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手紙  作者: 境浄一郎
1/1

俺の手紙 1


....カタン....



聞き慣れない音がした。

けれど何かはわかった。

玄関のドアについている郵便箱に何かが落ちた音。ただ、郵便物ならドアの横の郵便箱に入れるはずなのだが。それよりも郵便物が俺に届かれた事自体驚く事だ。真夏の俺の部屋、まるでサウナのような暑さと嫌な肌触りを引き起こす湿度。ぬるい風を送る扇風機の前、唯一の生存可能な場所。そんな楽園からも俺を動かした異常な事態。


立ち上がり玄関へ。

ドアの前にしゃがむ。ふくらはぎと太ももが汗でくっつく。

郵便箱の取っ手に指をかけ一度引く、が思ったより取りだし口は固かった。次は強く手前斜め下に思いっきり引いた。



ガタン!



取りだし口が開いた。強く引いたせいでツマミを離していた。



スト..



郵便箱の中から紙が落ちた。


手に取り見ると、よく見る横長の白い普通の封筒だ。しっかりノリ付けしてあり手で開いたらビリビリに汚くなりそうだった。立ち上がり、リビングに戻り机の上のハサミを手に取ってぬるい楽園に座る。封筒の中に入っているものを切らないよう、封筒の外側から手で位置を把握しながら横を縦に切った。

切った口から右手人差し指と親指を入れ中の紙を掴んだ。



激痛。

指先から熱いような冷たいような。

刺さるような殴られるような。

切られるような溶かされるような。

そんな痛みを右腕に感じ、封筒を放り投げ、楽園に横たわる。

目をグッとつむり、歯をくいしばり、痛みが遠退くのを待つ。



どのくらいの時間が経ったのだろう。次第に右腕は麻痺しはじめた。痛みが和らいでいく。



目を開ける。



右腕を見ると指先からヒジまで手紙を掴んだ時と同じ形のまま動かない。扇風機からのぬるい風があたる感覚も無い。

左手で右腕を触ってみる。右腕の感覚は全く無い。だが左手で触った感覚は何やらザラザラしていた。さっきまでの感触ではない。固くザラザラ、何だか無機物のような感じ。

この感触を俺は知っている。






俺の右手は紙になっていた。

小説が完結したら書こうと思います。

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