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魔法少女アンナ #5

 その日、アンナはヨウコと共に魔法の車で山道を移動していました。

「それにしてもどうしてスターリード学園の校長は急にこちらに情報を寄越してきたのよ?」ヨウコが言いました。

「想像がつきません。」アンナが言いました。

「それに、この山道を進んでいけば情報が手に入るかも知れないって言われたけど、一体この奥に何があるって言うのよ?」ヨウコが言いました。

「あの校長が私達を騙しているとは思えません。本当に何かあるのかも知れませんよ。」アンナが言いました。

「それなりの成果があれば良いんだけど……。」ヨウコが言いました。


 アンナとヨウコはとある山荘へと辿り着きました。

「どうやらここのようです。」アンナが言いました。

「山荘……こんなところに?」ヨウコが言いました。

「行ってみましょう。」アンナが言いました。

「そうね。」ヨウコが言いました。

 ヨウコが呼び鈴を鳴らしました。すると扉が開いて一人の少女が姿を現しました。

「警察なのよ。話を聞かせて貰いたいのよ。」ヨウコが言いました。

「奥へどうぞ。」その少女が言いました。


 アンナとヨウコはその少女に連れられてその山荘の奥へ進みました。

 そこには校長がいました。

「アンタ……。」ヨウコが言いました。

「スターリード学園の校長……。」アンナが言いました。

「よく来てくれたね。」校長が言いました。

「わざわざこんなところに呼び出して、一体何なのよ?それにその子は何……?」ヨウコが言いました。

「私の学校の生徒さ、元だけどね。」校長が言いました。

「スターリード学園の元生徒……。」アンナが言いました。

「そう。ムーンだ。」校長が言いました。

「ムーン……?ムーンってあの……?」アンナが言いました。

「そう。最強のスターカード“ムーン”だ。」校長が言いました。

「行方不明というのはウソだったのね。」ヨウコが言いました。

「そうだ。“ムーン”は私が匿っている。尤も、“サン”が行方不明というのは事実だが……。」校長が言いました。

「なるほど……。」アンナが言いました。

「ウソはもう一つある。」校長が言いました。

「今度は何……?」ヨウコが言いました。

「クロウについてだ。」校長が言いました。

「クロウって……スターカードを作ったって言う……。」ヨウコが言いました。

「そうだ。」校長が言いました。

「クロウに関しては名前しか知らないと言っていましたが、まさか……。」アンナが言いました。

「それ以外のことも知っている。全てを知っているとも言えるな。」校長が言いました。

「つまり……。」アンナが言いました。

 その瞬間、校長がカラスの姿をした妖精“クロウ”へと姿を変えました。

「私がクロウだ。」クロウが言いました。

「そんな……!」ヨウコが言いました。

「そういうことでしたか。」アンナが言いました。

「ヨウコ、アンタコイツの正体見抜けたなかったの?」ヨウコが言いました。

「私の分析能力は変身した状態で機能しますので……。」アンナが言いました。

「むう……。」ヨウコが言いました。

「それにしても、あなたがクロウだったとは……。」アンナが言いました。

「私は私の犯した過ちを正す為に人間に手を貸した、正体を隠してね。」クロウが言いました。

「それで、どうして私達に正体を明かしたの……?」ヨウコが言いました。

「アンナ、君は私から何か参考になる話が聞けるかも知れないと言っていたね?」クロウが言いました。

「ええ。」アンナが言いました。

「そのことについて私も考えてみた。」クロウが言いました。

「それで、参考になる話があるの?」ヨウコが言いました。

「お願いします、どんな話でも構いません。」アンナが言いました。

「私もマジックカードについては多少調べていてね。凄いカードだ。私も魔法のカードを作り出したが、あのカードを作り出すにはかなりの魔力が必要となる。何者かは分からないが、マジックカードを作り出した人物は強大な魔力の持ち主であることは間違いない。」クロウが言いました。

