No.13 水色の人
次に戸が開いたとき、入って来たのは茶色の髪に浅葱色のような瞳をした無表情な人だった。
その後ろから、空のような水色の髪の人が入ろうとする。
緊張しているのだろうか。
うつむき加減で目はよく見えず、髪留めを付けていることはわかった。
水色の彼のことをただ見ていると、パっと顔を上げた。
中を見回したかと思えば、情けない声を上げてその場にへなへなと座り込んでしまう。
そして体育座りのような体勢で、頭を腕の中にうずめてしまった。
びっくりしていると、先に入って来た茶色の人が、その水色の人の近くにしゃがみこんで声を掛けた。
「どうしたの?何かあった?」
水色の人はその体勢のまま何か小さく答えたらしい。
茶色の人はそれを聞いてあきれたように息を吐き、背を伸ばした。
そして部屋の中を見回し、ふと彼方に目をおいた。
その人はどこか納得したような素振りをして、無表情のまま彼方に手招きをする。
それに従うように近くに行ってみると、その人は頷いて、また水色の人に声を掛けた。
「とりあえず中に入ろう。ここじゃ邪魔になる。」
「無理です。」
「大丈夫だよ。」
「う゛ー。」
そう唸り声を上げながらも、水色の人はゆっくりと顔を上げた。
先ほどまで見えなかった彼のオッドアイの目が、目の前にいた彼方の綺麗な琥珀色の目と合った。
ヒュッと息が詰まるような音がしたと思ったら、彼は顔を真っ赤になっていく。
そのまま彼は手で顔を覆い、後ろに倒れこんでしまった。
「極度の美人好きなんだよ。この子。」
そう言って茶色の人は立ち上がった。
無表情ではあるが、どこか満足しているようにも見える。
一方で、水色の人は顔を覆ったまま、無理だの死ぬだのと喚いていた。
彼方は首を傾げながら、倒れたままの彼のことを見る。
この水色の彼も、どこかで見たことがあったような気もするのだが、一体どこだっただろうか。
頭の中でぼんやり考えていると、背中にずっしりとした重みを感じた。
正体は真で、彼方の背中から覗き込むようにして倒れている彼を見ている。
そして不思議そうに言った。
「あれ?一ノ瀬じゃん!」
その声を聞いて水色の彼は顔を覆っていた手をそっと離した。
「え?神楽くん?なんで!?」
そう言って目を丸くし、バッと身体を起こした。
何事かと二人を見ていると、水色の彼とまた目が合う。
彼が再度後ろに倒れたところで、ガチャッと音を立てて玄関のドアが開いた。
「え、なにやってんの?」
ドアを開けたであろうその人は、玄関前の今の状況に困惑の声を漏らした。




