最悪はお前次第
守ってきたつもりだ。マナーもルールも。
なのに何で、ずっと苦しいんだろう。
力む足は動かなくて、前には壁と光があった。
大きな爆発音で目を覚ます。空は青くて、空気が綺麗だ。そして火薬の匂い。
「いいネェ!派手に決まってるよォ!」
テンションの高い声だ。耳が痛くなる。そちらにゆっくり目を向けると、大量のダイナマイトとそれを加えて自撮りする若い男女が居た。
「はい着火ァ!!」
鼓膜に穴が空きそうなほどの爆音が鳴り響く。爆発の中から炭だらけの二人が笑顔で現れる。
「うーん…!最高!!」
何をやってるんだ…。
「お おっさん気が付いた?」
俺の方を見て男が笑う。命知らずのガキしか見当たらない現状、まさかコイツらに救われたのか。
「爆発物の中からおっさん見つけた時は流石に引いたよね」
救われてない。偶然拾われただけか。
「俺は…死んだのか?」
「あ……まさかこっちに来れたカンジ?」
「死んでねーよ 寧ろ生まれた」
求めていた答えとは思わぬ返答に頭を掻く。
「俺たちは『トラッシュ』 まぁ…ゴミだ!」
ゴミ?
「だから楽しむの!おっさん!」
どういう事?
疲れた身体で運転していた事は覚えてる。多分派手に衝突してしまったのだろう。そして死ねずにここに居る。テンションの高い若者と同じ土俵に居る。頭が痛い。
「まずは撮ろうよ!」
取り出したのは古いインスタントカメラ。
「丈夫なんだよねーコレ」
慣れた手つきで内側にカメラを向けて、俺を挟んで3人でパシャリ。どんな写真になってるかも分からない非効率な自撮りだ。
「現像できる方法知らないけどな!」
意味あるのかコレ。
「また来たよ!花火じゃないあれ!?」
思ったより近くにある地平線。そこから光と共に現れる大量の玉。花火の時に使う寸尺玉の様だ。
「もっと派手なこと出来そう!!」
二人はその出現した物の方に駆けていく。置いてかれては困る、久しぶりに全力で追いかけた。
「導火線…めんどいな デッカい火用意してぶち込もうぜ!」
なんて頭の悪い発想。
「昨日キャンプファイヤーしてたから丁度いいね!」
「それな!恵まれてる!」
どうしよう、おっさんついて行けないや。
「じゃ!点火!」
キャンプファイヤーが如何とか言ってただろ。何で火付けてんだよ。
しかも導火線無視して根の方に火をつけた。すぐに爆発は連鎖して、俺も巻き込まれた。
綺麗だった。ゼロ距離で見る花火は、時間が止まった様で。感動のあまり泣いてしまった。
「やっぱ爆発は最高だね!」
「な!トラッシュになって良かった!」
感動の余韻を後押しする様に二人が話す。どんな衝撃も火力も効かない身体になってしまっていた。俺も、二人と同じ「トラッシュ」に転生したみたいだ。
「明日はどう過ごそっか!」
「明日は大事な日だろ!」
男はポケットから1枚の紙を取り出す。なぜ紙が無事なのかはさて置く。
『明日10人の人間が広場に送られる 課題に沿ってゲームを進めろ』
「やんないとなーコレ」
「あー…デスゲーム」
デスゲーム……デスゲーム!?




