肆 入学式
今日は頭痛で目が覚めた。
「…………痛い。今日は快晴か…………」
この頭痛は少し特殊で、「晴れ」もしくは「快晴」の時になる。特に快晴の時が一番辛い…………
新しい家で記念すべき1日目の朝だと言うのに…………
{高校の準備しないと……}
そう言いながら着替え、朝食を摂る。
――7:40AM――
「バッグと時計と……あと電子生徒手帳っと。カバー(藍色)も忘れずにしないと」
俺の生徒手帳は特殊で、本来支給されない黒と白の黒の方を持っている。この二つは特別なことがない限り貰えない代物だ。俺の場合は過去に沢山の人を殺めたから黒になる。裏の校則で、白もしくは黒の生徒手帳の生徒は必ずカバーをつけることになっている。それ以外の色は自由に選べて、カバーをつけるのも自由。……ズルイ。つけたくないのに………そして名前がダサい。普通に電子生徒手帳でいいと思う。
説明は此処までとして登校の時間だ。
――7:55AM――
{今日から高2。怠い……}
毎年、新入生の為に「生徒会長と去年の総合ポイントが高い生徒が模擬戦」を見せる事になっている。生徒会長の名は、≪緋陽ヶ谷 火憐≫圧倒的な学力と身体能力を兼ね備えた全校生徒の憧れの存在……らしい。日本の伝統と言って良い黒髪が腰のところまで。身長は180はいっている。そして、非公認ファンクラブの崇拝対象位ががある。と言うのが耳に入ってきた情報だ。全然興味ないけど。
突然、背後から声を掛けられた。
「おっはよー。たーくーみーくーん!」
「うっさい。頭に響く」
この体質を知っている友達(?)≪敏瑞 覡≫≦男≧に返事をする。
「ひどっ。あ、今日は快晴だったね〜ゴメンゴメン」
{分かれば良い。分かれば。分かっててやってたら足ツボ……}
「今、酷いこと思っただろ!まあ、その体質?確か13歳の時に発症したんだろ。まだ治らないのかよ。」
「もうどうでも良くなってきた。てか我慢すれば良いだけだし」
{体質って治る物なのか?}
と此処で別れる。進級して別々のクラスなってしまった為今日からクラスの中でもボッチ……哀しい…………
/この時は気が付かなかったが、あの生徒会長と同じクラスになっていた/
教室に入ると黒板に座席が表示せれていた。渡された番号の席に寄ると生徒会長の隣だった。
{これは何時か放課後(男子生徒に)呼び出されるな…………主にファンクラブの連中に}
そう思っていると。生徒会長が挨拶をかけてきた。
「おはよう。鎌井……君で良いかな?私の事は知っていると思うけど、生徒会長の緋陽賀ヶ谷火憐よ。宜しくね」
「おはようございます。此方こそ1年間宜しくお願いします。俺のことはまぁ、自由に呼んで下さい」
「敬語は止して同い年なんだからもっと気軽に話そ!」
「は、はぁ分かりました。生徒会長」
「≪生徒会長≫は響きがイマイチなのよね〜。そうだ!私のことは≪カレン≫って呼んで。あなた以外に呼び捨てで呼んでいる人はいないわよ。」
「でも、他者の事を考えてみんなと同じ≦カレンさん≧って呼ぶ事にするよ」
「他者の事?」
どうやら生徒会長殿はファンクラブの事は知らないらしい。非公認だし知らなくて当然か。
まだ、俺と生徒会長の2人だけしか教室に居ない状況だったのでファンクラブの事について知っている情報だけを話した。
「ふぁんくらぶ!?私の!?」
{今更だけど、結構喋るなこの人。確かどっかの跡取りだった気が…………}
「はい、この情報はファンクラブしか知らないのですけど拠点が移ったらしいです。あ、俺はファンクラブには入っていませんよ?ファンクラブの連中が出入していた所の教室を覗いたら張り紙で『拠点は、F4の18へ移動』だそうです」
「F4の18……」
「入学式の準備。生徒会がするのでは?」
「ああ!忘れてた!そろそろ準備しに行くね。じゃあまた歓迎会で。鎌井君手加減は無しだからね!」
俺は「はい、はい」とだけ言って見送る。
{やっと静かになった…………}
――8:40AM――
教室には何時の間にか賑わっていた。
{ボーっとしてた……そろそろ入学式が始まるのか}
体育館(実技棟)へ移動する。座る席は自由なのだが生徒会長が俺が座った席の隣に座る。
{何故に俺の隣}
「鎌井君。ちょっと良いかな?」
朝より落ち着いて話してくる。何か大事な話なのだろうか。
「何か?」
「今日の歓迎会で勝負するでしょ。それで…………」
「それで?」
{何を考えているのだろうか。
「私が勝ったら……そ、その……」
“カレンちゃん。頑張って!”