「強大な魔力……。」ヨウコが言いました。

「その人物に心当たりは……?」アンナが言いました。

「強大な魔力を持った人物なら何人か知っている。だが、魔力を持っているだけでは魔法のカードは生み出せない。」クロウが言いました。

「そうなの?」ヨウコが言いました。

「素質だよ。魔法のカードを生み出すだけの素質を持っていなければどれ程の魔力を有していたとしても魔法のカードを想像することは出来ないのだよ。」クロウが言いました。

「素質……。」アンナが言いました。

「その素質を持った人物に心当たりはあるの……?」ヨウコが言いました。

「やはり……妖精だろうか……?妖精は魔法のアイテムを作り出す能力に長けているからね。」クロウが言いました。

「確かに、過去にスターカードとやらを作ったアンタも妖精なのよね。」ヨウコが言いました。

「でも、人間の中にもその素質を持ち合わせた者が存在していないとも限らない。」クロウが言いました。

「人間にも……?」アンナが言いました。

「勿論、普通の人間には不可能だ。そう……レベルX……。レベルXの人間になら或いはそれが出来るかも知れないな。」クロウが言いました。

「レベルX……。」アンナが言いました。

「計測不能ってこと……?」ヨウコが言いました。

「それで、それらの条件に合致する人物に心当たりは……?」アンナが言いました。

「無い訳では無いが、個人的にはシロだと思っていてね……君達に教えるのは気が引けるな。」クロウが言いました。

「今更何言ってるのよ。ケチケチしないでとっとと教えなさいよ。」ヨウコが言いました。

「ならまず一人教えてあげよう。アンナ……君だ。」クロウが言いました。

「あっ……。」アンナが言いました。

「アンナ……?アンタ一体何言ってるのよ?アンナがそんなことするハズが……!」ヨウコが言いました。

「言っただろう、個人的にはシロだと思っていると。だが、私の提示した条件にアンナは見事合致している。レベルXで強大な魔力を有している。もし君がカードを生み出している張本人なのだとしたら皮肉だな。キャプターを追う為のクイーンの切り札が、カードをキャプターを生み出す元凶ということになる。」クロウが言いました。

「だからアンナがそんなことするハズが……!」ヨウコが言いました。

「本人に自覚が無くとも、内なる魔力に支配され、無意識の内にカードを創造している可能性もある。魔力というものに常識は無い。」クロウが言いました。

「確かにあなたの言う通りです。でも、私はシロです、私が作られたのはキャプターが出現した後ですから。」アンナが言いました。

「た……確かにそうよ。」ヨウコが言いました。

「ならシロかも知れないね。」クロウが言いました。

「はい。」アンナが言いました。

「他に誰がいるの?」ヨウコが言いました。

「まだ聞きたいと思うのかね?」クロウが言いました。

「それが我々の仕事です。」アンナが言いました。

「ならこうしよう。ムーン。」クロウが言いました。

「はい。」そう言ってムーンが魔法のアイテム“マジカルリーダー”を取り出しました。

「それは……?」ヨウコが言いました。

「マジカルリーダー、アイドルマジカルの為のアイテムさ。スターカードを読み取る力がある。」クロウが言いました。「そして……。」

「まさか……!」アンナが言いました。

 ムーンが“ジョーカー”のカードを取り出してマジカルリーダーに読み込ませました。

 その瞬間、「アイドルタイム!スタンバイ!」という電子音声と共にムーンがマジカルアイドルへと変身しました。

「これは……!」ヨウコが言いました。

「彼女は元々アイドルマジカルだからね。」クロウが言いました。

「なるほど。」アンナが言いました。

「アンナ、変身して彼女と戦うんだ。もし彼女を倒したら君達が欲しがっている情報を渡そう。勿論、そのカードもだ。」クロウが言いました。

「えっ……?」アンナが言いました。

「何を……?」ヨウコが言いました。

「私が彼女と戦って勝てば……情報を貰えるのですか?」アンナが言いました。

「でも、そうなったら彼女は……。」ヨウコが言いました。

「忘れたのかい?彼女はカードだ。人間じゃない。君が攻撃を躊躇う理由は何も無い。」クロウが言いました。「さあ、変身して彼女を倒すんだ。」

「私は……。」アンナが言いました。

「アンナ……?」ヨウコが言いました。

 アンナは変身しようとして止めました。

「出来ません。」アンナが言いました。

「アンナ……。」ヨウコが言いました。

「ほう……。何故……?」クロウが言いました。

「分かりません。」アンナが言いました。

「最強のスターカードであるムーンには勝てないと判断したなら実に合理的だ。或いは彼女に命を見出し、その命を奪うことに背徳感を覚えたとも考えられる。スターカードである彼女に人造魔法少女である自分自身を重ね同情したのか?それとも、罪無き命を奪うこと自体に抵抗を感じたのか?」クロウが言いました。

「それくらいにするのよ。」ヨウコが言いました。

「ヨウコ……。」アンナが言いました。

「行くのよ、アンナ。」ヨウコが言いました。

 アンナとヨウコは出て行こうとしました。

「待って。」ムーンが言いました。

 ムーンは変身を解除するとアンナに“ジョーカー”のカードを差し出しました。

「持っていきなさい。」ムーンが言いました。

 アンナは“ジョーカー”のカードを手にするとヨウコと共にその山荘を出ました。

「フッ……。」クロウが言いました。


「アンナ、大丈夫?」ヨウコが言いました。

「はい……。心配をかけてすみません。」アンナが言いました。

「アンタ……変わったのよ。」ヨウコが言いました。

「えっ……?」アンナが言いました。

「私と出会った頃のアンタなら、躊躇無くアイツと戦っていたのよ。」ヨウコが言いました。

「捜査の為にはそうすべきでした。しかし……それが出来なかった。」アンナが言いました。

「それで良かったのよ。」ヨウコが言いました。

「ヨウコ……。」アンナが言いました。

「アンタにはアンタの感情があるのよ。時にはそれを大事にしなくちゃいけないのよ。」ヨウコが言いました。

「はい。」アンナが言いました。「ありがとうございます。」


 おわり

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