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舞うツバサ

「チャイカ、スズメちゃん、マッハちゃん……大丈夫なのか?」

「今は気にするヒマがない。間もない」

「パネンカか」

サポートチーム第3班所属の4年シュービル・レクスの言葉通り、間もなくシャダイのサーバータワーを目指す装騎パネンカ――サクレ・マリアが操る装騎サクレの姿が視界に入った。

「アタシが止めないと――なんとしても」

「キンチョーしてるのカ?」

「ツバサ先輩らしくないですよぉ~」

「わわわわわたしたちも精一杯支援します!」

「ああ、行けツバサ。ドンと行ってキホーテ」

「意味わからねーぞ」

レクスの言葉にツバサは苦笑しながらそう返す。

そして、装騎スーパーセルを起動させると、その瞳を装騎サクレへと向けた。

「ついに追いつかれた」

そう静かに呟くマリアだが、動揺はない。

当たり前だ。

敵の追撃があることは当たり前――そうなれば、その敵を返り討ちにすることも――

「当たり前ね」

装騎サクレは転身。

装騎スーパーセルを正面から迎え撃つ体制に入った。

「やる気か……上等だ。やってやるさ!」

「支援する」

不意に、第3班のトレーラーから軽装ライフルが現れる。

そのライフルの射撃を背にして、装騎スーパーセルが背後のブースターを光らせた。

「GO! スーパーセル、GO!!」

ギィイィイイイイイイイイイ

激しい音と火花を散らして、装騎スーパーセルのチェーンブレードと装騎サクレの突撃槍ロンがぶつかり合う。

「真っ直ぐな攻撃――なのに、驚異ね」

前傾姿勢で貪欲に攻める装騎スーパーセルと、その勢いに圧されたかのように攻撃を流す装騎サクレ。

火花を散らしながら、何度も、何度も打ち合った。

「これはゲームじゃない――となれば」

だが、不意に装騎スーパーセルが一騎に身を退く。

「っ!?」

それと同時に、左手にバーストライフルを構え、撃った。

「引いて、撃つ!」

「ロンゴミニアドっ!」

その銃撃を防ぐように、装騎サクレは突撃槍ロンを展開――霊子砲ロンゴミニアドを撃ち放つ。

「くっ」

弾け飛ぶように、半円を描きながらロンゴミニアドの霊子を回避する装騎スーパーセル。

その回避機動を利用し、装騎スーパーセルは装騎サクレの側面に回り込む。

「ふっ――右手で切るなら、左に回りたいものね」

だが、そこにはすでに霊子砲ロンゴミニアドを真っ直ぐと向ける装騎サクレの姿があった。

「しまっ――」

「やらせない!」

「レクス!?」

そこに――なんと、第3班のトレーラーが突っ込んでくる。

装騎サクレを目標に、強烈な走行音を響かせながら。

「……莫迦な真似を」

刹那、強烈な霊子の輝きと――爆発が巻き起こった。

それは、装騎サクレの霊子砲ロンゴミニアドの一撃が、トレーラーのアズルリアクターを貫き、反応した結果の霊子の奔流。

装騎サクレは素早くその場を離脱していたが、装騎スーパーセルは爆炎に巻き込まれ、全身を焦がれる。

だが、そんなことよりもツバサには問題があった。

「な、レクス! カトレ! マラード! ヒバリちゃん!」

呼びかけた通信から、声は帰ってこない。

それに、トレーラーの惨状を見れば、結果は――――

「負けられない――アタシは」

不意に、装騎スーパーセルの体中から蒼い光が放たれる。

装騎のアズルリアクターが、ツバサの強烈な意思によってフル駆動させられる。

これは――そう、

限界駆動クリティカルドライブね。いいわ」

マリアは一瞬、瞳を閉じた。

限界駆動を発揮した装騎スーパーセルを迎え撃つように、装騎サクレもその体に蒼の輝きを纏った。

これもそう――限界駆動だ。

そして、二つの蒼が交差する。

「アタシは、この国を守る。この戦いに勝って、生きて、みんなとッ」

「負けられない。未来の――為に」

互いは互いに負けられない理由がある。

それと同時に、相手の強さを感じていた。

なればこそ、

「正々堂々」

「倒す」

激しく蒼が打ち合い、蒼が弾け、蒼が閃き、蒼が爆発する。

「突貫斬り(チャージスラッシュ)!!」

「エクソダス……っ」

弾丸のように弾け飛んだ装騎スーパーセルと装騎サクレが交差し、強烈な衝撃が周囲を揺らす。

だが、その一撃で装騎スーパーセルのチェーンブレードが宙を舞った。

もっとも、それだけで諦めるツバサではない。

「まだだ! いけぇ、ブーストウィング!!」

装騎スーパーセルのブースターから過剰なアズルが放出され、まるで翼のようになる。

限界駆動だからこそ使える技――その翼は装騎サクレに向かって羽撃いた。

「ロンゴミニアド――アサルト」

その技に対して、より一層のアズルを燃やして霊子砲ロンゴミニアドを射出しながら、一気に前進する。

互いのアズルとアズルがぶつかり合う。

激しく、強烈に明滅しながら、衝撃を周囲に散らしながら、ぶつかる、ぶつかる、ぶつかるぶつかるぶつかる。

「いけぇぇえぇええええええええええええええ!!!!!!!」

「………………ッ!!!!!!!!」

限界を更に超えるかという勢いで、激しく沸き上がるアズルの中――――

「はッ!!!」

不意に装騎スーパーセルのブースタが黒煙を立ち上げる。

画面に表示されるエラーの数々。

「まさか、さっきの爆発で……」

ツバサの頭に過ったのはトレーラーが爆発した時のあのダメージ。

「……ッ、ごめん。みんな。後は、頼んだ」

刹那、霊子砲ロンゴミニアドの放ったアズルが、装騎スーパーセルのコックピットを貫いた。


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