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12.閑話

「ああ、もうこのまま世界を滅亡させて、何も考えなくていい世界に行きたいです」


 神官長との婚礼に備え、神殿内の豪華な部屋でドレス選び中に私は呟いた。

 もうすでに、やたら派手なドレスを5着ほど着せさせられています。

 ドレスですよ?ドレス。あのチャラチャラした服をですよ?

 なんでわざわざ着る必要があるのでしょう?

 ドレスなんてサイズがわかっているのだから勝手に見繕ってくれればいいと思うのですが。


 私の言葉に


「たかが、ドレス選びで何を言ってるのですか貴方は。

 貴方の場合、冗談ではなく世界を滅亡させる力があるのですから、そういう冗談はやめなさい」


 と、鬼畜メガネのフランツが反論した。

 

「冗談ではなく、半分本気なのですが」


 私が真顔で言うと、フランツは半分顔をひきつらせ


「わかりました。婚礼の衣装は既に着た中から神官長に選んでいただきましょう。これでいいですか?」


「はい助かります!これであとは私は婚礼の儀式まで食っちゃ寝生活をしていればいいわけですね!」


 私の言葉にフランツはこめかみを抑え


「……もう少し言い方があるでしょう?誰が聴いてるかわからないのですよ?」


「では婚礼の儀式まで、神官長を美味しくいただける甘い生活を営んでいればいいわけですね!」


 と、私はにっこり微笑んだ。


「……余計悪化してるのですが……」


 引きつった笑顔をうかべるフランツ。


「気のせいです」


 私がしれっと言うと、彼はやれやれと肩をすくめて


「……貴方は今後他の者とはしゃべらないでくださいね。

 私が貴方のお付きになりますので……全て私が代弁させていただきます」


「はい!望むところです!」


「黙っていれば美人ですし、神秘的な美女で通るのですけれどね……

 どうしてこうも性格に問題があるのでしょうか……」


 失礼な事を言いますねこの鬼畜メガネは。

 はい。自分でも自覚していますが、仕方ありません。

 性格の悪さは生まれつきです。治す気も微塵もありません。

 この鬼畜メガネは片田舎で育った田舎娘に何を期待しているんでしょうね?


「しかし、上層部がよく私との結婚を許しましたね?

 私はてっきり大反対されると思っていましたから、神官長を誘拐する作戦をもくもくと考えていたんですが」


 私の言葉にフランツがため息をついて


「ドラゴンを一撃で倒し、邪神に一目散に逃げられる貴方に誰が逆らえると思っているのですか?

 それに神殿側は大歓迎ですよ。貴方が神官長の護衛についてから、あきらかに神官長の神力があがりましたから」


「え?そうなんですか?初耳です」


「はい。本来は毎年地方を巡礼し、悪霊を払いに行かなければならなかったのですが……

 貴方がきてから神官長の力が強まり、神殿にいるだけで、全地域にまで加護が行き渡ってます。

 神官長が誘拐されるようになったのも、貴方が護衛についてからです。

 神力が高くなりすぎて、魔物すら引き寄せてしまうのでしょう」


 なんという事でしょう。神官長が誘拐されるきっかけは私だったらしいです。


「でも不思議ですね?なぜ私といると神力が高まるのでしょう?」


 私の言葉にフランツはやや疲れた表情になり


「神力を持つものが愛する人の側にいる場合……その愛の力に比例して神力が強まる……と、伝承では言われています」


 と、ため息をついた。


「ああ。さすが神官長。神力でまで私に告白ですか。

 それではお礼に夜はたっぷり可愛がってあげないといけませんね」


 と、私がにっこり微笑むと


「ですから!そういう冗談はおやめください!

 そんなセリフをワザと言わなくても、貴方が喋らなくて済むように手配しますから!」


 どうやら、鬼畜メガネには、私がワザと卑猥な言葉を吐いて、お前は黙っていろと言われるように仕向けたのが見抜かれていたようです。

 流石鬼畜です。流石メガネです。


「はい。ばれていましたか」


「わかりますよ。貴方ほど人と話す事を毛嫌いしている人はいませんからね。

 神殿側としましても、竜人の貴方を表舞台にだすつもりはありませんから、婚礼の儀式さえ、済んでしまえば、あとはほぼ自由ですよ」


「好きなだけ神官長とイチャついていいということですね!」


「でーすーからーそういう事をいちいち言うのはやめなさい!はしたない!

 ……何故神官長が貴方に惚れたのか理由がわかりません」


「そうですね。私が一番わかりません。

 今夜ベットの上で言葉責めで聞いてみましょうか?」

 

 私の言葉にフランツは物凄い深くため息をつくのだった。

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