1-3 計画
「ふぁーさてとプランを考えるか…」
朝日が眩しい中、ゆっくりと背伸びをした。
久しぶりにゆっくり寝た拓哉は、朝食とコーヒーを飲みながら今後のプランを思案していた。
幸いなことに大学生の夏休みは長い。しかも暇なのだ。時間はたくさんある。
もしゲーム内に侵入できたとして、その最中の時間経過は無視できるため、実は"日本"でやることは殆どないのである。だからこそ全ての計画はUSで決めることとした。
ついでにAriaを驚かせてやろうと思い立ち俺はUS行きの飛行機の電子チケットをその場で購入し、Ariaと合流してプランの詳細を練ることにした。
現代の飛行機はマッハ3(時速3600km)で飛ぶのが当たり前の時代なため、日本とUSの旅といえど2時間程度で移動できてしまうのだ。さながら時を操っているかのように昼夜を感じられるから拓哉は飛行機に乗るたびに心躍るのである。
「移動中の2時間でプランを整理するか」
こんな独り言をつぶやいているわけだが、何故拓哉がプランを練っているかと言うとただ単にAriaは計画を練るということが非常に苦手なのだ。こっちである程度練ったものを持っていかないと無駄に時間を浪費してしまうのだ。
議論となってしまえばAriaは論理的に物事を考えるため非常にいいプランに昇華させることが出来るのだ。今までも毎回このような役回りなのだ。これが一番うまく回ることもお互い理解しているため特に不満はない。
「まず必要なのは専用デバイス。これは大体アテはついている。」
専用デバイスはシリコンバレーで生産されている。ここにハッキングすればいいだけだ。あとでAriaとハッキングしようと考えている。
「あとは…研究施設並みの場所か…」
専用デバイスの設計書は既に手元にあるわけだが、電源の規格と必要電力はまず一般家庭では調達するのは不可能なくらいに莫大な電力を消費する。
これを解決しなければ話にならない。フルダイブ中に電源が落ちると意識とのリンクが強制的に切断されるため、何が起きるか未知数だと仕様書に書かれていた。
潜在意識の学問分野はまだまだ解明されていない事が多いのだ。
そんなことを考えている間にUSの首都ニューギークに到着した。
とりあえず、Ariaを驚かせよう。
そんなことを考えながら、空港でタクシー捕まえてハーバード大学に向かってもらった。
次は「再会編」です。