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魔法少女カエデ #1

 魔法庁の魔法少女であるカエデはその日、同じく魔法庁の魔法少女であり組織内での立場が上のシオンに呼び出されていました。

「新しい任務ですか?」カエデが言いました。

「ああ。」シオンが言いました。「新しい妖精が仲間に加わることになった。詳しい話はその妖精に聞いて欲しい。」

「新しい妖精……?」カエデが言いました。

「とにかく会ってみてくれ。」シオンが言いました。

「分かりました。」


 シオンからその妖精のいる部屋の場所を聞いたカエデは早速その部屋へと向かってみました。そこにはネコのような容姿を持った妖精がいました。

「君が……?」カエデが言いました。

「ケイトリンです。」その妖精が名乗りました。

「私は……カエデ……。」カエデが言いました。

「知っています。」ケイトリンが言いました。「魔法庁所属の最上級魔法少女。」

「最上級って言ってくれるのは嬉しいけど、私は戦闘要員じゃ無いよ?」カエデが言いました。

「これからは私のパートナーとして戦闘を行って貰います。」ケイトリンが言いました。

「でも……私……攻撃力にはあまり自信が無いんだけど……。」カエデが言いました。

「大丈夫です、私がついてますから。」ケイトリンが言いました。

「君は……?」カエデが言いました。

「私はクイーンの命令であなた達人間に協力することになりました。」ケイトリンが言いました。

「クイーン……?誰……?」カエデが言いました。

「マジカルチェンジャーはご存知ですよね?」ケイトリンが言いました。

「うん。一応……。」カエデが言いました。「私は持って無いけど……。」

「マジカルチェンジャーとは妖精が魔法によって作り出す人間を変身させる機能を持った腕輪のことを指しますが、その細かな部分までは定義されていません。よって本来であれば様々な規格のマジカルチェンジャーが存在し得るのです。」ケイトリンが言いました。

「うん。」カエデが言いました。

「しかし、規格が統一されていないと互換性の面で問題が生じてしまうおそれがあります。その問題を回避する為にマジカルチェンジャーの統一された規格を決めている妖精がクイーンなのです。」ケイトリンが言いました。

「つまり、一番偉い妖精ってこと……?」カエデが言いました。

「厳密には違います。クイーンは使命はマジカルチェンジャーの規格を管理すること。具体的には使い易いマジカルチェンジャーの規格を考え、それを変更する場合には他の妖精達に周知してアップデート魔法を配布することになります。もしあなたがクイーンを妖精の代表責任者という風に捉えているのであればそれは誤りです。」ケイトリンが言いました。

「なるほど。」カエデが言いました。

「とは言うものの、マジカルチェンジャーの規格を管理する使命を帯びているだけあって、妖精内におけるクイーンの権威は絶大なものです。その権威に伴う責任も推して知るべきですね。」ケイトリンが言いました。

「それであなたが……?」カエデが言いました。

「はい。クイーンはキャプターと呼ばれる魔法使い達の存在を危険視しています。」ケイトリンが言いました。

「キャプター……私達の組織でも調査を進めているね。」カエデが言いました。

「キャプターが変身に用いるアイテムは誰が作り出したものであるのか……そしてその人物の目的とは何なのか……突き止めなければならないとクイーンは考えているのです。」ケイトリンが言いました。

「それで私達に協力を……ね。」カエデが言いました。

「当初は警察庁に協力をするという話で、そちらに別の妖精が送られていたのですが、それだけでは解決に至らないおそれがあるということでクイーンにとっては不本意ながら私がこちらに来ることになったのです。」ケイトリンが言いました。

「私達……どうやらクイーンに信用されてないみたいだね。」ケイトリンが言いました。

「どちらかと言えば怪しい組織ですからね。」ケイトリンが言いました。

「まあ、そう思われるのも仕方が無いか……。」カエデが言いました。

「でも、少なくとも私はあなた達のことを高く評価していますよ。」ケイトリンが言いました。

「えっ……?」カエデが言いました。

「あなた達は言わばこの手の捜査のプロフェッショナルです。きっと私達にとって有益な結末を齎してくれると考えてます。」ケイトリンが言いました。

「期待に応えられるよう頑張るよ。」カエデが言いました。

「ところでこれからキャプターを追うに当たってですが……。」ケイトリンが言いました。

「ん……?」カエデが言いました。

「マジカルチェンジャーを持ってないとのことでしたよね?」ケイトリンが言いました。

「うん。」カエデが言いました。

「これをお渡しします。」ケイトリンが特殊な形状のマジカルチェンジャーを差し出しました。

「これは……?」カエデがそのマジカルチェンジャーを受け取って言いました。

「マジカルチェンジャーです。」ケイトリンが言いました。

「マジカルチェンジャー……?でも、私が知っているものと形が違うけど……?」カエデが言いました。

「先程も言った通り、本来マジカルチェンジャーに決まった形はありません。それはクイーンが決めた規格とは異なる特製のマジカルチェンジャーです。」ケイトリンが言いました。

