表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/20

19.夫婦編7

「神官長!助けに参りました!!」


 煽動された信者達にもみくちゃにされそうな所を駆けつけた私。

 街の中心にある広場で行われた成人の義にて、神官長と、神官達はいまにも信者達の波に飲み込まれそうになっていた。


「レイナっ!?」


 神官長がこちらを見やり驚きの声をあげる。

 ああ、懐かしいですね。この感じ。

 最近食っちゃ寝の生活も飽きてきたので少し新鮮に感じます。


 どうにも最近神官長の神力があがりすぎて、国内が物凄く豊穣となり、以前は年1回しか収穫できなかった作物が年4回収穫できたり、魚も大量に釣れたりといいこと尽くめらしいのですが……。

 それをやっかんだ、他国が神官長を誘拐しようと企ててる次第でして。

 今回の信者の煽動もどうやらその一つらしいのです。


 信者達にもみくちゃにされてる間にドサクサに紛れて誘拐しようという魂胆なのでしょう。


 月に年に一度の成人の儀式の日に神官長が国民の前で祈りを捧げるのですが、どうやらそれを見計らって、策を労してきたようです。

 神官長に触れる事ができれば、病気をしない身体になれるというデマが広まっていて神官長に信者が群がっています。

 許せませんね。人の物に触ろうだなんて。

 神官長に触れていいのは私だけです。

 そのままもみくちゃにされて、あんな事をされたりこんな事をされたりしたらどうするんですか!?



 私は神官達のバリゲードを突破しようとした、信者達をくぐり抜けた。

 流石にここでドラゴンの羽をだすわけにもいきませんし。


 そのまま神官長を抱きかかえると、ジャンプで建物の上まで避難する。


「大丈夫ですか?」


 私が抱きかかえたまま言えば


「た、助かりました」


 と、ほっとした笑顔を見せた。

 ああ、相変わらず可愛いですね。ご馳走さまです。


 流石に神力が高まったといえども、信者相手に力は使えなかったのでしょう。

 そこが神官長らしいというかなんというか。

 あんなのは神力でぱぱーっと片付けてしまえばいいのにとも思うのですが。


 力加減を間違えば最悪死ですからね。慎重になるのも無理はありません。

 私ならやっちゃいますけどね。

 神官長は馬鹿がつくほどお人好しですから。


 そこを利用してくる敵国もなかなかですが。

 この前のように晩餐会でいきなり剣を振り回す馬鹿な刺客よりは多少頭の出来がいいようです。


「それにしてもモテモテですね」


 群がる信者達を見下ろして私が言えば、神官長は情けない顔をして


「これをモテモテと言うのでしょうか……」


 と、神官長。


 そして下では、


「あ、あれはもしかして!!邪神を睨んだだけで倒し、土下座までさせたという神官長様の奥方では!!」


「え、私は靴を舐めさせて、そのあと笑顔で撲殺したと聞いていますけど」


「ひぃ、やばい殺される!!」


 などという、信者のざわめきが聞こえます。


 はい。何なんですか。私への評価恐ろしく酷くありませんか。

 神官長の妻がそんな評価でいいのでしょうか。

 しかしまぁ、もうそういった評価なら今更取り付くろう必要もないでしょう。

 これ以上、神官長に悪い虫がよってこないように睨みを利かせておく必要があります。


「ああ、皆様よくおわかりで」


 ざわめく信者達を見下ろし、私が笑顔でそういえば、信者達が一斉に静まりかえる。

 魔法で声をよく通るようにしてありますから全員に聞こえていることでしょう。


「人の主人に手をだそうなどという、不埒な方々には私は容赦しませんよ?

 神官長様に触れていいのは、この私一人です」


 と、キラキラした笑顔で言えば――



 何故かその場に居た全員が我先にと逃げ出すのだった。


 はい。何ですか。失礼な。



 ■□■


「レイナ今回の事は、私たちの落ち度です。貴方を責めるつもりはありません」


 と、自室でパクパクと菓子を食べている私にメガネ君ことフランツが語りかけてくる。


 信者達に啖呵をきったことを怒られるかと思いましたが、不問にしてくれるようです。

 やりました。ついてます。

 懲罰室行きとかになったらどうしようかと内心びくついていましたからね!

