第二話:リフの過去・前
今回の話も流血表現はありません。…こ…これからと言うことで。 それでは、楽しんでいただければ幸いです!
ルナが、女給としてこの屋敷にやってくる少し前に、時間は遡る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇高い塀に囲まれた、広大な敷地を有する屋敷の庭から、元気な男の子の笑い声が響いてくる。
「母上ー!見て!すごく綺麗な蝶々でしょ?」
「あら、ほんと…きれいねぇ。」
リフの手の中では、小さな蝶が鮮やかな黄色い羽を、呼吸にあわせてゆっくりと上下させていた。
「でもね…リフ、この子は離してあげないと…。」
「えー!…やだ。」
リフは、頬を膨らませ、下を向いてしまった。母親(名はティーナという)は、優しく、幼い我が子が解るように続ける。
「リフ…リフも遊んだあとは、お家に帰りたいでしょう?その子も同じなの。」
リフが、ゆっくりと顔をあげる。
「同じ…?」
「そうよ。」
ティーナは、リフと同じ目の高さになるようにかがんだ。
「その子ももうお家に帰りたいの。そこの花壇よ。」
さっきリフが蝶を捕まえた、手入れの行き届いた花壇を指さした。
「うー…」
「それにね…その子をお家に置いてたら、リフが遊びに行っている間に…」
「え?」
「母上が食べちゃうかもー!!!」
「きゃー!!!」
立ち上がると同時に叫んだティーナの言葉に驚いたリフは、悲鳴をあげると、あわてて花壇の方まで走って行き、蝶を放した。
「よしよし、リフはいい子ね。」
満足気なティーナに、リフは頭を撫でられながら聞いた。
「は…母上は…蝶々…食べる…?」
「んー?母上、カタツムリは食べたことあるけど…蝶はないなあ…。」
「食べないで!絶対!!」
「はいはい。」
二人、そんなやりとりをしていたら、女給が呼びにきた。
「奥様!リフ様!ご主人様がお呼びです!」
「あら、いけない。今日はお客様がいらっしゃるんだったわ。」
「お忘れでしたか…。」
「ええ、すっかり。ささ、リフ、早く戻って支度をしましょう!」
「はーい!」
駆け足で屋敷に戻っていく元気な二人の後ろを、女給がおろおろしながらついていく。
「あっあっお二人共!転んで怪我でもなさったら…!
もしそんなことになったら…旦那さまに怒られるのは私なんですよー!!」
…半泣きで…。
えー…前回の後書きでいった通り、冗談抜きですすまん少年マンガ状態になってきました。打ち切りにならなきゃいいですが(苦笑)。こんな感じで過去編がだらだら続くかもしれませんが、今後とも何とぞよろしくお願いします!!