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二日目
翌日、アレクがやってきたのは夕方だった。
「訓練が長引いちゃって…」
騎士服のアレクはかっこいいが、今日は疲労が見える。ソファに座る私の横に腰をおろす。
私はベルガモットティーを入れた。
「ありがと」
優雅に口をつける。
「今日は恋人レッスンはいいわよ。ゆっくり休んでよ」
私が言うと、とんでもない!とアレクは立ち上がった。
「こんなときにこそ、恋人は必要なのよ!」
癒してー、と抱きついてくる。
私はよしよし、と背中をさすった。
細く見えるのにごつごつしていて男らしい。
「ねえ、アンネ…」
アレクが甘えるように私を見つめる。
「なあに?」
「膝枕して」
ひざまくら?と私が聞き返すと、アレクは私の太ももの上に頭をおろした。
「きゃ!」
私が焦って立ち上がろうとすると、腕をつかまれる。
「お願い、アンネ…」
そのまま眠ってしまう。
よっぽど疲れていたらしい。
私は所在ない手をアレクの頭においた。
ゆっくりすく。
癖のないブロンドの髪はひんやりと気持ちよく、飽きない。
「いつもお疲れ様。ありがとうね、アレク」
私は小さな声で言った。
二日目はこうして終わった。




