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【リメイク連載中】目が覚めたら世界が異世界っぽくなっていた件  作者: 白い彗星
異世界召喚かとテンションが上がった時期が俺にもありました
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ドキドキッのチームわけ



 さよなの部屋で衣装作り。それからまた日が経ち、いよいよ体育祭でのチーム分けの時間がやって来た。クラス内は、自分がどこのチームで誰と一緒になるのかと、ざわざわしている。



「みんな落ち着きねえなー」



 去年一度経験してるからだろうか、不安よりも楽しみだといった表情が多く、それだけにチーム分けというのは各々の士気に大きく関わってくるのだと理解させられる。



「ま、誰と一緒になるかで勝率も変わるだろうしな……ってより、二年生ともなるとそれなりに上下学年と付き合いが出てくる。人柄もわかってくるだろうし。だから、仲いい人やこれを機に仲良くなりたいって気持ちの方が大きいんだろ」


「じゃあ俺はその楽しみを味わえそうにねえな」



 達志も一応テニス部での関係はあるが、それだけだしそもそも入部してからそんなに日も経っていない。付き合いが深いのは、同じクラスであるマルクスを除けば部長とシェルリアだけだ。


 だから、入学したてではない一年生のような立場だ。特別仲がいいのは、クラスメートの若干名だけだ。



「まー、チャンスだと思ってさ。知名度はあるんだから、タツのほうからちょっと声かければすぐに仲良くなれるさ」


「いやな知名度だけどな」



 部長やシェルリアが知っていたように、達志の名前だけは多分全校生徒に広がっている。ただの復学生ではないので納得できる部分もあるが。


 十年眠ってた生徒が復学……ネタとしてこれ以上のものはないが、それにしてもまるでマスコミかよと突っ込みたくなる勢いだ。



「さて、ではこれから、体育祭のチーム分けを発表する」



 そんなことを考えていたが、教卓に立つムヴェルの声により意識を戻す。ざわざわしていたクラスは、その声だけでピシャリと静かになる。


 傍らには由香も立っており、何が楽しいのかニコニコしている。



「確認のために言っておくが、体育祭では五チームにわかれての競争となる。これは他クラス、他学年との交流を深めることも兼ねているため、しっかり交流してくるように」



 黒板をチョークで叩きながら、ムヴェルはそれぞれチョークの色を書いていく。今さらながら、そういうのは魔法で書いたりしないんだ、とも思う達志今日この頃である。


 黒板には、赤、青、黄、緑、桃とそれぞれ書かれている。それがチームの色を意味することは、説明されなくてもわかる。ただ、戦隊ヒーローかよと突っ込みたくはなった。



「さて、ではメンバーを発表していくとしよう。チームの色ごとに読み上げるので、如月先生は名前を書いていってください」


「わかりました」



 ムヴェルが紙を広げ、由香がチョークを持って黒板の前にスタンバイする。あの紙にチームごとに名前が書かれ、それを由香が黒板に書き写していくのだ。



「ではまず、赤組からの発表だ。順に名前を読み上げるから、呼ばれた者は返事をするように。勇界 達志」


「いきなり!?」



 メンバーが発表されることになり、自分はどこになるのか……そう思っていたらいきなり名前を呼ばれたので、思わず達志は声を上げてしまった。


 だがムヴェルから鋭い眼光を向けられ「すみません……」と言ってから頭を下げる。とりあえず返事、と捉えられたのか達志の名前が黒板に書かれていく。



「タツシ様、トップバッターですね!」


「それはいろいろ意味が違うと思う」


「まあ良かったじゃねえか、焦らされるより真っ先にわかってよ」


「うーん……」



 両隣から、それぞれ言葉をかけられる。達志としては、正直もう少し名前を呼ばれるまでのドキドキを味わっていたかったのだが……仕方ない。


 考えてみれば、不思議なことではない。名前順に発表するなら、『い』の字から始まる達志は一番最初に呼ばれてもおかしくはない。五チームわけならなおさらだ。


 ちなみにだが、勇界 達志のように名字→名前の場合は今のように『い』で呼ばれるが、リミ・ディ・ヴィタクシアのように名前→名字の場合は『ヴ』で呼ばれることになる。



「次、青は……」



 そうしている間も、チームわけのメンバーは次々発表されていく。達志とよく絡む人物の名前もあれば、あまり話したことのない人物の名前も。


 そして……



「……以上、メンバー発表は終わりだ。確認だが、自分の名前がない奴はいるか?」



 メンバーを全て読み上げたムヴェルは、紙を置いて生徒を見回す。どうやら名前抜けはないらしく、全員が振り分けられている。


 クラスの人数は、32名。これを五分割すると、六人の残り二人になる。赤、青、白、黒、黄……それぞれ六人の名前が書かれており、残る二人も割り振られている。


 六、七、六、六、七といった具合だ。


 全校クラスの人数が三十前後とは限らないが、それに近いものとしよう。そして一学年が五クラスあったとして、それが三学年。


 チームにわけるとはいっても、一チームそれなりの人数にはなるだろう。



「では、これをもってチームわけの発表を終わる。自分が誰と一緒なのか、確認しておけよー」



 そうして、黒板に書かれたチームメンバーを確認する。そこに書かれていたのは、とりあえず達志とよく絡むメンバーに限定すると……



勇界 達志


マルクス・ライヤ


ヘラクレス


リミ・ディ・ヴァタクシア

ルーア・カラナ


見当なし



 と、なっていた。



(パワーバランス、おかしくねえ?)



 盛大に叫びたい気持ちを、達志は必死に抑え込んだ。

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