外国に行ったお姉ちゃん
「「「ホントごめんなさいでした」」」
結局リミにバレた達志達三人(達志は自爆、ヘラクレスは達志が見つかったからか自ら出てきた)は、三人正座して(ヘラクレスの場合足がないためいつも通り)リミに謝罪していた。外で。
対するリミは、あわあわと慌てている。それはそうだ、別に謝罪を強要したわけではないのだから。
「ちょ、ちょっとやめてください! 確かに見られてたことは恥ずかしいんですけど、だからといって……」
「けどリミ、ルーアにすごい勢いだったし……」
なんとか三人の土下座をやめさせようとするリミだが、達志な指摘に「それは……」と言葉を詰まらせる。言いたいことがまとまらない、そんな顔だ。
それを見てかヘラクレスが一言。
「ははーん、タツがいるから……なんでもないです」
リミが怒らないのは、達志がいるからではないか……というヘラクレスの推測は最後まで言われることはなかった。リミの体から冷気が溢れだしたから。
その緊迫した空気を読めずか、はたまた読まずか一人の少女が手を挙げる。
「はいはいっ、リミはやはり好きな人いるんですかっ」
ルーアだ。告白を断った=他に好きな人がいると思ったのだろう。しかしそれは決まった答えが返ってくるだけだ。
「いえ、いませんけど」
「えぇっ? でも私の見立てではタ……なんでもないです」
再び冷気が溢れる。指摘されそうになって慌てて(?)いるということは、そういうことではないかと思うのだが……指摘すれば氷付けにされそうなのでやめた。
「にしても驚いたよ、リミが柔道部に勧誘されてたなんて」
と、ここで渦中の達志が口を開く。モテるモテるとは思っていたが、まさかガッチガチの体育会系の部活に勧誘されるとは。さすが……と言っていいのかどうか。
現にリミは、げんなりしている。
「困ってますよ。私には調理部が……いえ、それ以前にそもそも入る気はありませんし」
「なんで?」
「なんで、って……柔道ですよ!? あんな汗くさくて、男くさくて……耐えられません。しかもそれを、自分がやるなんて」
想像しただけでもぞっとしたのか、自分を抱き締めるようにして身を引いている。どれだけ強くても、結局のところ女の子ということだ。
とはいえ世間には柔道女子もたくさんいるが……まあ、そこは個人差というものだろう。それに、あんな筋肉ナルシストのいる部活……確かに嫌だ。
「しっかし、リミ……魔法はすごいし体術も半端ないし、結構超人だよね」
ポンコツっ娘だと思っていたが、実は脳みそ筋肉の部類なのでは。そうは思ったが、さすがにかわいそうなので言うのはやめた。
そのリミはというと、恥ずかしそうに笑みを浮かべている。
「えへへ……実は、体術の方はお姉さ……お姉ちゃんに習ったんです」
「お姉ちゃん?」
お姉ちゃん、と語るその表情はなんとも嬉しそうだ。聞いたことがないから当然なのだが、リミに姉がいるとは初耳である。
姉がいるなら……妹が、同年代の男の家で暮らしているということに何も口出ししないのだろうか。いや、両親が公認してるあたりで姉も寛大なのだろうが。
「へぇ、リミたんお姉ちゃんいたんか。どんくらい年上?」
「お姉ちゃんとは、双子なんですよ。お姉さま呼びは嫌だからってお姉ちゃんに直されたり、結構自由奔放で……中学を卒業した途端、外国に行っちゃいましたし」
「外国!?」
双子……てっきり、この学校の生徒なのではと思ったが。予想の斜め上を行き、今は外国に飛んでっているためいないのだという。というか、自由奔放すぎではなかろうか。
ただ、その嬉しそうな話し方から察するに、リミはお姉ちゃんが大好きなのだろう。ならば、長らく会えていないだろうなので寂しい思いをしてるんじゃないだろうか。
「確かに寂しかったですけど……今では、そんなことはありませんよ」
まるでこちらの心を読んだかのように答えるリミは……嬉しそうに頬を染めながら、達志に柔らかい笑顔を向けていた。




