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魔法少女カエデ #6

 その日、長期休暇中のカエデは町の中にあるホテルの一室で飲み物を飲みながらくつろいで過ごしていました。

 そこへケイトリンが訪ねてきました。

「やあ、ケイトリン。」カエデはそう言ってケイトリンを迎え入れました。

「およそ一ヶ月ぶりですね、カエデ。」ケイトリンが言いました。

「何かあったの?」カエデが言いました。

「いえ、特には……。キャプターの問題は殆ど解決しましたし、どちらかと言うと平和ですね。」ケイトリンが言いました。

「そっか……。と言うことは、個人的な用事……?」カエデが言いました。

「それ程大したことでは無いのですが……。久しぶりにカエデの顔が見たくなって……。」ケイトリンが言いました。

「ありがとう、ケイトリン。」カエデが言いました。

「いえ……。」ケイトリンが言いました。

「そう言えば、ケイトリンはキャプターの件が片付いたらクイーンの元に戻るってウワサされてるけど、やっぱりそのつもりなの?」カエデが言いました。

「いや……。私は魔法庁に残ろうと思っています。」ケイトリンが言いました。

「そうなの?」カエデが言いました。

「はい。ですので、もしかしたらまた一緒に仕事が出来る日が訪れるかも知れませんね。」ケイトリンが言いました。

「そうなったら良いね。」カエデが言いました。

「はい。」ケイトリンが言いました。


 とある建物の屋上に一人の少女が佇んでいました。

 その少女は腕に闇の腕輪“ダークチェンジャー”をつけていました。

「変身!」その少女がそう言うと同時にダークチェンジャーから「Change」と電子音声が発せられ、その少女は暗黒少女へと変身しました。


 とある通りを一人の学生が浮かない様子で歩いていました。

 その学生の前にその少女が姿を現しました。

「えっ……?」その学生が足を止めて言いました。

「あなた……心に闇を抱えているわね?」その少女が言いました。

「な……!」その学生が言いました。

「その心の闇、利用させて貰うわ。」その少女が言いました。

 その少女は“ミラー”のカードを取り出すと、その学生の前で掲げました。

「ああっ……!」その学生が言いました。

「鏡面に映りし心の闇よ、怪人となりてその姿を現せ!」その少女がそう言うと同時に、“ミラー”のカードから怪しげな光が発せられました。

「ウワアアアアアアッ……!」その光を浴びてその学生が言いました。

 その瞬間、一体の暗黒鏡人が誕生し、その学生は意識を失いました。

「試験なんてイヤだ。世界が滅べば良いのに……。」その暗黒鏡人が言いました。


 カエデはケイトリンと共に街中を散策していました。

 カエデとケイトリンが歩いていると、大きな物音が聞こえてきました。

 カエデとケイトリンがその物音が聞こえて来た方へ向かうと、そこにその暗黒鏡人がいて、通りを破壊していました。

「これは……!?」カエデが言いました。

「ハアッ!」その暗黒鏡人が掌から暗黒弾を放ちました。

 その暗黒鏡人が放った暗黒弾が停められていた車に直撃し、その車が爆発しました。

「闇の力のようですね。」ケイトリンが言いました。

「えっ……?」カエデが言いました。

「あの怪人は闇の魔法によって生み出されたもののようです。」ケイトリンが言いました。

「闇の魔法……。」カエデが言いました。

「変身!」カエデが変身し、その暗黒鏡人の前に立ちました。

「誰だ!?」その暗黒鏡人が言いました。

「私はカエデ、魔法少女だよ。」カエデが言いました。

「魔法少女……?俺を倒しに来たのか?だがそうは行かない!俺はこの世界を破壊する!」その暗黒鏡人が言いました。

「どういうこと?」カエデが言いました。

「俺は勉強なんてしたくない!でも、勉強をしなければ試験の成績は上がらない!成績が上がらなければ親に叱られる!俺は叱られたくない!この世界には俺にとって嫌なことしか無い!だったら破壊するしかない!」その暗黒鏡人が言いました。

「勉強……?試験……?」カエデが言いました。「まるで学生みたい……。」

「そうさ!俺は学生さ!お前だってそうなんだろう?だったらこの俺の言うことが分かるハズだ!」その暗黒鏡人が言いました。

「いや……。」カエデが言いました。

「貴様……さては優等生だな?」その暗黒鏡人が言いました。

「えっ……?」カエデが言いました。

「お前のような勉強好きがいるから俺のような勉強嫌いが相対的に悪く見られるんだ!ならば殺すしかない、お前を!」その暗黒鏡人が言いました。

「どうやらあの怪人は学生の持つ心の闇を反映して作り出されたもののようです。」ケイトリンが言いました。

「心の闇……。」カエデが言いました。

「死ね!」その暗黒鏡人がカエデに暗黒弾を放ちました。

「フッ!」カエデが魔法の刃を放って暗黒弾を防ぎました。

「くっ……!」その暗黒鏡人が言いました。

「残念だけど、私は学校に行けなかったから君の気持は理解出来ない。でも、勉強が嫌いでそのことを周囲から責められているとしても、それで世界を壊そうとするなんて間違ってるよ!」カエデが言いました。

