05
「その傷をえぐるようなことをしながら言──」
【世界】の手は反論を許さなかった。
十三番の言葉を途中でうめき声にしてから、【世界】が言う。
「まず『腕』をしまうがいい十三番。まだその魔術を使い慣れているとは言いがたいだろう」
促されて、十三番は【死神】の魔術を解除。同時に白骨の左腕が姿を消す。
眼窩のようになっていた左目も元に戻ったのを確認して、【世界】はようやく傷口を掴んでいた手を離した。
「素直でよろしい」
「ほとんど脅迫じゃなかったか?」
「惜しいな。あれは命令だ」
なぜか得意げに言った【世界】は、手を腰に当てて薄い胸を張る。
その拍子に身にまとった──というよりは巻いただけの布が肩から落ちかけて、【世界】が慌てて押さえるなどという事態がなければ、十三番も「どこがどう惜しいんだ」と問うこともできたのだが、
「さっきのは命令だが、ここからは忠告だ」
布をどうにか巻き直した【世界】が言葉を継ぐ。
「知らないようだから教えてやる。私は【世界】、アルカナを作った【世界】だ」
「……? その話はもう聞いて」
反論中断。
今度は【世界】の人差し指が、十三番の脇腹にある傷を小突いた。
「よし、分かりやすいように言ってやる。天才魔術師である私は、魔術を使うのもおぼつかない、生まれたての仔馬のような輩に守られる必要など、これっぽちもない。宣言する。根に持つぞ。ずっと覚えておいてやる。そして許さない」




