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黒川町 FM 96.8:命取り生放送の夜

雨が黒川町の深夜を墨のように染め、FM96.8 の電波がぬかるんだ空気を切り裂く —— 播音室に座る代役主持・桐谷緑が、今夜帰るはずだった星夜藍の代わりに、この雨の夜の「悪い生放送」を開けた。
番組が始まった瞬間、車禍速報が突如襲来:鈴鹿大道と鈴鹿通りの交差点で、白バンがトラックと激突。だがこれは、今夜の恐怖の幕開けに過ぎない。
最初のホットラインからは泣き叫びが漏れる:佐藤さんが警察官の彼氏・健司に「早く帰れ!黒川町に人を食う殺人鬼が隠れてる!」と叫ぶが、逃犯の住所を話し終える前に電波が切れ、「家に閉じ込められた」「双極性障害だと言われてる」という断片的な呟きだけが、電波の中に時限爆弾のように残る。
続く田中さんの電話が聴取者の呼吸を止め:黒川町第五丁目 732 号で、上階夫婦の喧嘩後、血だらけの女性の人頭がベランダにドンと落ち、瞳がまだ空を見つめていた。桐谷緑が慌てて「ビールをかけて酔っ払いのふりをしろ」と指導するが、「誰かがドアを叩く」というささやきの後、電話は切れ、雨音だけが寂しく響く。
14 歳の宮澤ちゃんの反論が電波を凍らせ:「田中おじさんは嘘!上階夫婦は仲直り、落下物はゴミだ!」。証言が食い違う最中、タクシー運転手・鈴木さんが衝撃情報を告げ:車禍現場に首なし女性の遺体があり、バンには私服警察官が乗っていた。
電波の断片がつながると、ボイスチェンジャーの聴取者が鋭い非難を浴びせる:「星夜藍との確執… 彼女の食中毒は君の仕業だろ?」。最後の電話が平穏を打ち砕く:目撃者が「星夜藍が首なし遺体と人頭の持ち主!桐谷緑が犯人!」と叫び、「播音室の外にいる」と囁く。生放送画面には「人体収集家+数字」の ID が並び、「星野藍」の弹幕が「私は君の後ろにいる」と刺目に浮かぶ。
桐谷緑が振り返ると、入り口にレインコートの人影が静かに立ち、フードから漏れる半分の顔は縫い目がゆっくり開き、ホルマリンがコロコロと床に落ちる。電波の音楽がまだ鳴らないうち、恐怖が彼女の喉を詰まらせた。
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