魔法少女サクラ #1
魔法庁に所属する魔法少女であるサクラはその日、上司であるシオンに呼び出されていました。
「君には新しく結成された“闇の力に対する防衛チーム”に加わって貰いたい。」シオンが言いました。
「闇の力に対する防衛チーム……?」サクラが言いました。
「文字通り、闇の力に対抗する為の専門チームだ。」シオンが言いました。
「そんなものが結成されたんですね。」サクラが言いました。
「実力者を選んでメンバーに加えてはいるが、実際に闇の勢力と戦ったことのある者はいない。君の経験がチームにとって役に立つハズだと私は思っている。」シオンが言いました。
「分かりました。やってみます。」サクラが言いました。
その後サクラは闇の力に対する防衛チームの部屋を訪れました。
そこには一人の少女がいました。
「ん……?」その少女が言いました。「ひょっとして、アンタがサクラかい?」
「えっ……?」サクラが言いました。「うん。」
「ウワサには聞いてんよ。超優秀な魔法少女なんだって?」その少女が言いました。
「君は……?」サクラが言いました。
「よくぞ聞いてくれたね!アタシはアザミ!このチームの破壊担当さ!」その少女が言いました。
「アザミ……。破壊担当?」サクラが言いました。
「そうさ!ブッ壊したいモンがあんなら言ってくれればいつでもブッ壊してやんよ!」アザミが楽しそうな笑みを浮かべて言いました。
「うん。それはそうと、他のメンバーは……?」サクラが言いました。
「さあね。みんな自由奔放だからね。まっ、アタシも人のこと言えた義理じゃないケドね!」アザミが言いました。
そこへもう一人の少女が静かに姿を現しました。
「あっ……!」サクラが驚いて言いました。
「おっ!現れたね、キリ!」アザミが言いました。
「キリ……?」サクラが言いました。
「この子は暗殺担当のキリさ。」アザミが言いました。
「えっと……私はサクラ……。」サクラが言いました。
「知ってるってば。」キリが表情を変えずに言いました。
「そっか。」サクラが言いました。「これからもよろしく……。」
「おう。」キリが言いました。
そこへさらにもう一人の少女が姿を現しました。
「皆さんお揃いでしたのね。」その少女が言いました。
「ん……?」サクラが言いました。
「来たな、エリカ!」アザミが言いました。
「エリカ……?」サクラが言いました。
「そっ!攪乱担当さ!」アザミが言いました。
「その何とか担当って言うの好い加減止めませんか?実態にそぐわない表現ですよ。」エリカが言いました。
「良いじゃん、なんかノリが良くてさ。」アザミが言いました。
「そもそも何で担当とか決め始めたワケ……?」サクラが言いました。
「えっと……確か……キリのせいじゃ無かった?」アザミが言いました。
「えっ……?」サクラが言いました。「キリの……?」
「キリは魔法少女になる以前からずっと周りのみんなに将来は暗殺担当になるに違いないって言われていたのです。」エリカが言いました。
「確かに……なんか暗殺者っぽい……。」サクラが言いました。
「それでチームに暗殺担当がいるなら他の担当も決めなきゃいけないんじゃないって流れになったワケよ。」アザミが言いました。
「なるほど……。」
「どうせだったら私はリーダーを担当させて頂きたいですね。」エリカが言いました。
「は?リーダーにするんだったらアタシでしょ!?」アザミが言いました。
「貴方私にケンカを売っているのですか?」エリカが言いました。
「上等だよ!こうなったらどっちがリーダー向きかバトルで決めるしか無いね!」アザミが言いました。
「望むところです!」エリカが言いました。
「まあまあ二人共落ち着いて……。」サクラが言いました。
「サクラの言う通りだってば……。」キリが言いました。
「いや、この際だからバトルしてみるってのはアリかも知んないよ?」アザミが言いました。
「えっ……?」サクラが言いました。
「訓練だよ!訓練!その為の場所がちゃんとあんでしょ?」アザミが言いました。
「確かにこの建物には訓練場が用意されてるけど……。」サクラが言いました。
「良いですね。せっかくですからここにいるみんなでバトルをしてみるのも面白いと思いますよ。」エリカが言いました。
「おう。」キリが言いました。
「よし!四人いるなら2VS2のタッグバトルだ!」アザミが言いました。
「タッグバトル……!」サクラが言いました。
四人は訓練場へと移動しました。
「よし!まずはチーム分けだね!」アザミが言いました。
「と言うか、他のメンバーにも会っときたいんだけど……。」サクラが言いました。
「気にしない気にしない!その内会えるって!」アザミが言いました。
「まあ、しょうがないか。」サクラが言いました。
「そんじゃあグッパーだ!」アザミが言いました。
「掛け声は……?」サクラが言いました。
「ジャスに決まってんでしょ!」アザミが言いました。
「分かった。」サクラが言いました。
「グッパージャス!」そう言って四人がそれぞれグーとパーのいずれかの手を出しました。
