能力実験
日曜日は特にすることもなかったので、家にいながらバレずに試せる能力を検証して過ごすことにした。
まず分かったのは、どの能力も使った後には必ず疲労感が来るということだ。
浮いたあと、殴ったあと、移動したあと。
程度の差はあれど、確実に体力は削られている。
だが――。
自然治癒能力のおかげなのか、時間が経つとその疲労は消えていった。
実際、ヤンキーを倒したあと腕が筋肉痛になったが、二時間もすれば嘘みたいに治っていた。
浮遊したときの疲労感も、同じくらいで回復する。
どうやらこの自然治癒能力は常時発動していて、だいたい二時間あれば身体を元通りにしてくれるらしい。
病気や怪我を治す能力については、さすがに試せる相手がいなかったため検証できなかった。
次に、瞬間移動。
いつものように星を見に行く丘を思い浮かべた瞬間、視界が歪み――一瞬で景色が切り替わった。
成功だ。
調子に乗って、写真を見ながら「ニューヨーク」と念じてみたが、何も起こらない。
どうやら一度行ったことのある場所にしか移動できないらしい。
さらに色々試した結果、県外にある祖父母の家まで移動すると、立っているのもやっとなほど疲労した。
距離が長くなるほど、消耗も大きくなるようだ。
最後は飛行能力。
昼間に空を飛べば、さすがに目立ちすぎる。
夜になるのを待ち、「星を見に行く」と家族に告げて外へ出た。
目立たない服装に、念のため馬のマスク。
いくら夜でも、顔だけは絶対にバレたくない。
まずは浮遊。
次に、そのまま前へ。
身体を地面と平行にして飛んでみる。
……速い。
想像していたヒーローそのものの感覚だった。
どこまで行けるのか試そうと、今度は真上へ上昇する。
だが、上に行くほど息が苦しくなり、すぐに限界が来た。
宇宙までは行けそうにない。
しばらく飛び続けていると、じわじわと疲労感が出てきた。
おそらく、自然治癒で回復する体力よりも、飛行で消費する体力のほうが上回ったのだろう。
そのまま高度を下げ、人目につかない少し離れた場所へ着地した。
誰かに見られていても大丈夫なように――そう考えての判断だった。
普段通り帰宅し、家の玄関の前でマスクを外す。
何事もなかったかのように、家に入った。
さて、問題は明日からの学校だ。
ガチャ、と扉を閉める。
……このとき、俺は油断していた。
本当は、着地してすぐにマスクを外すべきだったのだ。




