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変動重力

この物語は「機甲女学園ステラソフィア」

「終わりの予感-Konec Létavice-」( http://ncode.syosetu.com/n0351bz/220/ )後のエピソードです。

「スズメちゃん、大丈夫なのでしょうか……」

敵装騎の足止めに出たスズメを心配するチャイカ。

「スズメちゃんなら大丈夫さ。アタシらはスズメちゃんの、思いをうけとって、敵を倒す……それだけだ」

「そう、ですわね」

ツバサの言葉にチャイカは頷く。

そう、今チーム・ブローウィングが果たすべき任務は、シャダイタワーの防衛と、ソレを目指し侵攻する敵の追撃。

ブローウィングを乗せたトレーラーが暫く進むと、目の前に一騎のバルディエル型装騎が待ち受けていた。

「足止め、か……」

「ですわね」

そのバルディエル型は巨大な斧グレイトアクスを持ち佇んでいる。

このバルディエル型装騎の名はボゥホート。

騎使はゲイネス・ボーシャ――マリア隊に所属する一人だ。

「ここで時間を割くのは惜しいな……」

「よっしゃぁぁああああ、ついにマハの出番でやがりますねぇ!」

ツバサの言葉を皆まで待たず、マッハの装騎チリペッパーが、カップの極み装備の加速機能も生かし、一気に装騎ボゥホートへと接近した。

「正面からくるかぁ!」

「うおらぁぁあああああ、マハのショットガンをくらいやがれですよォ!!」

マッハは装騎チリペッパーのファイティングショットガンを構えると、一気に撃ち放つ。

弾け飛ぶ弾丸が、装騎ボゥホートに襲い掛かる。

「甘い甘い、甘いわぁッ!!」

その攻撃に装騎ボゥホートはグレイトアクスを振り払った。

ただ、振り払っただけのようなその動きに――――だが、陽炎のような揺らぎが現れたかと思うと、ファイティングショットガンの弾丸が圧縮され、地面に叩きつけられる。

「うおォ!? 何なんですかァ!!??」

「チャイカ! 今のは魔術か!?」

「魔術……? いえ、魔術、とは少し違うようですわ。アズルを利用した疑似的な重力魔術……これは厄介ですわね」

「そうだな」

チャイカの言葉にツバサは頷いた。

「マッハちゃん! 戻って来い!!」

「こんなヤロー、マハがぶっ飛ばしてやるんですよォ!!」

「マッハちゃん!! 切り札は温存しておくモンだろ!?」

「切り札、でやがりますか!!」

咄嗟にツバサの口を突いたその言葉。

それは以外にもマッハに有効だったらしい。

マッハは頷くと、接近した時と同じくらいの超高速機動でトレーラーへと戻ってくる。

「さすがですわ。ツバサ先輩!」

「たまたまだよ。だけど、アイツは――チャイカがやるか?」

ツバサの言葉にチャイカは頷いた。

「ええ、相手は魔術ではありませんが魔術によく似た技術を駆使してますわ。ここはウチが出ます」

「これからも魔術使が控えてる可能性もあるけど……そんなこと言ってたらキリがねーか。分かったチャイカ。頼んだぞ」

「ええ、任せるのですわ」

チャイカはそう言うと装騎スネグーラチカをトレーラーから離脱させる。

「行くのですわ。魔力――砲撃!」

そして間髪入れずに弾丸に魔力を集中させた砲撃を放った。

「接近戦で勝てないから遠距離戦? ……いや、違うね。これは魔術!」

魔力砲撃を、グレイトアクスを利用した重力変動で防いだボーシャは即座にそう理解する。

その隙にトレーラーはその場を離脱。

だが、ボーシャはそれに目もくれず装騎スネグーラチカへと目を向けている。

「なーる。オレのアズル技に、魔術で対抗しようって訳だな。いいぜ、来いよ!」

そう叫ぶと、装騎ボゥホートは一気に装騎スネグーラチカへと接近した。

「正面からくる!? ウチが銃撃戦が得意だと知っていて尚、ですの!?」

チャイカは驚きながらも、すぐさま気を取り直しリディニークライフルを構える。

「ならば、正面から返り討ちにしてあげますわ。魔力――――砲撃!!」

「甘いわぁッ!!」

その一撃を今度はテフニカを使わずに、回避する装騎ボゥホート。

「中々の腕ですわね」

「生憎様、オレの勘は良く当たるんだぜ! 次は何処だ? オレの目の前に砲撃かぁ!!」

「敵の目の前に弾丸を撃ち込んで――――威嚇ですわ!」

装騎スネグーラチカの放った魔力砲撃はボーシャの予測通り、装騎ボゥホートが進むその先に撃ち込まれる。

だが装騎ボゥホートはそれを恐れずに突っ込んでいった。

「何ですの、あの装騎――――ウチの動きが分かるかのように!」

「大抵ああいう狙撃銃使ってるヤツは懐に飛び込めば弱いんだぁ!!」

一気に装騎スネグーラチカへと肉薄した装騎ボゥホートは、グレイトアクスを構えると揺らぎをその刃に追随させながら振り払う。

「ですが、この距離ですと射程が――――なっ!?」

装騎ボゥホートの一撃は確かに空振り――――だが、どういう訳だろうか装騎スネグーラチカと装騎ボゥホートの距離がグッと縮まった。

「まさか――重力操作を利用して間合いを!」

「この距離ならライフルは使えないよね! これで、終わりだよ!」

そう意気揚々と再びグレイトアクスを振り払おうとした装騎ボゥホートだが、装騎スネグーラチカの正面に突如現れた空間の歪みにハッとする。

「――――魔力衝撃は、どうだったかな」

ボーシャの言葉通り、チャイカは

「魔力、衝撃ですわ!」

魔力衝撃を放った。

「クッソぉ、負けてはやらないからぁ!!」

だが、その衝撃に踏ん張るように装騎ボゥホートを硬直させると、グレイトアクスを正面に構える。

グレイトアクスにアズルを集中させ、一気に重力の歪みを作りだした。

空間の揺らぎがぶつかり合い、混ざり合い、激しく捻じれる。

「く……、この騎使、諦めが悪いですわね」

だが、チャイカも退かない。

チャイカは、そしてボーシャも気づいていた。

互いの実力が拮抗していること、ここで戦闘を仕切り直しすると決着がつけられないこと、そして、そうなると――

「ウチはツバサ先輩の――みんなのために負けられないのですわ」

「オレは強いヤツはブッ倒す! そのためには速攻速攻速攻――それが、マリアの助けにもなるッ」

互いに譲れないものを譲ることになってしまう。

ジワジワと互いの装甲同士がぶつかりそうなほど近寄る二騎。

「ここで決めますわ!」

「ここで決めるぁ!」

この距離では武器を持っていても仕方がないと、装騎スネグーラチカはリディニークライフルを放り捨てる。

対する装騎ボゥホートもグレイトアクスを放り投げた。

互いに拳を固める。

「魔力――鉄槌、ですわ!」

「ヘヴィな、一撃ィ!」

そして、全身全霊のアズルと魔力を拳に纏い、放つ。

「ウラァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「だりゃぁああああああああああああああ!!!!」

2騎の拳は――――互い互いのコックピットを歪ませ押し潰した。


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