魔法少女X #3
その日、ミチコの部屋の呼び鈴がなりました。
ミチコがドアを開けると、そこにはツバキが立っていました。
「やあ、ミチコ。」ツバキが言いました。
「また来たの?」ミチコが言いました。
「新しいプランだ。協力して貰えないかな?」ツバキが言いました。
「構わないわ。」ミチコが言いました。
「良いね!」ツバキが言いました。
「それで、今度は何を盗み出せば良いワケ?」ミチコが言いました。
「とある人物を盗み出して欲しい、警察からね。」ツバキが言いました。
「警察……?」ミチコが言いました。
「ああ!」ツバキが言いました。
「なるほど……。」ミチコが言いました。「人を盗むのは初めてだけど、まあ、やってみるわ。」
「それでこそミチコ、魔法少女Xだね!」ツバキが言いました。
「ところで、警察から連れ出すそのとある人物って何者なの?」ミチコが言いました。
「名前はラン。当然、犯罪者さ、私達と同じくね。」ツバキが言いました。
「ふーん……。」ミチコが言いました。
「計画はシンプルに行こう。夜中に警察署を襲撃して留置場からターゲットを連れ出す。前回と同じ要領で行けるハズさ。」ツバキが言いました。
「前回はかなり危なかったけどね。」ミチコが言いました。
「まあ……確かに……。」ツバキが言いました。
「それに、前回みたいな特殊能力の使い方は良くないって学んだわ。」ミチコが言いました。「魔力の消費が大き過ぎてそれだけで死にそうになったもの。」
「それは……良くないな。」ツバキが言いました。
「上手くやるならもっと別のプランが必要よ。」ミチコが言いました。
「平気さ。」ツバキが言いました。
「えっ……?」ミチコが言いました。
「警察はSSS程警備が厳しくない。正面から挑んでも何とかなるさ。」ツバキが言いました。
「確かにSSSの警備チームは明らかに強過ぎたとは思うけど……。」ミチコが言いました。
「大丈夫!君ならきっと上手くやれるさ!」ツバキが言いました。「なんたって君はあのXなんだから……!」
「Xって……警察が便宜的につけたただの呼び名でしょ……?」ミチコが言いました。
「それじゃあ、降りるのかい?」ツバキが言いました。
「いや、やるわ。」ミチコが言いました。
「おお!」ツバキが言いました。
「失敗しても、気を落とさないでね?」ミチコが言いました。
「君なら平気さ!」ツバキが言いました。
その日の夜、ミチコは魔法のバイクを隠した路地へ行きました。
「変身!」魔法のバイクの前でミチコは変身しました。
そしてミチコは魔法のバイクに乗って警察署を目指しました。
その頃、とある通りを歩いていたシオンの前にその魔法少女が姿を現しました。
「ん……?」シオンが足を止めて言いました。
「ちょっと、手を貸して欲しくてね。」その魔法少女が言いました。
「良いだろう。」シオンが言いました。
シオンはマジカルテックモバイルを取り出すと、変身アプリを起動しました。するとマジカルテックモバイルから音楽が鳴り出しました。
「変身!」シオンがそう言うと、マジカルテックモバイルから鳴っていた音楽が止まり、「Change」の電子音声が発せられると同時にシオンが以前その魔法少女と話していたもう一人の魔法少女に変身しました。
「フッフッフッフッ……!」その魔法少女が言いました。
シオンはマジカルテックモバイルの乗り物召喚アプリを起動してマジカルテックサイクルを召喚し、それに乗りました。
「それじゃ、先に行っててくれるかな?」その魔法少女が言いました。「私はもう少し準備を整えてから行くことにするよ。」
「ああ。」シオンが言いました。
そしてシオンはそのままマジカルテックサイクルを走らせました。
ミチコは魔法のバイクに乗ったまま警察署の入口を突き破り、中へと突入しました。
