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21. 多少改良されていたが、

 多少改良されていたが、船の動力機構に大幅な変更は無かった。論文を読んでいて良かったと、心底思いながら浮力調整をする。

船底を掴んで放さない蔦達に引っ張って貰う分には大丈夫だろうが、支えてもらうには船が大きすぎる。徐々に船の高度を下げて、蔦や蔓の本数が増えるに任せるしかない。


 船の壁に手を置いて、植物達の様子を尋ねる。振り切られていた蔦達が船底を支え始め、最終的には船と同じくらいの大きさになって、最も負荷の高かった竜骨は安心したようだ。傷みが走るピシリピシリとした嫌な音はもうしない。

 高度を一定に保ってから甲板に出ると、舳先(へさき)で芽吹いた若木が気持ち良さそうに風に吹かれていた。船が樹海の上に差し掛かると、玄関で別れた木の精達がワラワラと寄って来た。


『おかえりー』

『おかえりー』

『お花綺麗ー』

『お船綺麗ー』

『ハーディとチビ竜お待ちかねー』

『アトゥラウトゥスの奥さんもー』

『パンのお爺ちゃんと副隊長もー』

『あと魔女ばあちゃん怒ってるー』

「何故!?」


 度肝を抜かれて尋ねたが、木の精達はキョトンとしてから顔を見合わせ、そして至極あっさりと『わかんなーい』と同時に答えた。


 見事な和音に思わず遠い目になる。

そういえば、肝心な時にまたしても私は指揮を執っていない。不可抗力とはいえ、今回は現場にすら居なかった。


(……また正座説教かぁ)


 それも特大の雷つきだろう。想像したら「はぁ」と溜め息が出そうになって、慌てて口を閉じた。

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