 ですが、喜んでいるのを悟られると、怒られる可能性もあるので


「当たり前です」


 と、すまして答えた。


「ですが……何故神官長に男色の噂が広まっているのでしょう……」


 と、ジト目で睨まれる。


 固まる私。


 はい。何ですか。確かにドレスではなかったですけど、私が男扱いされたということでしょうか。

 あれですね。許せません。

 貧乳とでもいいたいのでしょうか。


 人を貧乳扱いするとかあれですね。

 いい度胸ですね。喧嘩をうってますね。

 やはり、信者は滅せねばなりません。


 私から立ち昇るオーラにやばいとフランツが感じたのか


「す、すみません、ごく一部に広まっている噂でして……」


「一部でも噂があるのでしょう?」


 ギロリと睨んでいえばフランツが固まる。


「どうかしましたか?」


 固まったフランツと睨みをきかせてる私に部屋に入ってきた神官長が尋ねた。

 どうやら仕事の休憩時間に私の部屋に寄ってくれたようです。


「聞いてください!フランツが私を貧乳扱いするんですよ!!」


「え!??してませんっ!!そんな話どこにもなかったはずですが!?」


 と、フランツ。

 そういえば、私が勝手に脳内で結論づけただけで、乳の話はでてなかったような気もします!


「ひんにゅう……?ですか」


「そうです!乳が小さいと!」


 私の言葉に神官長が固まって、うーんと考え込んだあと


「申し訳ありません。

 それはどこが悪口になるのでしょうか?」


 と、真面目に聞いてくる。


「え、ど、どこがって聞かれるとですね……」


 考え込む私。


「世の男性方は乳が大きい方が好きなので、乳が小さいのはあまり喜ばしい事ではないのです!」


「貴方はまたそうやって、くだらない知識を神官長に教えないでください……」


 私の返答に速攻つっこみを入れるメガネ君。

 五月蝿いです。元々は貴方のせいじゃないですか。


「ああ、そうなのですか!

 胸の大きさなど気にしてませんでしたから知りませんでした!」


 と、神官長は目を輝かせたあと


「そ、そのレイナは他の男性にモテたいという願望があるのでしょうか?」


 とシュンとする。

 はい、彼の脳内でどういった結論がでたのかは知りませんが、何か勘違いされています。


 世の男性に好まれたい→他の男性ともつきあってみたいに脳内変換されてしまったのでしょうか。


「まさか。私は貴方一筋ですよ」


 微笑めば物凄く嬉しそうな顔をして


「よかったです!」


 と、私を抱きしめた。


 そうですね。

 神官長が気にしていないというのなら、胸の大きさなどは些細なことですよね。


 でも、信者を許せるかどうかは別問題ですが。


「神官長。午後の仕事と明日の仕事は私が片付けておきます。

 昨日の騒ぎで疲れたでしょうから、今日は奥様とゆっくりしてください」


 と、フランツが、にっこり微笑むと、神官長が「えっ!?」という顔をした。

 はい。あれですね。

 私が信者に殴り込みにいかないように神官長を人身御供にするつもりですね。

 メガネ君、ナイスです。


「だ、そうです。これからゆっくり楽しみましょうね神官長様?」


 私がニッコリ微笑めば


「え、いや、そのまだ急すぎて覚悟が………」


「大丈夫です!気持ちよくしてあげるだけですから!」


「レイナのは気持ちよすぎて拷問に近いのですがっ!!」


「解りました!何も考えられないくらいとろけさせてあげます!!」


「だから、それが困るのですっっ!?」


 可愛く抗議の声をあげる神官長をそのまま私は押し倒す。


 ちょっとムカついているのでいつもより、淫乱に乱れてもらいますが、覚悟してくださいね神官長様?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■□■宣伝■□■
★書籍化&漫画化作品★
◆クリックで関連ページへ飛べます◆

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