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この命果てるまで…  作者: 賀来麻奥
とある自殺者
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ブラック・ボックスとデス・シューズ

 1月3日―――。

「ブラック・ボックスが今日部活休んだぞ」

「自分のデス・シューズに殺されたんだろ」物騒なことを言う中学2年の1組で卓球グループの数人の男子が2つの空席の机の上に落書きをしていた。そこには健太と一郎という双子の兄弟の席だ。

 マジックで一郎のほうに"この方はブラック・ボックス"に吸い込まれました、健太のほうに"デス・シューズはお亡くなりになりました"と中2病的な事を書いている。何故学校が無い日に卓球グループが教室に入っているかというと、卓球部の更衣室として学校の一室を使用しているからだ。金が無いのだろう。

 話を戻してこのいじめの事の成り行きは1週間前のことを話せばよくわかるだろう。


 健太は卓球部所属でありまじめに練習に取り組む反面、勉強を若干おろそかにするという場面が見受けられた。兄の一郎は勉強がまあまあできる代わりに、部活動などに興味を持たなかった。

 さて兄が一郎だから弟が何故次郎とかでなく健太という普通の名前になったかは知る由も無いが、ブラック・ボックスとデス・シューズというあだ名はこの日付いたのだ。

 12月27日の最後の部活の日だった。その日健太はギリギリの時間にやってきた。


 準備の早いやつは既に卓球台を出して打っており一定のリズムでピンポン球がラケットにはじかれてネットで分断された2つのコートを行き来している。そのさなか練習を始めていない数人の男子がいた。

 3年が引退しちょうど緩んでいる時期だ。

「ハァーきつい」と一言、大智が呟いた。それに応じて

「全くだ。あれ?健太は今日まだ来てないな」あたりを見渡しながら中浦が言った。

「はぁー寝るか」と言って体育館の隅で寝転がったのは健次郎だ。

「そこにコンドルが襲来した!」と急に鳥のようなまねをしながら健次郎の胸部を軽くつついたのは笹本だ。

「健次郎司令官が中枢部をやられた!きっと爆発してしまうよ」とだいぶ昔の某アニメのセリフを正行が言ったのに便乗して、大智が

「皆下がれ!早く!コン〇〇司令官が爆発するぞ!」と言うなり、健次郎が

「うぉぉおおおおおおお」と言い初代トラン〇フォーマのネタは終了した。

 

  同時に健太がやってきた。そして部活を行い今年最後の練習が終了した。


 そして帰りに更衣室に行った。そして時間が起こった。

 卓球部の更衣室として扱われている部屋には空き箱があった。それが少々小さくシューズを入れるにはピッタリだった。

 健太は部室にひとつ前のシューズを置いていた。そしてその箱からシューズを出すと…。


 奴だが出た。黒くてかさかさするGだ。通称”ゴキブリ”だ。



 ゴキブリはすぐに処刑され窓から捨てられたが健太は辛い。そしてその箱をブラック・ボックス。そしてそのシューズをデス・シューズと呼んだ。


 12月29日 兄の一郎と共に買い物に行ってたとき…奴らと会った。そして

「あっブラック・ボックスだ!」

「ゴキブリデス・シューズ野郎だ」と早速はやしたてた。

 

 兄が仲介に入ろうとしたが逆に健太と同種族みたいなことをいわれブラック・ボックスの名前が健太から削除され、兄の一郎に謙譲された。


 その日から兄弟はノイローゼとなった。すべてを投げ出したようになった。


 たまに外に出ると世間は狭いものでまたやつらと会いデス・シューズとブラック・ボックスとはやし立てられ金まで取られた。



 1月3日。正月を終え早くも今日から部活が始まるのだがそこに健太の姿は無かった。誰が雄一郎と同じく自殺ホームページで例のメールアドレスを使用したと知っているだろうか?

 

  

 自殺志願者は少しずつ増えていく。

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