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騎士を拾ったら  作者: 岸田ぬー
3/3

出会い

 ここはどこだろう……。どこかの寂れた農村かな? 遠くに畑と森が見える。でも全ての風景がセピア色だ……。これは夢? 思い出? ……あれ、でもこれは私のものではないはず……。



『ねえ、プリムローズちゃん。どうしてプリムローズちゃんの家族は、みんなバラバラなの?』


『え? みんなバラバラって?』


『知らないのー? パパも、ママも、お兄ちゃんも、村のみんなも言ってるのに、本当に知らないのー?』


『う、うん……。』


『じゃあ、教えてあげる! えっとぉ、なんて言ってたっけ、たしか、そう!”寄せ集めの家族”だって! 顔も全然似てないから血もつながってないはずだって! プリムローズちゃん、本当の家族と暮らしてないなんて、かわいそうだね』


『かわいそう……?』


『うん! かわいそう! かわいそうだから、仲良くするのよってママが言ってた!』


『えっと……、うん、ありがとう……リタは優しいんだね……。』


『でしょっ! ……ねえ、そうだ! 遊んであげるんだから、私の言うことは何でも聞くのよ。逆らったりしたら、仲間はずれにするからね?』


『……。』


『ローズ。そんな条件飲むことないよ。僕と向こうで遊ぼう』


『あ、ユリアン。……うん』


『ちょ、ちょっとどこへ行くの! 今のはウソ! 冗談だからユリアン君も一緒に遊びましょう! ……あーあ。もう、あの子じゃま!』



『ねえ、ユリアン。さっきの話、聞いてた?』

『うん、最初から最後までローズがずっと言い負かされてたの見てたよ。』

『ひどいっ。……ねえ、ユリアンは、いや、やっぱりなんでもない。』

『……僕は世界一幸せ者で、誰がどう見たって可哀そうじゃない。』

『すごいね、ユリアンは。私はそこまで言い切れる自信ないよ。』

『だろうね。君はこの村一番の不幸者だ。”村の連中”がどう見たってね。』

『う、うわああああん。ひどいいい、どうしてえええ、どうしてそこまでいうのおお』

『うわっ、泣くなよ。世界一不幸者とは言ってないだろう。……しょうがないなあ、プリムローズは。はあ。……世界で二番目の幸せ者の称号を、君に捧げることをここに誓おう。何年掛るかは知らないがね。ねえ、今のちゃんと聞いてた?』

『え? あ、ごめん。泣いたら眠くなっちゃった、ユリアンおぶって』

『……昔は可愛かったのに。はあ』



 景色が急に霞んだ。5歳ぐらいの泣き虫の少女とやけにませた少年が、どんどん遠く見えなくなっていく。

 それと同時に鈍い、いや、はっきりとした痛みが頭を襲った。



 痛い痛い痛い!何これ、夢じゃないよね!?


 ――その時――


「おい! いつまで寝てんだ! さっさと起きな!」


 痛みで目を覚ますと、そこにはなんだか見たことのある、しかし手には凶器とみられるフライパンをもった少女と、その横でおろおろと慌てている少年がいた。





 

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