魔法少女モエ #8
その日、モエは時計塔でオインクとカエデとケイトリンとフウと話をしていました。
「ケイトリンと話してみて、SSSに反撃した方が良いって結論に達したんだ。」カエデが言いました。
「私達の目的はキャプターの根絶です。キャプターを生み出す力の源をSSSが保有している今、SSSを攻撃することこそが目的達成の為の近道であると思いました。」ケイトリンが言いました。
「確かに……。」フウが言いました。
「SSSから賄賂を受け取ってこの間の襲撃の件を水に流すのが政府の方針だけど、今回はその方針に背くつもりだよ。」カエデが言いました。
「不問に付す流れか……。」モエが言いました。
「魔法庁とSSSは元々険悪な関係にあるし、SSSが魔法庁に攻撃を仕掛けてたとしてもそこまで大事にはならないんだよね。」カエデが言いました。
「逆に言えばここで私達が反撃を仕掛けてもやっぱり大事にはならなくなるワケか……。」モエが言いました。
「そういうことです。」ケイトリンが言いました。
「とは言うものの、向こうには私達からの反撃を受けても返り討ちに出来る自信があって攻撃を仕掛けてきたワケだから、本来ここで反撃を仕掛けるのはあまり良い手とも言えないんだよね。」カエデが言いました。
「でも、ここで大人しくするのは温いと……?」モエが言いました。
「シュンコの影響かな?」カエデが言いました。
「良いんじゃないですか?」モエが言いました。
「オインク。」オインクが言いました。
「でもどうしよう?スイはこの間の戦いですっかり消耗してるし……。」フウが言いました。
「やはりあのマジカルチェンジャーを扱うのは難しかったみたいですね。」ケイトリンが言いました。
「SSSが確実に世界の平和を脅かす存在になったワケじゃ無いから、他のメンバーの協力を仰ぐことも出来ないよね。」モエが言いました。
「一応、協力してくれる魔法少女に心当たりはあるんだ。」カエデが言いました。
「Xのことかな?」そう言いながらツバキが姿を現しました。
「ツバキ……。」カエデが言いました。
「確かに……ミチコとハルナの協力があれば、あのレオにも打ち勝てるかも知れないね。」ツバキが言いました。
「うん。」カエデが言いました。
「でも、相手はレオ一体じゃない。」ツバキが言いました。
「私にも知り合いがいます!」モエが言いました。
「ん……?」ツバキが言いました。「シュンコのことかな?」
「違うんですけど、きっと力になってくれるハズです!」モエが言いました。
「この町に来てまだそんなに経って無いのに、随分と人脈が広がったものだね。」ツバキが言いました。
「はい。」モエが言いました。
「それじゃあ私はもう一度シュンコに会って、この間の返事を聞いてみようかな?」ツバキが言いました。
「はい!」モエが言いました。
警察署の屋上にヨウコが佇んでいました。
「アンナ……この事件、私が決着をつけてみせるのよ!」ヨウコが言いました。
フウはスイが休んでる部屋を訪れました。
スイはベッドの上で横になっていました。
「調子はどう、スイ?」フウが言いました。
「フウ……。」スイが言いました。
「私達でSSSを攻撃することになったんだ。」フウが言いました。
「みんなで……?」スイが言いました。
「うん。」フウが言いました。
「だったら私も……!」そう言ってスイは起き上がろうとしましたが、起き上がることは出来ませんでした。
「無理しないで、スイ、私達だけで大丈夫だから。」フウが言いました。
「えっ……?」スイが言いました。
「大丈夫!私達だけでSSSの野望を阻止してみせる!」フウが言いました。
「だからスイはここで休んでて!」そう言ってフウは部屋を出ました。
「私の力は……必要無いの?」スイが言いました。
カエデはハルナのアジトを訪れました。
そこにはミチコとハルナがいました。
「やあ、ミチコ、ハルナ。」カエデが言いました。
「あなたは……。」ミチコが言いました。
「カエデちゃん!」ハルナが言いました。
「珍しいわね、わざわざこっちに顔を出すなんて。」ミチコが言いました。
「頼みたいことがあるんだ。」カエデが言いました。
「やっぱりね。」ミチコが言いました。
「新しい仕事だね!」ハルナが言いました。
「で、どんな仕事……?」ミチコが言いました。
「SSSを攻撃しようと思ってるんだけど、力を貸して貰えないかな?」カエデが言いました。
「SSSを……?」ミチコが言いました。
「いつものヤツだね。」ハルナが言いました。
「いや、ツバキが頼むようなこととは違う。今回はSSSの本社を襲撃するんだ。」カエデが言いました。
「SSSの本社……?」ハルナが言いました。
「そう。だからきっとSSSも本気で迎撃してくるよ。」カエデが言いました。
「狙いは何?」ミチコが言いました。
「世界の平和。SSSが保有する危険な力を奪取、もしくは破壊するんだ。」カエデが言いました。
「ふーん……。」ミチコが言いました。
