るのです。」クイーンが言いました。

「お任せ下さい。」アンナが言いました。「ところで……。」

「何でしょうか?」クイーンが言いました。

「私の報告した内容は理解して頂けたと認識して問題ありませんでしょうか?」アンナが言いました。

「え……?」クイーンが言いました。

「いえ……会話の内容から不安を感じたものですから……。」アンナが言いました。「私の勘違いでしたら申し訳ありません。」

「あー……。謎の人物が暗躍しているという話でしたよね?」クイーンが言いました。

「はい。」アンナが言いました。

「その人物の正体を突き止めなければならないと……?」クイーンが言いました。

「そうです。」アンナが言いました。

「大丈夫ですよ、勿論。」クイーンが言いました。

「安心しました。」アンナが言いました。

「警察庁にはポリーが見つけた魔法少女が一人います。その魔法少女と共にその謎の人物を追うのです。」クイーンが言いました。

「はい。」アンナが言いました。

「くれぐれも人間らしい振る舞いを心掛けて下さい。」クイーンが言いました。「さもないときっとその魔法少女と協力する上で支障をきたすことでしょう。」

「最善を尽くします。」アンナが言いました。

 そして、クイーンとの会話を終えたアンナはクイーンの庭園を後にしました。


 おわり

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