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アウイナイトが神を討つ  作者: 雨露希狼
第二章 初層部
10/11

No.10 初日

「彼方。そろそろ行くぞ。」

「今行きます。」


そう返事をして、彼方はバックを掴んだ。

バックには、スマホ、筆記用具、財布、家の鍵、そして昨日貰ったメモが入っている。

昨日同様、海斗から財布は要らないと言われたが、今日は持っていくことにした。


「俺が全部払うから要らねーだろ。」


と、海斗は何やら不貞腐れていた。

また適当なところで昼ご飯を食べて、Talentの事務所についたのは十二時だった。


「あ、海斗さん。彼方さん。こんにちは。」

「こんにちは。」

「これ社員証。」

「はい。それでは、名前と年齢をお願いします。」


昨日と同じように言葉の承認を受けて事務所の中に入る。

海斗に連れられて今回は階段で上に上がる。

着いたのは、二階の「203」という標識がある部屋だった。


「ここが初層部の部屋な。」


昨日同様、マンションの一室のような外装。

海斗に言われてドアノブに手をかける。

引いて中を見ると、昨日の内装とは違い、すぐに部屋はなく、その間は引き戸で仕切られていた。

そして、二つの靴が玄関にあたるであろうところに揃えられていた。


「一番最初だと思ってたんだけどな。まぁいいか。」


そう言って海斗は靴を脱いだので、続けて彼方も靴を脱ぐ。

それを確認して、海斗が引き戸を開けた。

中には二人、どこか似たような顔付きをした人がいた。


一人はスラリとした細身で、たぶん彼方と同じくらいの身長だろうか。

深紫色のボブで同じ色の瞳をしている。

もう一人は、同じく深紫の髪と瞳をしており、右目を髪の毛で隠していた。


「なんだ、凛。もう来てたのか?」


海斗が声を掛けたのは細身な方の人だった。

その人は声を掛けられるなり、こちらへ近寄った。


「海斗も早いじゃん?こっちは家が近いからさぁ。」

「そうだったな。」


忘れてたと言わんばかりの顔をした海斗は、次に近くに来ていたもう一人に声を掛けた。


「久しぶりだな。」

「おん!久しぶり!」


もう一人の彼は、そう答えて、彼方の方を見る。

そして満面の笑みを浮かべて彼方の手を取った。


「よろしく!俺、(まこと)っていうんだ。」

「彼方。よろしく。」


そう言って彼方は真の手を握り返した。

どうやらこちらが彼方の同期になる人なのだろう。

どこかで見たことがあったような気がする。

果たしてどこだっただろう。


どことなく、彼とは仲良くできそうな気がした。

とりあえずはやっていけそうだ。

そう安堵していると、何を思ったか真は突然彼方に抱き着いてきた。

瞬間。真の頭に拳が落とされる。

それは、先ほど海斗から凛と呼ばれた人のものだった。

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