「どうする、X?」ハルナが言いました。
「あんまりやる気しないわね。SSSとはこれまで何度かやり合ってるけど、あの会社の本気なんて見たくないわ。」ミチコが言いました。
「そっか……。」カエデが言いました。「それは残念だよ。」
「私は協力しても良いよ。」ハルナが言いました。「報酬次第だけどね。」
「それは十分用意するよ。」カエデが言いました。
「じゃあ、決まりだね。」ハルナが言いました。
「本気なの?」ミチコが言いました。
「うん。」ハルナが言いました。「ミチコちゃんこそ、ホントにやらないの?」
「どうかしら?まあ、気が向いたらやってあげても良いわ。」ミチコが言いました。「気が向いたらね。」
「待ってるよ。」カエデが言いました。
モエはとある建物の屋上でタマコに会いました。
「遂にその時が来たのね?」タマコが言いました。
「うん。SSSと決着をつけるよ。」モエが言いました。
「ええ。」タマコが言いました。
「改めて聞くけど、力を貸して貰える?」モエが言いました。
「SSSは大企業。その力は私なんかには計り知れないわ。でも、たとえ無謀な戦いであったとしても、挑まなければならない時があると思うの、世界の平和を守る為に。」タマコが言いました。「力を貸すわ。」
「ありがとう。」モエが言いました。
エリコのセーフルームでツバキとシュンコが話していました。
「カエデ達がSSSに反撃を行うことにしたみたいだよ。」ツバキが言いました。
「フッ。ようやくやる気になったようね。」シュンコが言いました。
「君も力を貸してみたらどうだい?」ツバキが言いました。
「それはどうかな?」シュンコが言いました。
「協力しないつもりかい?」ツバキが言いました。
「私はエリコよ。エリコと政府が手を組むって言うの?」シュンコが言いました。
「良いんじゃ無いかな?政府とエリコの関係も変化しなきゃいけない時期なのさ。」ツバキが言いました。
「そうかも知れないわね。」シュンコが言いました。
「それじゃ、その時が来たらよろしく頼むよ。」ツバキが言いました。
「ええ。」シュンコが言いました。
ツバキがその場を離れました。
「マルコ……私は政府と手を組むことにしたわ。許して貰えるかしら?いや、あなたは元々そうするつもりだったわよね。私もそうすることにしたわ。」シュンコが言いました。
SSSの本社ではレオが新たに作り出した人造魔法少女“アーク”にユイの魔力を注ぎ込んでいました。
レイコはその様子を見ていました。
「現在アークにはマジカルカードのオリジナルの魔力が投入されている。用意した魔力が全て投入された時、アークは新たな魔法少女として変身し、最強の軍事兵器となる。」レオが言いました。
「最強の軍事兵器……。」レイコが言いました。
「アークの力で我が社は世界最大の企業となる訳だ。」レオが言いました。
「はい。」レイコが言いました。
「レイコ、外の警備を固めるのだ。或いは、魔法庁が攻撃を仕掛けてくるかも知れない。」レオが言いました。
「分かりました。」レイコが言いました。
ヨウコがとある通りからSSS本社を見つめていました。
ミチコがハルナのアジトを出て行こうとしました。
「時計塔に行くの?」ハルナが言いました。
ミチコが足を止めました。
「そんなワケ無いでしょ。」ミチコが言いました。
「焦らすの好きなの?」ハルナが言いました。
「なんか重要な仕事みたいだし、あっさりオーケーしちゃったらつまんないじゃない。」ミチコが言いました。
「良い趣味してるね。」ハルナが言いました。
「まあでも、さすがに死ぬかも知れないわね。」ミチコが言いました。
「そしたら墓地で発動する能力を使うしかないね。」ハルナが言いました。
「それってチートじゃない?」ミチコが言いました。
「だよね。」ハルナが言いました。
「ま、とにかく私は行くわ。」そう言ってミチコはハルナのアジトを後にしました。
モエは時計塔に戻って来ました。
オインクとカエデとケイトリンとフウがいました。
「オインク?」オインクが言いました。
「上手く行ったよ。協力してくれるって……。」モエが言いました。
「良かった。味方は一人でも多い方が嬉しいよ。」カエデが言いました。
「カエデさんの方はどうでした?」モエが言いました。
「二人いる内の一人は協力を約束してくれたよ。もう一人は……まだ分からないかな。」カエデが言いました。
「ハルナだけでも大きな戦力です。勝機は十分あると思います。」ケイトリンが言いました。
「後はツバキさんか……。」フウが言いました。
そこへツバキがやって来ました。
「おっと……。待たせちゃったかな?」ツバキが言いました。
「ツバキさん。」モエが言いました。
「どうだった?」カエデが言いました。
「勿論オーケーさ。」ツバキが言いました。
「シュンコも仲間に加わってくれるんだね!」モエが言いました。
「あの圧倒的な力があれば、勝てるかも……!」フウが言いました。
「きっと勝てるよ!」モエが言いました。
おわり