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翌日とこれからの予定


 翌日、学校に向かうと変わらず視線が向けられる。

 昨日のことがあったから向けられる視線は、どことなく増えているような気がした。

 その答え合わせに毅が教室に入って来る。


「優人、昨日はすごかったな」

「楽しそうだな、毅。『ゴーストリリース』するか?」

「やめろよ。脅し文句で使ったら折角ついたファンに悪いぞ」

「ファン?」


 ファンという言葉で思い出すのは、ノスローさんの熱狂的なファン。

 『ゴーストリリース』のファンがいるなら、確かに脅し文句で使うのは悪いな。


「そうだぞ。昨日はノススミ・サンロー、優人のいうノスローさんの配信を見てたんだ」

「なんだよ、その名前」

「それはいいから、でな」

「うん」

「個人情報が晒されても、のんきなお前にファンが付いたんだよ」

「へー」

「少しは喜べよ。優人のチャンネルを登録したって人もいたぞ」

「見てなかった!」


 急いでスマホを取り出してチャンネルを確認すると、登録者数が1万人目前だ。

 動画の再生回数を見ていくと、最新の動画は5000回に到達していた。

 間違いなく、良い宣伝になっている。

 ノスローさん、ありがとう!


「どうなんだ?」

「増えてた」

「個人情報が晒された甲斐あったな」

「うれしくないけどな」

「おい! 井上、お前ゲーム上手いんだな!」

 

 ハイテンションで教室に入ってきたのは、陸斗。

 朝から元気すぎて、徹夜したと疑うくらいだ。

 毅は苦笑いしている。


「陸斗『ゴーストリリース』をすれば、このくらいになれる」

「またそれかよ。てか、個人情報晒されてたけど、大丈夫か」


 ハイテンションから一転、気遣ってくれる陸斗。

 悪い奴じゃないんだな、本当に。

 毅もその様子にニコニコだ。


「いやぁ、心配してくれてありがとな」

「そりゃ、まあ、心配くらいはするだろ? 個人情報だぞ」

「毅は?」

「多少はしたけど、大丈夫だと思ったから聞かなかった」

「いやぁ、優しさが沁みるわぁ」

「吉田は優しいなぁ」


 素直に褒められると、急に困ったように頭を掻きだす陸斗。

 褒められ慣れてないんだろう。

 だからこそ、こういうイジり甲斐があるんだな。


「もういいって! それより、ギルド入らないか井上」

「入らないよ。前、断ったとおりだ」

「あれだけ強いなら誘いたいだろ」

「優人は3か月ゲーム続けるんだよね。賭けに負けて」

「そう。でも、ストーリー進めるだけだからな」

「それに『ゴーストリリース』をノススミさんにさせることも決まったよね」

「『ゴーストリリース』は同行できるなら俺も付いて行くつもりだからな」


 毅、ノスローさんの配信しっかり見てるな。

 自分でゲームする時間無いだろ。

 チャイムが鳴った予鈴だ。


「あっ、教室戻るわ」

「そうだ、毅。晒された件の原因のひとつとして、昼食奢ってくれよ」

「は?」

「毅が誘わなかったら、ノスローさんとも会わなかったし、ノスローさんと会わなかったら、晒されることも無かっただろ?」

「そうだけど、こじつけだろ!」

「ステーキ丼で本わさび付き、よろしくな」

「くそっ、今日だけだぞ」

「分かったよ」


 ホームルームを終えると、俺は先生に呼ばれた。

 どうやら個人情報が晒された件で、俺自身の管理が甘いとか言われたけど、一応心配してくれた。

 で、どうやら山口は自ら名乗り出たらしい。

 処分内容を決めるための会議は放課後に行われるようだ。

 俺の意見を聞くために呼んだという。


「特に意見は無いです。馬鹿なことをしないなら、任せます」


 昼食はステーキ丼にわさびで食べた。

 その時も視線が多かったような気はする。

 個人情報がネットの海に流れているんだから、当たり前ではあるか。


 家に帰ると、すぐにVRを起動した。

 あと少しで王都だから『ツリーサーガ』の1章を終わらせよう。

 『ゴーストリリース』はノスローさんとしたデータのレベル上げもしないと。


「ん? メッセージ来てる」


 送り主はノスローさん。

 そういえば、昨日言ってたっけ。

 昨日のメッセージともう1件来ていた。


 『カズさん、ツリーサーガにログインする時間を教えてください。賭けのお金を送ります。あと、ゴーストリリースの相談をしたいので、お願いします』


 いやぁ、ノスローさんが『ゴーストリリース』を続けることになって良かったな。

 個人情報と一緒に宣伝したとはいえ、まだまだ伝わってない人たちがいるだろう。

 これからはノスローさんを使って宣伝だ!

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