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強大な能力

どうしよう。

動揺が、まったく隠せない。


とりあえず深呼吸をして、もう一度浮いてみる。


テレビで見た宇宙飛行士の映像みたいに、重力をほとんど感じることなく身体が宙に浮いた。


地面に戻ると、少し遠くまで散歩したくらいの疲労感があった。


……やっぱり、体力は使うんだな。


それを確認できたのはいい。

だが、問題は別にあった。


この特殊能力を手に入れたことを、誰かに言うべきなのか。


明後日からは、また普通に学校が始まる。

それに、あと二、三時間もすれば家族が帰ってくる。


映画で見たスーパーヒーローたちは、だいたい能力を秘密にしている。

「大きな力には大きな責任が伴う」なんて言葉も聞いたことがある。


そもそも、この紙に書かれた能力がすべて本物だったらどうなる。

日本政府に――いや、アメリカ政府に捕まって、人体実験でもされるかもしれない。


そう考えると、急に怖くなってきた。


そのとき、玄関の方からガチャ、と鍵の開く音がした。


「ただいま」


母の声だ。


「おかえり」と返事をすると、母が続けて言った。


「美菜ちゃんから迎え頼まれてて。お母さん、やることあるから、ちょっと歩いて迎えに行ってあげて」


妹が友達の家に遊びに行って遅くなるとき、両親は心配だからと迎えに行かせる。


本当は車で迎えに来てほしいんだろうけど……仕方がない。

迎えに行くことにした。


しばらく歩くと、少し先の公園で、女の子たちがヤンチャそうな男たちに絡まれているのが見えた。


うわ、通報した方がいいかな――そう思いながら近づいていく。


すると、その女の子たちは妹と、妹の友達だった。


瞬時に“助けなきゃ”と思った。


通報もしていないのに、俺は叫んでいた。


「おい! 警察に通報したぞ!」


男たちが、ぎろりとこちらを見る。


「あん? お前、何者だ?」


「俺はその子のお兄ちゃんだ!」


すると一人の男が、仲間に向かって命令した。


「おい、女ども連れてけ」


同時に、そいつが俺に殴りかかってくる。


やばい、殴られる――そう思った瞬間。


相手の拳が、スローモーションみたいに見えた。


……遅い。


余裕をもってかわし、暇だったので軽く腹に拳を当てる。


次の瞬間、男の身体が吹き飛び、少し離れた砂場に叩きつけられた。


妹たちを掴んでいた男たちが、呆然とこちらを見る。


やがて、妹たちから手を離し、吹き飛ばされた仲間のもとへ駆け寄った。


足を震わせながら担ぎ上げ、そのまま逃げていった。


妹たちは涙を浮かべながら、俺に抱きついてくる。


「怖かった……ありがとう」


……なんて、強大な力を手にしてしまったんだろう。


頭の中が、そのことでいっぱいになった。


妹の友達を家まで送り、帰り道で美菜が聞いてきた。


「おにぃ、そんなに強かったんだ。どこかで鍛えたの?」


「いや……今日、サンタからもらった」


言ってもいいかと思い、正直に打ち明けた。


「は? 何言ってんの? 頭打った?」


即座に返される。


「いや〜……師匠のおかげ、かな」


適当に誤魔化した。


……やっぱり、信じてもらえるわけがない。


この力のことは、黙っておこう。

そう、心に決めた。


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