「特製のマジカルチェンジャー……?」カエデが言いました。

「それを使って変身した魔法使いは通常よりも魔力の消費が大きくなる代わりにその攻撃力を上げることが出来るのです。」ケイトリンが言いました。

「攻撃力が上がれば戦闘も有利になると……。」カエデが言いました。

「デメリットに関しては心配要りません。レベル8の魔法少女であるあなたの魔力であれば多少の魔力消費の増大は全く問題にならないでしょう。」ケイトリンが言いました。

「なるほど。」カエデがマジカルチェンジャーを左腕に装着しながら言いました。

「一応、一般のマジカルチェンジャーとの互換性も保ってますので、その部分の心配も要りませんよ。」ケイトリンが言いました。

「そうなんだ。」カエデが言いました。

「本来クイーンの定める規格と異なる規格のマジカルチェンジャーを扱うことは推奨されてはいないのですが、クイーンの許可も取ってありますので大丈夫です。」ケイトリンが言いました。

「分かったよ、ケイトリン。」カエデが言いました。「これからよろしくね。」

「こちらこそよろしくです。」ケイトリンが言いました。

「それで、手始めに何をしようか?」カエデが言いました。

「私の魔法で調べてみたところ、キャプターが警察と交戦している模様です。行ってみることにしましょう。」ケイトリンが言いました。

「うん!」カエデが言いました。

「それじゃあ早速変身して下さい。」ケイトリンが言いました。

「よし……!」そう言ってカエデがマジカルチェンジャーのカバーを開きました。

 続けてカエデがカバーの内側の部分に右手の指を当てると、マジカルチェンジャーから「Ready」と電子音声が発せられました。

「変身!」そう言ってカエデがマジカルチェンジャーのカバーを閉じると、今度は「Change」と電子音声が発せられ、カエデは変身しました。


 カエデとケイトリンがその現場へと駆けつけました。

 そこでは警官隊がサーチキャプターを取り囲んでいました。

「フン、この力があれば他のカードの場所も簡単に分かると思ったが、とんだ計算違いだったようだな。」サーチキャプターが左腕を見ながら言いました。「まさか警察共を呼び寄せただけに終わるとは……。」