そして留置場へと辿り着いたミチコはランのいる部屋の前へと辿り着きました。
「あなたがランね?」ミチコが言いました。
「あなたは……?」ランが言いました。
「X……それで分かるかしら?」ミチコが言いました。
「分からないけど、助けに来てくれたのね。」ランが言いました。
「そんなところよ。」そう言ってミチコはマジカルピストルでその部屋の扉を壊しました。
そこへヨウコと多数の警官達が駆けつけてきました。
「あなたは……!」ミチコの姿を見てヨウコが言いました。「X……!」
「まった会ったわね。」ミチコが言いました。
「SSSを襲ったかと思えば今度は警察署まで……!許せないのよ!」ヨウコが言いました。
「許されないことをしているのは分かっているわ。一応、悪いとは思っているのよ。」ミチコが言いました。
「ウソよ!」ヨウコが言いました。
「さあ、行くわよ!」ミチコがランに言いました。「乗って!」
「ええ!」そう言ってランはミチコの後ろに乗りました。
ミチコはヨウコと警官達のいる方へ向かって魔法のバイクを走らせました。
「ちょ……!」ヨウコが言いました。
ヨウコと警官達は慌てて魔法のバイクをかわしました。ミチコとランを乗せた魔法のバイクはそのまま警察署の出口へ向かって走っていきました。
「逃がさないのよ!」ヨウコが言いました。
「変身!」ヨウコが変身し、走り出しました。
ミチコとランは警察署の外へと出ました。
ミチコは警察署から離れた場所で魔法のバイクを止めました。
「上手く行ったわね。」ミチコが言いました。
「ええ。」そう言ってランは魔法のバイクから降りると、走ってその場を去りました。
「さてと……。」ミチコが言いました。
そこへヨウコが魔法のバイクに乗って近づいてきました。
「逃げ切れると思わないでよ!」ヨウコが言いました。
「やっぱり来たわね。」そう言ってミチコは再び魔法のバイクを走らせました。
「容疑者がいない……!」ヨウコが言いました。
「ランならもういないわ!残念だったわね!」ミチコが言いました。
「そんなことはどうでも良いのよ!私の狙いはX、あなたなのよ!」ヨウコが言いました。
「それは良かったわね。」ミチコが言いました。
「行くのよ!」そう言ってヨウコは魔法の稲妻を放ってミチコに攻撃を仕掛けました。
ヨウコの放った魔法の稲妻がミチコの乗る魔法のバイクの周囲に直撃して地面から火花が吹き上がり、ミチコが怯みました。
「くっ……!相変わらずやるわね!」ミチコが言いました。
「これで終わりじゃ無いのよ!」ヨウコが言いました。
「どういう意味?」ミチコが言いました。
「この白バイはポリーがカスタマイズした私専用の物で、周囲の電源から電力を集める機能が搭載されているのよ!」ヨウコが言いました。
「えっ……?」ミチコが言いました。
その瞬間、周囲の電線から稲妻が発せられ、ヨウコに直撃しました。
「ビリビリ来るのよ!」ヨウコが言いました。
「電気を……吸収してる……!?」ミチコが言いました。「電気を出すだけじゃ無くて取り込むことも出来るのね!」
「ハアッ!」ヨウコが魔法の稲妻を放ちました。
「アッ……!」ミチコが魔法の稲妻を受けて怯みました。
ミチコは尚も体勢を立て直し、魔法のバイクを走らせ続けました。
「何て威力……!」ミチコが言いました。
「今の攻撃を受けてもまだ倒れないなんて……しぶといのよ!」ヨウコが言いました。
「あれだけの攻撃を繰り出すにはかなりの魔力が必要だったハズ……!でも……!」ミチコが言いました。
「そうよ!」ヨウコが言いました。
その瞬間、再び周囲の電線から稲妻が発せられ、ヨウコに直撃しました。
「蘇る蘇る!これで私の魔力は上がったのよ!」ヨウコが言いました。
「特殊能力を使っても魔力が減らないなんて……!これじゃあ勝ち目が無い!」ミチコが言いました。