「俺を否定するな!学校に行ってないお前に俺を否定する権利は無い!俺にはもう……こうすることしか出来ないんだ!」その暗黒鏡人が言いました。

「そんな……。」カエデが言いました。

「説得は不可能です、あの怪人は闇の力で生み出されているのですから。」ケイトリンが言いました。

「確かに……。」カエデが言いました。

「それに、もしカエデが学校に通っていたらきっと優等生だったと思います。」ケイトリンが言いました。「生徒会長にもなれたかも知れませんね。」

「ええ……?」カエデが言いました。

「お前を殺す!そしてこの世界を破壊する!」その暗黒鏡人が言いました。

「いいや!心の闇を力としてもこの私は倒せない!私の魔法で君を倒す!」カエデが言いました。

「ウオオオオオオオッ!」その暗黒鏡人が闇の剣を召喚し、それを右手で掲げながら言いました。

 カエデが右の拳に魔法の刃を生成し、構えました。

「お前を殺してやる!」そう言ってその暗黒鏡人が走り出しました。

 カエデも走り出しました。

 カエデとその暗黒鏡人が魔法の刃と闇の剣の刃を何度もぶつけ合いました。その後、二人は魔法の刃と闇の剣の刃とをぶつけ合ったまま睨み合いました。

「俺がこの苦しみから解放されるには、この世界そのものを破壊するしか無いんだ!」その暗黒鏡人が言いました。

「いいや!破壊なんてしなくたって世界は変えられる!」カエデが言いました。

「それは優等生の発言だ!俺みたいな落ちこぼれにはどうすることも出来ないんだよ!」その暗黒鏡人が言いました。

「私は優等生なんかじゃないよ、元々の攻撃力だって低いし。そのせいで何度か死にそうな目にも遭った。でも、私は私に出来ることを頑張りたい!」カエデが言いました。

「な……!」その暗黒鏡人が言いました。

 カエデは闇の剣を弾くと、キックを繰り出しました。

「ウアッ……!」その暗黒鏡人がカエデのキックを受けて後退しました。

「くっ……!」その暗黒鏡人が体勢を立て直しました。

「怪人の攻撃力が下がっています。今がチャンスです。」ケイトリンが言いました。

「うん!」そう言ってカエデが魔法の刃を消滅させてマジカルムーブを発動しました。

「あっ……!」その暗黒鏡人が言いました。

「マジカルエッジアタック!」カエデが右腕に生成した魔法の刃でその暗黒鏡人を切りつけました。

「ウアアアアアアアッ……!」その暗黒鏡人はカエデの攻撃を受けて爆発しました。


 近くの建物の屋上からその少女がカエデとその暗黒鏡人の戦いの様子を見ていました。

「あの程度の心の闇では魔法少女を倒すまでは行かなかったみたいね。でも、挨拶代わりにはなったわ。フフフ……!」その少女が言いました。


「勝った。」そう言ってカエデが変身を解除しました。

「さすがですね、カエデ。」ケイトリンが言いました。

「ありがとう。」カエデが言いました。

「でも、ちょっとだけ誤解を招く言い方をしてましたね。」ケイトリンが言いました。

「えっ……?」カエデが言いました。

「確かにカエデは苦戦していた時期もあったと聞いていますが、その頃でも十分な成果を挙げて周囲から期待されていたハズです。」ケイトリンが言いました。

「いや……そんなことは……。」カエデが言いました。

「少なくとも、周りからその実力のせいで責められることは無かったでしょうから、ちょっとだけあの怪人を騙しましたね。」ケイトリンが言いました。

「そんなつもりは……。」カエデが言いました。

「いかにも優等生な発言で、良かったと思います。」ケイトリンが言いました。

「参ったな。」カエデが言いました。

「それにしても、ここへ来て闇の力がまた脅威となるとは……。」ケイトリンが言いました。

「そうだね。」カエデが言いました。

「それに闇の魔力の根源はおそらくマジカルカードです。」ケイトリンが言いました。

「マジカルカード……?」カエデが言いました。

「はい。私の魔法で分析してみたところ闇の力とマジカルカードの魔力が組み合わさって闇の魔法が発動されたと推測されます。」ケイトリンが言いました。

「そうだったんだ。」カエデが言いました。

「とは言うものの、これはどちらかと言えば闇の力寄りの問題ですので、最近新しく発足された闇の力に対する防衛チームがメインとなって解決に当たるべき問題でしょう。」ケイトリンが言いました。

「私もそのチームに加わった方が良いかな?」カエデが言いました。

「休暇も大事だと思いますよ。」ケイトリンが言いました。

「世界の平和が脅かされているのに休暇なんて……。それに、休まなきゃいけないにしても、それが終わったら……。」カエデが言いました。

「それなら私の方からもカエデがそのチームに加われるよう上に掛け合ってみましょう。最終的には上の判断にはなりますけど……。」ケイトリンが言いました。

「ありがとう、ケイトリン。」カエデが言いました。

「この件の報告も任せて下さい。カエデは上からの指示があるまで休んでて下さいね。」ケイトリンが言いました。

「うん。分かった。」カエデが言いました。


 おわり

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