魔法少女エリコ #2
その日、マルコとシュンコはセーフルームで話し合っていました。
「今やこの町では闇の力だけでなくキャプター、即ち人間によっても平和が脅かされているわ。」マルコが言いました。
「キャプター……何とかしないといけないわね。」シュンコが言いました。
「ええ。私達はこのまま黙って滅びる訳にはいかない。立ち上がらなければ……!」マルコが言いました。
そこへメンバーの一人が駆けつけてきました。
「マルコさん、大変です!」そのメンバーが言いました。
「どうしたの?」マルコが言いました。
「近くの通りでキャプターが暴れているそうです!」そのメンバーが言いました。
「えっ……!?」マルコが言いました。
「行くわよ、マルコ。」シュンコが言いました。
「ええ!」マルコが言いました。
廃墟にあるとある通りでダッシュキャプターが暴れていました。
「さすがにこんな場所で俺に挑もうとするヤツはいないか?だが、カードの一枚や二枚は落ちているだろう?」ダッシュキャプターが言いました。
そこへマルコとシュンコが駆けつけてきました。
「ん……?」ダッシュキャプターが言いました。
「キャプター……!」マルコが言いました。
「こんなところにまで現れるとはね。」シュンコが言いました。
「何だお前達は?まさか……魔法少女か……?」ダッシュキャプターが言いました。
「ええ。」マルコが言いました。
「反旗を翻せ!」マルコが変身しました。
「反逆の翼翻せ!」シュンコが変身しました。
「魔法少女……!こんなところにまでいるのか!」ダッシュキャプターが言いました。
マルコが無数のマジカルソルジャーを召喚し、ダッシュキャプターに向かわせました。
「フン!魔法少女がいたところで、この俺が最強であることに変わりは無いさ!」ダッシュキャプターが言いました。
ダッシュキャプターは素早い動きで瞬く間にマジカルソルジャー達を全滅させました。
「な……!」マルコが言いました。
「やるわね。」シュンコが言いました。
シュンコは魔法の翼を生成すると、マジカルナイフを構えながら空を飛びました。
「何……!?」ダッシュキャプターがシュンコを見上げながら言いました。
「マジカルマーダー!」シュンコが空中から素早くダッシュキャプターを切りつけました。
「ウアアアッ……!」ダッシュキャプターが転倒しました。
「トドメよ!」そう言ってシュンコがマジカルナイフを構え直しました。
「くっ……!」ダッシュキャプターが地面に倒れ込んだまま言いました。
そこへモエとオインクが姿を現しました。
「ん……?」シュンコがモエの方を向きました。
「彼女は……。」マルコが言いました。
「あっ……!」モエが言いました。
「ん……?」ダッシュキャプターが言いました。
「おお!オインクの言った通り、町の南側にキャプターが潜んでたよ!」モエが言いました。
「オインク……。」オインクが言いました。
「それに……エリコ……?」モエが言いました。
「くっ……!」ダッシュキャプターがその場から逃走しました。
「あっ……!」マルコが言いました。
「逃げ足の速い……!」シュンコが言いました。
「早速逃げられた。」モエが言いました。
「それはそうと、何をしに来たの?」マルコが言いました。
「いや……その……仕事だよ!」モエが言いました。「キャプターを追ってるの!」
「確か政府と関りがあるんだったわね。」シュンコが言いました。
「この際だから言っちゃうけど、政府の魔法少女なの。」モエが言いました。
「政府……?」マルコが言いました。「政府はこれで国民を守っているつもりなの?」
「えっ……?」モエが言いました。
「多くの罪も無い人達が犠牲になったわ、あなた達が無能なせいで。」シュンコが言いました。
「いや……でも……!それに、エリコだって罪の無い人達を襲ってるんでしょ?」モエが言いました。
「平和の為に戦う意思が無いことは罪よ。私達はそのことを誰よりも知っているわ。」シュンコが言いました。
「確かに、私達は生きる為に罪を犯すこともあったわ。でも、それはあくまで生きる為よ。あなた達に私達の生存を否定されたくは無い。」マルコが言いました。
「ゴメン!私はあなた達のことを完全に否定するつもりは無いよ。」モエが言いました。
「どうかしら?」シュンコが言いました。
「ホントだよ!」モエが言いました。
「もし本当なら、政府には私達の活動を認めて欲しいわ。そして然るべき援助を求めるわ。」マルコが言いました。
「いやー……それはどうだろう……?」モエが言いました。
「出来ないの?」シュンコが言いました。
「だって……政府はエリコのことを危険分子と捉えているワケだし……。」モエが言いました。
「やっぱり私達のことを認める気は無いようね。」シュンコが言いました。
「国民の安全を守るというのも自分達の利権を守る為の詭弁に過ぎないということなの?」マルコが言いました。
「止めてよ、そんな極端な物言い。」モエが言いました。
「どうする、マルコ?この子、ここで倒しておいた方が良いかも知れないわ。」シュンコが言いました。
「えっ……?倒すって……?」モエが言いました。「前は歓迎してくれてたじゃん。」
「あなたの考えを聞いて状況が変わったの。」シュンコが言いました。
「だって……私を通じて政府に犯罪組織の支援をさせようなんて……ムリじゃん。」モエが言いました。
「マルコ……!」シュンコが言いました。
そこへウールが姿を現しました。