「そうよ!クズに生き残る道なんて無いのよ!」ヨウコが言いました。
「くっ……!」ミチコが言いました。
「ハアアアッ!」ヨウコが魔法の稲妻を放ちました。
「アッ……!」ミチコは魔法の稲妻を受けました。
そしてミチコの乗った魔法のバイクは転倒し、ミチコは路上へと投げ出されました。
「トドメよ!」そう言ってヨウコはそのままヨウコに向かって魔法のバイクを走らせていきました。
その瞬間、マジカルテックサイクルに乗ったシオンが現れ、ヨウコに体当たりしました。
「ウウッ……!」ヨウコは魔法のバイクから落下し、ヨウコの乗っていた魔法のバイクは建物に激突して大破しました。
シオンはその場にマジカルテックサイクルを止め、そこから降りました。
「あ……あなたは……!?」地面に倒れ込んだままヨウコが言いました。
「うう……!」ミチコも倒れ込んだままシオンを見ました。
「私はシオン。魔法庁の魔法少女だ。」シオンが言いました。
「魔法庁……?」ミチコが苦しそうに呟きました。
「魔法庁……!何故私の邪魔を……!?」ヨウコが立ち上がりながら言いました。
「さあな。」シオンが言いました。
「Xを捕まえて予算を得ようとしているのでしょうけど、そうは行かないのよ!Xは私が処刑するのよ!」ヨウコが言いました。
そこへ多数の警官達がパトカーで集まって来ました。
「良いところに来たのよ!」ヨウコが言いました。
「チッ……!」シオンが言いました。
「アイツらは全員犯罪者なのよ!捕らえるのよ!」ヨウコが言いました。
警官達がシオンに襲い掛かろうとしました。
「残念だけどそこまでだ。」そう言ってその魔法少女が魔法の突撃銃を手に姿を現しました。
「な……!」ヨウコが言いました。
「今度は……誰……?」ミチコが言いました。「その銃は……!」
「来たか、ツバキ。」シオンが言いました。
「ツバキ……!?」ミチコが言いました。
「フッフッフッフッフッフッフッ……!」ツバキが魔法の突撃銃を構えました。
「に……逃げるのよ……!」そう言ってヨウコはパトカーの裏に身を隠しました。
その瞬間、ツバキが魔法の突撃銃を撃ち始めました。
ツバキの放つ魔法弾を受けて警官達は次々と倒れていきました。
「ハッハッハッハッハッハッハッ……!」ツバキは魔法の突撃銃を撃ち続けました。
「行くぞ!」そう言ってシオンはミチコを起こし、そのまま遠くへと連れていきました。
遠く離れた通りでミチコとシオンは足を止めました。
「ツバキ……。シオン……。あなた達は一体……?」ミチコが言いました。「政府の人間なの……?」
「ああ。」シオンが言いました。
「犯罪者じゃ無かったのね。」ミチコが言いました。
「我々は平和の為に活動している。」シオンが言いました。
「正義の味方ってワケね。」ミチコが言いました。
そこへツバキがシオンの乗っていたマジカルテックサイクルでやって来ました。
「我々のことを喋り過ぎだな、シオン。」ツバキが言いました。「我々は本来隠された組織だろう?」
「どうせバレていた。」シオンが言いました。
「そういう問題じゃ無いだろう。」ツバキが言いました。
「私は……これからどうなるの?」ミチコが言いました。
「どうにもなりはしないさ。君のおかげでランも救出出来たし、私達はそれで満足だよ。これからはパートナーの妖精と共にまたコソ泥でもすると良い。」ツバキが言いました。
「それで良いの?」ミチコが言いました。
「ああ。」シオンが言いました。
「今回の計画の報酬は後日振り込んでおくよ。それと、何かあったらまた声を掛けるかも知れないな。」ツバキが言いました。
「私のような……ただの犯罪者で良ければいつでも協力するわ。」ミチコが言いました。「尤も、その時にはもう処刑されてるかも知れないけどね。」
「精々無事なことを祈ってるよ。」ツバキが言いました。
おわり