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アウイナイトが神を討つ  作者: 雨露希狼
第一章 始まり
1/11

No.1 お隣さん

深夜二時。

子供であればもう寝ていなければいけない時間。

笹原(ささはら)彼方(かなた)はリビングで送られてきた写真集を暇つぶし程度にただボーっと見ていた。


写真集に乗っているのは天音(あまね) (はるか)

他と比べてもとびぬけて美人であり、演技も上手い。

加えて、そのクールな性格が故に、若い女性たちの中で一躍有名になった俳優である。

ニュース番組で見たのだが、抱かれたい俳優ランキングではNo.1だったと記憶している。


写真集に乗っている写真は彼のクールな印象を切り取ったかのようなかっこいい写真ばかり。

彼方はなんとなくその写真たちに違和感を抱いていた。


写真集を見ていると、脱衣所のドアが置く音がし、少し経ってリビングのドアが開けられた。

お風呂から上がったばかりのその人は、腰にタオルを巻いただけの格好でリビングに入ってくる。

そして、その格好のまま彼方が見ていた写真集を覗き込んだ。


「お、遥か。写真集もう出たんだな。」

「そうみたいです。今日送られてきました。」

「へぇ。やっぱ似てるよな。兄弟って。」

「そうですか。・・・海斗(かいと)さん。早く服を着たらどうです?」


そう言いながら彼方は写真集を閉じた。

天音 遥は彼方の実の兄である。

海斗の言う通り二人の顔立ちはかなり似ていて、彼方も相当な美人であった。

当の本人にとってはあまり興味のない話である。

彼方はその写真集を丁寧に本棚にしまった。


彼方に苦言を呈され、先ほど覗き込んできた男、赤羽(あかばね)海斗(かいと)は仕方がなさそうに服を着始めた。

海斗は遥の幼馴染であり、加えてこの家のお隣さんでもある。 

彼はヤクザの家の出であり、先ほど服で隠された背中には立派な龍の刺青がはいっている。

左頬にも何やら見たことのない模様の刺青がはいっていた。


なぜお隣さんである海斗がこんな深夜にここにいるかというと、彼方の面倒を見るためである。

それは彼方が一人暮らしにならないように遥が海斗に頼み込んだ結果だった。


彼方たちの家では、半年前に父親が母親を包丁で刺すという事件があった。

その時母親は死亡し、父親は現在刑務所に入っている。


彼方の身元は遥が引き取ったのだが、遥は仕事の都合でフランスに長期滞在することになってしまった。

彼方はまだ未成年であり、一人暮らしをさせるのには不安が大きい。

そこで遥が海斗に彼方の面倒を見るよう頼んだわけである。


そういった理由で現在、海斗は睡眠以外の時間を彼方の家で過ごしている。

彼方も最初からその生活を嫌がることなく受け入れていた。

彼方にとって、不満は一つくらいしかない。

その不満というのが、海斗が上裸のままリビングに出てくることであった。

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