エピソード3
まわりには草原が広がっていた。マップを見ると、かなり広いことがわかった。
「シュン これから何をするんだ?」
「草原の初心者用の雑魚狩りでレベル上げをしたいんだがそれでいいか?」
「ああ。」
「ここらへんの敵はカスいからお前ひとりで倒して見ろ。」
「ずいぶん余裕ぶってるな。」
「戦いはβテストのときにかなりしたから大丈夫だ。」
「そういえば前もそんなこと言ってたな。」
会話しながら歩いていると不意にガサッと音がした。
「来るぞっ!!武器を構えろっ。」
「言われなくてもそうしてるよっ。」
腰に装備していた短剣以上長剣未満の双剣を構える。まわりの草むらから緑色のモ
ンスターが現れる。そいつの頭上には≪プチゴブリン≫とあった。手には棍棒の様
な物を持っている。
「先手必勝っ!!でりゃぁぁ!!」
プチゴブリンに切りかかる。が棍棒で受け止められる。そこでもう片方の剣を振り
下ろす。今度は当たりプチゴブリンの上のHPバーが一割ほど削れる。
「よっしゃ」
「危ないっ!!」
気が付いた時には目の前に棍棒が迫っていた。棍棒が当たり尻餅をついてた。痛み
はないが衝撃が顔につたわった。HPも一割ほど減り64になっていた。
「くっ。まだだっ!!」
怒りの高速連撃をお見舞いする。残りHPが0になったところでプチゴブリンが倒
れ光の粒になる。そしてドロップアイテムと獲得経験値が光のボードに現れる。
「初戦おつかれ。」
「予想以上に疲れるな。」
「ところであ…」
会話は途中で遮られた。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!
目の前に赤いアイコンが現れた。そこには強制送還開始と書いてあった。
自分のまわりが光に包まれた。光が消えるとそこは最初にいた始まりの街の広場
だった。広場の上の空には仮面をつけてマントを羽織った男の人が立っていた。
「やあ。諸君。私はこのゲームの開発者さ。君達に良い事を教えてあげよう。
メニューを開いてください。ほらログアウトが消えてる。」
するとそこらじゅうから不満が爆発する。
「どういうことだ!!」「ここから出せよ!!」「ふざけんな!!」
「うるせぇぇぇぇぇっっ!!」
辺りは静まり返る。
「脱出方法はただ一つ。ゲームをクリアすること。じゃ、頑張って~。」
男は一度消えたがまた戻ってきた。
「あ、そうそう死んだら現実でも死ぬから。」
再び男は消えた。その時誰かに引っ張られ人ごみから離れた。