No.14 既視感の正体
「ごめんなさい。驚かせてしまって。」
「いや、大丈夫。喧嘩じゃないならよかった。」
水色の人の説明を聞いて、ドアを開けたその人は困惑しながらもそう返事を返した。
簡単に言ってしまえば、彼方の姿をみて倒れていましたということなので、現場に居なければ疑問符が浮かぶのも当然である。
ドアを開けた人に続いて入って来た二人も、よくわからないといった表情を浮かべていた。
「要は美人さん好きすぎてオーバーヒートしてたってことね。」
そう茶色の人に言われたその人は、理解はしていないが納得はしたようだった。
入って来たのは三人。
まずはドアを開けた人。
体格がよく、金色の短髪で、目はアメジストのような深い紫色をしている。
見るに、おそらくこの人が上層部だろう。
次が、こげ茶色の髪と目の、角ばった眼鏡をかけている人。
そして恐る恐る入って来た、真っ黒な髪の毛に真っ赤な目をした人。
両目の下に一つずつほくろがある。
人見知りなのか、眼鏡の人の後ろに、半身隠れるようにしてこちらの様子を窺っていた。
今この部屋にそろっているのは、彼方含めて十一人。
こうも人が多くなってくると、広く感じられていた部屋も、だんだんと窮屈に思えてくる。
金髪の人は部屋を見回して、準備してくるとだけ言い、海斗を連れて外に行ってしまった。
手伝うと言ったが海斗に止められ、仕方がないので初層部であろう人が集まっているところに寄ってみる。
先ほどのことについて話していたらしい。
丁度、眼鏡の人が水色の人に話しかけているところだった。
「大丈夫だった?頭打ってない?」
「はい。大丈夫です。」
「あ、彼方!」
「ひあぁぁぁ。」
真が彼方の名前を呼ぶと、水色の人は変な声を上げて、彼方を見ないようにそっぽを向いて顔を隠した。
こうもされると嫌われているような感覚になる。
でも、時折指の隙間からこちらを見ているため、嫌いでないことは確かである。
仕方がないので、彼の真正面に立たないよう、真と白夜の間に入る。
水色の人以外の全員から、しげしげと顔を見られ、若干の気まずさを感じた。
「確かに彼方、綺麗な顔してるよな。」
関心したように真がそういうと、水色の人があり得ないとでもいうような声を出した。
「え、知らないの!?彼方くん、美人って学校で有名だよ!?」
「そうだっけ?」
「そうだよ!月から来たって噂、知らない?ほら、他学年の間で流行ってるやつ。」
「え、知らねぇ。そんなんあんの?」
自分にそんな噂があったのかと、変な気分になる。
だが、そんな二人の会話を聞いて、どこで二人を見たことがあるのかを思い出した。
学校で見たことがある。
他学年のフロアにはあまり行かないので、おそらく同級生だろう。
彼方と同じクラスになったことはなかったはずだ。
そのことについても、その変な噂についても聞きたいことがあったのだが、また倒れられても困るので、一歩踏みとどまった。




