No.8 初層部とは
「じゃあ次は所属・・・の前に。海斗!新しいメモ帳持ってきて。」
「わかった。」
そう指示を受けて、海斗は立ち上がり、近くの棚から何やら青色の小さなノートを取り出した。
そして、それをそのまま彼方に渡した。
「ありがとうございます。」
「ん。」
「ありがと。それ今後メモに使って。なくなったら新しいのあげるから言って。」
「わかりました。あの、ペンを貸していただけますか?」
そう言うと、隣にいた海斗が自身の持っていたシャーペンを差し出した。
それを有難く受け取って、ページを開く。
それは罫線もない、真っ白なページだった。
彼方はそこに一つ、Talentと書いた。
「ごめんね。渡すのが遅くて。」
「いえ、ありがとうございます。」
「じゃ。これからまた話してくから、自由にメモ取っていいからね。」
「はい。」
返事をすると、風花は嬉しそうに頷いて、そしてTalentについて話し始めた。
「Talentは今、二部構成になってるんだ。今あるのは、上層部と下層部。」
「上層部と下層部、ですね。」
「うん。あ、いや、下層部は今後中層部になるから、上層部と中層部だね。まあ、二つの部があると思っておいて。」
「はい。」
「今Talentに所属してるのは十五人。六人が上層部で、残りが下層部…じゃなくて中層部。」
彼方はその情報を図にしてメモ帳にまとめた。
彼方のメモを取るペースに合わせて、風花は話を続けた。
「そのうちの上層部っていうのが、海斗と自分が所属してるところ。あと四人いるんだけど、まぁそこは会ってから覚えればいいよ。」
「わかりました。」
「それで、彼方くんが入ってもらう予定の部なんだけど。初層部に所属してもらう。」
「初層部・・・ですか?」
初層部。先ほどの説明には初層部というものはなかったはずだ。
少し困惑している彼方に、風花は少しペースを落として説明し始めた。
「初層部っていうのは、これから新しく作る部のことだよ。」
「新しく…。」
「そう。実は、彼方くんのほかに、あと七人。新しくTalentに所属してくれる子がいるんだ。」
「そうなんですか。」
「ほら、彼方くんは海斗の推薦って形で入るって言ったでしょ?そんな感じで上層部が推薦する形で何人か入ってきてくれるんだよ。それで・・・・・。」
風花の話は少し長く続いた。
まとめると、どうやら自分含め八人の一斉採用があるらしい。
全員が上層部の誰かの推薦で入ってくることになっているそうだ。
そして、新しく初層部という部を作り、そこにその八人が所属することになる、ということらしい。
「まぁ、つまりは初層部の全員が彼方くんの同期ってことだね。」
「ある程度は理解しました。」
「初層部のことは上層部がちゃんと面倒見るから安心してね。」
「はい。」
そう言った風花は立ち上がり、デスクに置きっぱなしにしていた契約書を持ってきた。
風花が椅子に座った後、また少し説明があった。
公にTalentのことを公言しないこと。
業務は未成年の間は、五時から二十二時の間ですること。
シフト制だが、週に一度は来ること。
給料は給与明細と共に、封筒で渡されること。
そのほかにも、多くの細かいことを言われた。
彼方はそれを静かに聞いていた。