「待って下さい、マルコ!」ウールが言いました。
「ウール……。」マルコが言いました。
「ウール……?」モエが言いました。
「オインク。」オインクが言いました。
「あのヒツジがエリコの……?」モエが言いました。
「これ以上誰かを傷つける行為は慎むべきです。」ウールが言いました。
「でも……このままこの子を放っておけば、政府の思うままよ。そうなったらこの国の平和は……!」シュンコが言いました。
「いや……止めておくわ。」マルコが言いました。
「マルコ……。」シュンコが言いました。
「この子を倒しても平和が遠のくだけ……。」マルコが言いました。
「マルコ……!」ウールが言いました。
「良かった。」モエが言いました。
「私達は生き延びた。そしてより多くの人達が生き残れるように私達は戦う。私達のあなた達に対する望みは一つ、私達が生き延びたという事実を、そしてその意味を認めて欲しい。」マルコが言いました。
「分かってるよ。」モエが言いました。「でも……。」
「難しいんですよね?」ウールが言いました。
「うん……。私の立場じゃ、ちょっと……。」モエが言いました。
「分かったわ。」マルコが言いました。
「それにしても、政府のこと物凄く恨んでるんだね。」モエが言いました。
「当り前よ。政府がもっとしっかりしていれば、犠牲者の数はもっと減らせていたわ。」シュンコが言いました。
「怠慢な政府は許せないけど、私達の敵はあくまで平和を脅かす存在よ。私達は平和の為に戦うわ。」マルコが言いました。
「政府の意向はともかくとして、私個人としてはエリコの活動を応援したいな。いざって時は政府の意向が優先だろうけど……。」モエが言いました。
「その時は、私が倒すわ。」シュンコが言いました。
「うん……。」モエが言いました。
「ん……!?何か来る!敵よ!」シュンコが言いました。
「えっ……?」モエが言いました。
近くの建物の壁面を伝ってテリトリーキャプターが姿を現しました。
「キャプター……!」モエが言いました。
「新手ね。」マルコが言いました。
「俺の領域内で暴れているヤツがいると思って来てみれば、魔法少女か……。キャプターならカードが手に入ると思ったのに……。まあ良い。せっかく来たのだから始末してやるとしよう。」テリトリーキャプターが言いました。
「そうは行かないよ!」モエが言いました。
「変身!」モエが変身しました。
「オインク!」そう言ってオインクがマジカルテックピストルを召喚しました。
「マジカルバースト!」モエがマジカルテックピストルを撃って魔法弾を三連射しました。
「ウアッ……!」テリトリーキャプターがモエの攻撃を受けて壁面から地面へと落下しました。
「やるわね。」マルコが言いました。
「フッ……。」シュンコが言いました。
「ハアッ!」モエがさらに魔法弾を放ちました。
「フン!」テリトリーキャプターがジャンプしてモエの攻撃をかわし、近くの建物の壁面に張り付きました。
「ハアッ!」モエが壁面に張り付いたテリトリーキャプターに向けて魔法弾を放ちました。
「ハアッ!」テリトリーキャプターが別の建物の壁面へと飛び移ってモエの攻撃をかわしました。
「すばしっこい!」モエが言いました。
「どうやら立体的な移動を得意とするキャプターのようね。」マルコが言いました。
「なら私に任せて。」そう言ってシュンコが魔法の翼で空中に浮かびました。
「何……!?」テリトリーキャプターが言いました。
「おお……!」モエが言いました。
「この翼翻し、光の速さで敵を討つ!」そう言ってシュンコがマジカルムーブを発動しました。
「な……!」テリトリーキャプターが言いました。
「マジカルダイブ!」シュンコが魔力を纏いながら空を飛び、テリトリーキャプターに体当たりを行いました。
「ウアアアアアアアッ……!」テリトリーキャプターが地面へ落下し、倒れました。
シュンコが地面へと着地しました。
シュンコは“テリトリー”のカードを拾い上げました。
「フン。」シュンコが“テリトリー”のカードをモエに投げました。
「うわっ……!危ない……!」モエが咄嗟に飛んできた“テリトリー”のカードをかわしました。
“テリトリー”のカードはモエの後ろに立っていた電灯に刺さりました。
「ちょっと……!危ないじゃん!」モエが言いました。
「いや……!」シュンコが言いました。
「この……!」モエが電灯に刺さった“テリトリー”のカードを引き抜いてシュンコに向かって投げつけました。
モエの投げた“テリトリー”のカードはシュンコの頬を掠めてその後ろの建物の壁に刺さりました。
「何……!?」シュンコが言いました。
シュンコは壁面に刺さった“テリトリー”のカードを引き抜きました。
「その……悪かったわ。」シュンコは“テリトリー”のカードをモエに差し出しました。「キャッチして貰えると思って……。」
「ムリだよ、あんなん。」そう言ってモエは“テリトリー”のカードを受け取りました。「でも良いの?」
「今のところ必要無いわ。」シュンコが言いました。「使い方も分からないしね。」
「確かに……持っていても使えないか……。」モエが言いました。
「それに……あなたが私達を応援すると言うのなら、私もあなたがキャプターを追うのを応援するわ。」シュンコが言いました。
「ありがとう。」モエが言いました。
「いつか本当の仲間になれる日が来ることを祈っているわ。」マルコが言いました。
「うん……。」モエが言いました。
おわり




