10. 冷たい感触で覚醒した。
冷たい感触で覚醒した。
頬の下の石は角がとれていて丸く、少し海の魚の臭いがした。
起き抜けに身動いただけで痛みが走って、私は息を止めた。あー……肋骨イッてる。
詰めた息を、そっと吐いた。
目を動かして、周りを見る。
手足を革のベルトで拘束された不自然な体勢だったけれども、うわあ。服が交換されてるよ。靴はそのままだが、皮のズボンだけって。しかもゴワゴワして気色悪。
私は曲げられた木の壁に囲まれた床下にいるが、手も足も届かない。
木が軋む音が、断続的にする。ギィ、ギィ、というリズムの中に、ピシリと傷みが入るその音は、曲げられた骨組みそのものに、かなりの負荷が掛かっているからだ。
緩いカーブを描く柱と壊れた床を見て、チビだった頃に漕いだ小舟を思い出した。
今居る場所が解った。
あの〝飛空船〟だ。
しかもココは船倉じゃない。むしろ底の底。
竜骨が見えていないだけで、私は石が敷き詰められた船の一番下に転がされている。普通は石の上に板を張るが、私の周りだけ徹底的に木が排除されていた。
多分、最初は外鍵のかかる船倉かハッキリ言えば独房に放り込んだと思う。
だが。
予想がついた私は瞼を閉じた。




