いらっしゃいませ
それから。授業中リマはおとなしいものであった。先生にあてられても戸惑うことなく質問に答えていくし、むしろ先生のミスを指摘するくらいだ。
あんな格好と喋り方で判断してしまうのも申し訳ないが、てっきり頭が弱いのだと思っていた。だが実は……
「お姉ちゃん、昔は頭がよかったんです。どうやら今も、みたいですけど」
隣のリミ曰く、昔は頭がよかったのだと。昔はという表現は、海外に行っていたから最近のものは知らないという意味だろう。
しかし、帰ってきた姉は変わらず、頭が優秀であったようだ。
そのまま時間は過ぎていき、あっという間に放課後に。リマは意外と人付き合いはよく、今日一日でクラスの大半から人気を得ていたが、放課後には達志との約束もあるため、早々に周囲から離れた。
「タツシ殿、ようやく話ができるな!」
「あぁ、うん……すごい人気だったね」
「ふふん、そうだろうそうだろう。向こうでもそれなりに人気者だったからな!」
向こう、とは海外でのことだろう。リマの性格ならば、人気者になるのも不思議ではないと思えた。
達志も話したいことはあるし、リマだってそうだ。なので、今はリミも同居している達志の家へと、帰ることに。
「なんとタツシ殿と同棲しているとは……」
「ど、同居! 同居だから!」
「で、どこまでいった?」
「お姉ちゃん!」
放課後、テニス部所属の達志と調理部所属のリミはそれぞれ休みをもらい、三人で達志の家に帰宅。リミとセニリアが同居している、我が家だ。
「お邪魔します!」
「いらっしゃい」
「お帰りなさ……り、リマ様……?」
「よ、セニリア!」
帰宅し、出迎えてくれたセニリアは驚いている。リマ帰宅の事実を知らされていなかったのか……ハトが豆鉄砲くらった顔だ。ちなみにセニリアはハーピィで、鳥と分類するなら割と的を射ているかもしれない。
リマが海外から帰ってきたこと、今日同じクラスに転校してきたこと、積もる話もあるので家に呼んだこと……ひとまず説明をして、セニリアは納得。
「まさか、帰ってきていたとは……一言くらい教えてくれても良かったじゃないですか」
「なあに、びっくりさせたくてな! あっはは!」
この豪快な性格、とてもリミの姉だとは思えない。元々がこうなのか、それとも向こうに行って性格が変わったのか。
ともあれ、リミも達志のこととなると暴走気味なので一概におとなしい性格とは言えないが。
「おー、ここがタツシ殿の部屋か!」
「そんな珍しいものでもないけどね」
押し切られ、部屋まで案内。なぜかリミまで物珍しそうに見ている。が、考えてみればリミはあまり達志の部屋には入ったことがなかったかもしれない。
「さて、と……ようやく、落ち着いて話ができるな!」




