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この命果てるまで…  作者: 賀来麻奥
本題=サタンとの闘戦記=
10/15

すべてはここから…

 やっとこの日が来たのか。コツコツコツ…と彼が歩く音はその空間に響く。殺風景なコンクリートむき出しの壁には奇妙な設計図らしきものがある。暗い部屋を照らしているのは機械が出しているけし粒ごとき小さな光と天井につるされている裸の電球だけだ。


 「フハハハハ…」狂ったように笑い出した彼はそういうと暗い部屋の中心に置かれている机に目をやった。その場所は他のところに比べれば幾分か明るい。その机の上には機械人形とでも言うべきものが乗っていた。

 「さあ…動け!動くんだ!!」彼は充血した目をいままで失敗したため遺棄した機械の残骸に焦点を合わせずただただ、それを見ていた。彼はスイッチを押した。


 …少しばかり沈黙の時間が流れた。それが永遠のものなのかはしらない。場合によっては自分が死んでもおかしくないエネルギーが目の前、いや彼をとりまくこの周りの空間とでも言うべき部屋で流れているのだから。

 ピピピ…電子音が聞こえ、ザザッとノイズの音が聞こえた。

 《エラー番号239…修正中》機械からその言葉が聞こえたとき彼はピクリと動き額から冷や汗を流した…。「頼む」と男は懇願するかのようにそれを見ていた。


 《エラーを修正しました。実験体006はコンとロール制御プログラムを無事実行しました。実験体006起動します…》ピピピ…という電子音が再び鳴りそれが男の頭の中を暴れまわるように流れ込んだ。



 バチッ!!…目の前で閃光が走りブレーカがショートしたのか電気が消えたが予備電源が作動し部屋の明かりが戻るとそれも起動し始めた。


 前長1メートルと小柄。重量は重く80キロもあるがこれでも軽量化している。人間と同等で関節という関節が動く。人工知能はスーパーコンピュータに匹敵する。動力は初期は原子力予定だったが、危険で機動性に疑問がありそれで大型になるのはさけられないため、風力、光力の2つの物を利用して体内にある蓄電池がこれらを動かすのである。ただ光力と風力は人工知能維持程度の電力しか発電できない。そのため専ら蓄電池に頼るしかないのだ。…というのが5号までの設計だった。


 この6号は違う。科学燃料を利用した30万馬力の機械人形である。前長は1メートル20センチで重量は100キロとなり、人工知能はそのままだが冷却機能で長時間の使用に耐えれる。そして先ほどの風力と光電に加え自身がだす振動そのものを動力源に変えるものを付け加えた。


 活動時間はFULL使用で48時間の2日間だ。これは科学燃料だけでのものであり振動源を利用すれば恐ろしく跳ね上がる。というより省電力モードとなれば半永久的に動ける。



 それは起き上がった。彼の目の前で。

「私の声が聞こえるかね。聞こえたらなんでもいいから返事かそれに匹敵するようなものを示してくれ」彼はそういった。


「…亜sdghzxcくぇr注意尾pvbんmjkl」正体不明の語源を吐き出す。するとその機械人形は手をものすごい勢いで突き出して、彼の内臓をえぐった。

 赤い飛沫の液体が飛び散った。彼は吐血してぐったりとうなだれた。機械人形と床は赤く染まった。

 

 「…いぞ。この施設ごと焼き払ってしまえ」彼はそういうと後ろ向き倒れた。後頭部を強打し鈍い音と共に彼の意識は永遠に消えた。


 

 「承知致しました」その機械人形は近くにあった石油缶を床にたたきつけた。すごい勢いで叩き付けられた石油缶は割れた。燃料が噴出しライターでそのコンクリートに貼り付けられていた設計図に引火して機械人形は早歩きで去っていった。



 数分でその建造物は爆発した。




 ここに誕生したのがすべての元凶であるサタン2世である。30万馬力で半永久的な動力源を持ち恐ろしき破壊力と人工知能を持った機械人形をかれはそう呼んだ。



 そして"彼"の親友であったある男のひとつの戦記である。  



 世界の恐怖はこの日から始まったのだ。時に1995年1月15日。

 次回「彼はどこだ!!」

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