「アレは……!」カエデが離れた場所からその様子を見て言いました。

「キャプターですね。」ケイトリンが言いました。


「だが、こんなザコ共にこの俺が捕まえられると思ったら大間違いだ!」そう言ってサーチキャプターが手にするライフルを撃ちました。

 警官の一人がサーチキャプターのライフルから放たれた魔法弾を受けて倒れました。警官隊は負傷した警官を連れて後ろへと下がり始めました。

「ハハハハハッ!死にたくなければ大人しく帰ることだな!」サーチキャプターが言いました。

「そうは行かないのよ!」そう言って一人の魔法少女が姿を現しました。

「ん……?」サーチキャプターが言いました。


「彼女は……?」カエデが言いました。

「おそらくは警察庁に所属する魔法少女でしょう。」ケイトリンが言いました。

「そう言えばクイーンは警察庁にも協力していたんだったね。」カエデが言いました。

「むしろクイーンが期待しているのは警察庁の方です。」ケイトリンが言いました。

「そうだったね。」カエデが言いました。


「お前も警察の仲間か……?」サーチキャプターがその魔法少女に言いました。

「そうよ!私は警察魔法少女なのよ!」その魔法少女が言いました。

「魔法少女か……。どれ、早速貴様の能力をスキャンしてやろう。」サーチキャプターが言いました。

「スキャン……?」その魔法少女が言いました。

「レベル6……。それにしては高い攻撃力を持っているな……。」サーチキャプターが言いました。「このままでは少々分が悪いか……。」

「何をごちゃごちゃ言っているのよ!?」その魔法少女が言いました。「これまで何度もキャプターを倒してきたこの私の実力を思い知るが良いのよ!」

「ハアッ!」サーチキャプターがライフルを撃ちました。

「フッ!」その魔法少女が魔法の十手“マジカルジッテ”で魔法弾を防ぎました。

「ハアッ!」さらにその魔法少女が手から魔法の稲妻を放ってサーチキャプターを攻撃しました。

「グアッ……!」サーチキャプターが魔法の稲妻を受けて怯みました。


「あの力……!?」カエデが言いました。

「私の分析によるとあの魔法少女には魔力と電力とを相互変換する隠された能力があるようです。」ケイトリンが言いました。

「そんな力が……?」カエデが言いました。「と言うか、隠された能力が分かるの?」

「はい。」ケイトリンが言いました。


「くっ……!思った以上にやるようだな……!」サーチキャプターが体勢を立て直しながら言いました。

「このまま一気に倒してやるのよ!」その魔法少女が言いました。


 そこへバーストキャプターが姿を現し、掌から魔法榴弾を放って警官隊を攻撃しました。


「コレは……!?」カエデが言いました。

「新たなキャプターが現れたようです。」ケイトリンが言いました。


「な……!?」その魔法少女が言いました。

「ん……?“バースト”のカードを持つキャプターか……。」サーチキャプターが言いました。

「何やら騒がしいと思って来てみれば、やはりキャプターが居やがったか!」バーストキャプターが言いました。「テメエの持つカード、俺が奪い取ってやるぜ!」

「チッ……!」サーチキャプターが言いました。

「何よ何よ!」その魔法少女が言いました。「アンタ達二人共、この私が倒してやるのよ!」

「魔法少女風情が……蹴散らしてくれる!」そう言ってバーストキャプターがその魔法少女に襲い掛かりました。

 その魔法少女はバーストキャプターと戦い始めました。

「フン……勝手にやっているが良い。」そう言ってサーチキャプターがその場から離れようとしました。

 そこへカエデとケイトリンが立ちはだかりました。

「何……!?新たな魔法少女が現れただと……!?」サーチキャプターが言いました。「しかもレベル8……!?」

「ここまでだよ。」カエデが言いました。

「あなたの野望は私のパートナーが阻止します。」ケイトリンが言いました。

「いや、この攻撃力は……!」サーチキャプターが言いました。

「どうやらあなたは魔法使いの元々の攻撃力とレベルを測定する魔法が使えるみたいですね。」ケイトリンが言いました。

「いかにも!」サーチキャプターが言いました。「せっかく呼び出した最上級魔法少女もその程度の攻撃力では大したこと無いな!」

「それはどうでしょう?」ケイトリンが言いました。

「何……!?」サーチキャプターが言いました。

「私が渡したマジカルチェンジャーには使用者の攻撃力をアップさせる機能があります。これによりカエデの攻撃力はあなたが測定した値よりも高くなっています。」ケイトリンが言いました。

「攻撃力がアップするだと……!?だが、それでも攻撃力は俺の方が上のハズ……!」サーチキャプターが言いました。

「まだです。」ケイトリンが言いました。

「何だと……!?」サーチキャプターが言いました。

「カエデ、あなたの隠された能力を発動して下さい。」ケイトリンが言いました。

「えっ……?」カエデが言いました。

「隠された能力だと……!?」サーチキャプターが言いました。

「カエデには魔力を消費して高い攻撃力を持つ魔法の刃を生成する隠された能力があります。」ケイトリンが言いました。

「バカな……!」サーチキャプターが言いました。

「この私に……そんな力が……!?」カエデが言いました。

「もう一度マジカルチェンジャーを操作して下さい。そして必殺の一撃を放つのです。」ケイトリンが言いました。

「うん!」そう言ってカエデがマジカルチェンジャーのカバーを開き、その内側に指を当てました。それと同時に「Magical Move」と電子音声が発せられ、カエデの右腕に魔法の刃が生成されました。

「マジカルエッジアタック!」カエデがサーチキャプターに飛び掛かり、魔法の刃で切りつけました。

「グアッ……!」サーチキャプタはカエデの攻撃を受けて動きを止めました。

 攻撃を終えたカエデがマジカルチャンジャ―のカバーを閉じました。

「アアーッ……!」サーチキャプターが爆発と共に変身を解除しました。

「マジカルラリアット!」その魔法少女がバーストキャプターにラリアットを当てました。

「グアーッ……!」バーストキャプターが爆発と共に変身を解除しました。


 戦いを制した二人の魔法少女が向き合いました。

「あなた……新米……?」その魔法少女が言いました。

「私はカエデ、魔法庁の魔法少女だよ。」カエデが言いました。

「フン。魔法庁の……。期待して損したのよ。」その魔法少女が言いました。

「あなたは警察庁の……?」カエデが言いました。

「ヨウコよ。」その魔法少女が言いました。

「ヨウコ……。」カエデが言いました。

「悪いけど、あなた達と仲良くする気は無いのよ。」ヨウコが言いました。「あなたが倒したそっちのヤツの身柄は好きにして良いのよ。その代わりこっちの邪魔をすることは許さないのよ。」

「分かったよ。」カエデが言いました。「でも、お互いに協力出来ることがあれば……。」

「お断りなのよ。」ヨウコが言いました。

「そっか……。」カエデが言いました。

「とりあえず、彼の身柄だけでも拘束して引き揚げることにしましょう。」ケイトリンがサーチキャプターに変身していた人物を見ながら言いました。

「うん。」カエデが言いました。


 おわり

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