No.3 幼馴染み
「やっと一学期終わったー!」
「うるさい。」
「えー。彼方は嬉しくねーの?」
「別に。」
「俺は嬉しいけどな。夏休み。」
終業式が終わり、夏の真昼間という非常に暑い中、彼方は幼馴染の寿蛍と帰路についていた。
真っ赤な瞳で、金色の髪をした人物で、自他共に認めるイケメンである。
蛍とは小学校の頃から高校の今まで、違うクラスになったことがない。
関わる機会がとても多く、その影響で一緒に行動することが多くなった。
彼方の数少ない友達といえる存在である。
「夏が好きじゃない。暑い。」
「あー、それはわかるわ。肌が焼けちゃうんだよな。彼方はもっと焼いた方がいいと思うけど。」
「やだ。」
「全然外出ねーもんな彼方は。」
「余計なお世話。」
海斗さんとか兄さんとかと話している方が楽しい。
その言葉は言わないでおいた。
「まぁ、今年の夏はいっぱい遊びに誘ってやるから。」
「俺、今年の夏休みは全部予定入ってる。」
「はぁ!?マジで?全部?」
「うん。」
「マジかよぉ。」
兄ちゃんも今年は全部埋まってるって言ってたし姉ちゃんは相変わらず仕事だし、と蛍は何やら不満を言っていた。
その不満に少しばかり同情する。
だが、昨日決まったとはいえ先に海斗とした約束なわけで、仕方のないことである。
まぁ、予定がなかったとして、行くかどうかはその時の気分次第だが。
蛍は足元の小石を蹴りながら、いじけモードに入っていた。
「親友と会えなくて寂しくねーのかよ。」
「親友じゃないだろ。」
「俺は親友だと思ってっし。」
何かとつけて、蛍は彼方のことを親友と呼ぶ。
彼方としては他に仲がいい人こそいないものの、親友と呼ぶほどではないと思っている。
むしろ、それがうっとおしく思っているほどだ。
「えー。じゃあ俺今年何すればいいんだよ。」
「知らない。彼女でも作ったら?イケメンなんだろ?」
「余計なお世話!だったらお前は、もっと友達作った方がいいんじゃねーの?」
蛍はにやにやしながらそう言った。
「気が向いたらな。」
「まぁできなくても俺がいるから安心しろよ!」
何も安心できないのだが、もうそれは気にしないことにした。
彼方には、どうしても友達が欲しいという願望はない。
ただ、少し不思議には思うことがあった。
クラスの人から全く話しかけられることがないのである。
彼方から話しかけることはあるが、話しかけられる回数は圧倒的に少なかった。
特別彼方がいじめられているというわけではない。
理由は明白であった。
彼方が酷く美人だからである。
加えて、彼方は学校での口数が多くない。
それゆえに気軽に話しかけてはいけないような印象を持たれてしまっているのである。
彼方自身はそのことに気が付いてはいなかった。
蛍と別れた後、蛍が気軽に発した友達を作れという言葉に若干傷つきながら帰っていた。
玄関のドアを開けようとすると、ふと背面から大きな影がかかった。
振り返ってみると、予想通り。
海斗が真後ろに立っていた。