生徒会長の隣の女子生徒が応援する。
{後ろの人は……副会長?}
「生徒会に入って下さい!」
俺は一瞬固まった。固まったのはおじさんの家に初めて入った時以来だけど。
うしろの女子生徒は「え?」っと言って固まっている。
{何か別の事を言う予定だったのか?}
「え?あ、はい。分かりました。その代わり、俺が勝ったら勉強を見てもらえますか?」
「それだけで良いの?もっとこう、俺の女になれとか。そう言うのじゃなくて良いの?なんて言うか、無欲だね。ポイントもお金に換えていないみたいだし」
「ええ。良く言われます。小学校の頃の作文にも今欲しい物が無いって書いたことがありますから」
{勿論、欲しいものが無いわけではない。欲しい物は『両親』だから誰にも叶えられない}
「じゃあ歓迎会の事は解決ね」
入学式が始まる。そして何事も無く無事終了する。あとは面倒臭い歓迎会だけだ。覡が話しかけてくる。
「おい、拓爾。お前何時の間に火憐さんと仲良くなったんだよ。ファンクラブの目がお前に集中放火してたぞ!」
「うん知ってた。話しかけてきたのは生徒会長の方からでけど」
知っていたと言うより。生徒会長が隣に座ってきた時から予想していた。目線が一番酷かったのは、生徒会長が理事長の挨拶で寝てしまった時に俺の肩に寄りかかった時だ。式中は絶対に手を動かしてはいけない。動かしたら先生に尋問される。←理由:結構しつこく聞いてくるから面倒い。その後新入生の言葉で生徒会長は起きたが、やけに赤面していた。
{副会長はなんでニヤニヤしてたんだろう?}
「チェッ、元から知ってたのかよ。つまんねーの。」
次は、我が高校伝統の歓迎会か。ついに来てしまっうのかこの時間が…………
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火憐視点(入学式開始から)
{はぁ、準備疲れたー。ん?そこに座っているのは鎌井君?隣は……空いてる。これはチャンス}
と思っていると、隣から副会長の惺靇が話しかけてきた。
「火憐ちゃん、火憐ちゃん。それで、前に火憐ちゃんが中学生から恋心を抱いているって言ってた相手って誰?今日、告白するんでしょ?」
「こっ恋って言うより何だろう。まぁ中学生の時から気が置けないってだけだし。向こうは私と会うのが初対面だって思っているだろうし……」
そう言いながら鎌井君の隣に座る。惺靇は勘が鋭いため直ぐに鎌井君だと見抜く。そして耳打ちしてくる。
“火憐ちゃん。今言えば?”
どう足掻いても言うしか道は無いと思った私は話しかける。
「鎌井君。ちょっと良いかな?」
私は少し間を置いて言う。
「生徒会に入って下さい!」
{言い切った!ちょっと違うけど、言い切った!でも、惺靇ちゃんは少しガッカリしてるだろうな〜}
予想通り惺靇ちゃんはガッカリしていた。
{理事長先生の挨拶長い…………眠くなってきた…………}
私はその後意識が曖昧になり、寝てしまった。
【続いて、新入生代表の言葉です】
{ヒンヤリとしてて心地良い…………?}
意識が戻った。私は誰かの肩に寄りかかっていたらしい。
“!!”
私は鎌井君の肩に寄りかかっていたのだ。
{は、恥ずかしい………………}
思わず赤面してしまった。式が終わった後、私は鎌井君から離れた。赤面していたことを隠さなければならない。
少しして落ち着いた時私は思った。
{鎌井君の肩ヒンヤリとしてたけど如何してだろう?まさか本当は死んでる!?でも心臓の鼓動は聞こえたからそれは無いか…………}
そう考えていたら突然、私の影が私を飲み込んだ。その瞬間、私の意識は静かに沈んていった。