その結果、サクラとアザミ、キリとエリカがそれぞれ組むことになりました。
「よろしくな、サクラ!」アザミが言いました。
「行くぞ!」サクラが言いました。
「よろしくお願いしますね、キリ。」エリカが言いました。
「おう。」キリが言いました。
「フィールドはどうする?」アザミが言いました。
「そっか。この訓練場では魔法でフィールドを生成することが出来るんだっけ?」サクラが言いました。
「せっかくですからここは新しく加わったばかりのサクラに決めて貰うというのはどうでしょう?」エリカが言いました。
「おう。」キリが言いました。
「それじゃあお言葉に甘えて……。」サクラが言いました。
「盛り上がるヤツ頼むよ!」アザミが言いました。
「よし、決めた!“月夜の都市-ムーンライトシティ”発動!」サクラがそう言うと同時に魔法で周囲が月夜の都市部にある通りへと変化しました。
「おっ!なんか良い感じに盛り上がってきたじゃんか!」アザミが言いました。
「それじゃあ始めましょうか?」エリカが言いました。
「変身!」四人が同時に変身しました。
「出でよ我が刃!マジカルクレイモア!」アザミが魔法の剣“マジカルクレイモア”を召喚しました。
「ハアアアアアアアッ!」アザミがマジカルクレイモアを構えて走り出しました。
「無駄です!」そう言ってエリカが三体の分身達を召喚しました。
「くっ……!」アザミが足を止めて周囲を取り囲むエリカとその分身達を見回しました。
「分身した!アレがエリカの特殊能力……!?」サクラが言いました。
エリカとその分身達がアザミに殴り掛かりました。
アザミはエリカとその分身達の攻撃をかわしながらマジカルクレイモアを振り回しました。
その瞬間、魔法の苦無“マジカルクナイ”を手にしたキリがサクラの背後に回り込みました。
「あっ……!」サクラがキリに気付きました。
「フッ!」キリがマジカルクナイでサクラを切りつけようとしました。
サクラはキリの攻撃をかわしました。
「くっ……!」そう言ってサクラは拳を構えました。
「ハアアアッ!」サクラが拳に魔力を纏わせキリにパンチを繰り出しました。
キリは魔法の煙幕を発生させると同時にその場から姿を消しました。
「消えた!」サクラが言いました。「特殊能力か……!」
キリがサクラの背後に姿を現し、マジカルクナイで攻撃を仕掛けました。
「くっ……!」サクラがキリの攻撃をかわしました。
キリが素早くサクラから距離を取ってマジカルクナイを構え直しました。
「この子……出来る!」サクラが言いました。「さすがは暗殺担当……!」
アザミがマジカルクレイモアでエリカの分身達を全滅させました。
「どうやら最後に残ったアンタが本物みたいだね!」アザミが言いました。
「私の分身攻撃を凌ぐとは……やりますね。」エリカが言いました。
「まだまだこんなもんじゃないよ!」アザミが言いました。
「それは私も同じですよ!」そう言ってエリカは魔法の扇“マジカルファン”を召喚しました。
「行くよ私の必殺技!」そう言ってアザミがマジカルムーブを発動しました。
「爆ぜよ!マジカルデモリション!」アザミがそう言うと同時にエリコの周囲に置かれている物が次々と爆発し始めました。
「これは……!?」サクラが言いました。
「アザミのマジカルムーブ……。」キリが言いました。
「アザミは爆発を起こす特殊能力を持っていたのか。」サクラが言いました。
「マジカルウォール!」エリカがマジカルファンを振って自身の周囲に魔法の壁を生成し、爆発から身を守りました。
「そんなバリア、私の力で破壊してやんよ!」アザミが言いました。
さらに激しく爆発が起こりました。
「くっ……!」エリカが言いました。
その瞬間、周囲の建物が歪み始めました。
「あっ……!」サクラが言いました。
「しまった!フィールドが持たない!」アザミが言いました。
アザミは攻撃を中断しました。
そして周囲が元々の状態に戻りました。
四人は変身を解除しました。
「チェッ。どうやら私達が本気でバトルするにはこの訓練場は脆すぎるみたいだね。」アザミが言いました。
「あなたがムチャし過ぎただけです。」エリカが言いました。
「フィールドを攻撃しないでよね。」サクラが言いました。
「しょうがないじゃんか、私は任意の地点に爆発を起こせる能力を持ってるけど、マジカルデモリションは無生物を爆破することで威力を発揮する技なんだから。」アザミが言いました。
「それにしたってやり過ぎだってば……。」キリが言いました。
「ほっとけエセ忍者。」アザミが言いました。
「あのさ……。」キリが言いました。
「中断にはなってしまいましたが、お互いの実力を確かめ合うことが出来て良かったのではありませんか?」エリカが言いました。
「確かにね。」サクラが言いました。「この調子で残りのメンバーとも知り合って良ければ良いんだけど……。」
一人の少女が四人の様子を陰から見ていました。
「サクラ……ね。」そう言ってその少女が不敵な笑みを浮かべました。
おわり