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レベル上げ、夕食、レベル上げの土曜日


 リザルトは基礎レベルが23、大太刀のスキルレベルは14に上昇した。

 相も変わらず軽防具スキル4から上昇しない。

 これはゲームシステムの欠陥だろう、このままでは攻撃を受けた場合、一撃で倒されるかもしれない。

 やめる時には報告して、それまでの間は死にゲーライクを堪能しよう。


 移動して、町前で今まで通りのムービーと兵士との問答を終えると、クエストが完了した。

 少しだけ増えた金と回復薬。報酬はあまりいいものじゃない。

 拠点の更新、雑貨屋で売却、武具屋で装備の更新を終えた。


 今からレベル上げをしたいんだけど、思い出したことが合った。

 白い毛皮のケープを調べることだ。

 フレーバーテキストとか効果とか、もしかするとあるかもしれない。

 宿近くのベンチで腰を下ろし、インベントリを見ていく。

 

 『白狼のケープ:次グ町付近に縄張りを持っていた白狼の毛皮で作ったケープ。徹底的に人を避け、結果的に人を守っていた白狼の名残がある』

 『アクセサリー枠を消費し、装備者はパーティー組まない場合、ATK、DEFを1.05倍する』


 この装備、インベントリ上の表示では紫色の背景にアイコンだ。

 ボス猿は薄赤だったから、恐らくはどちらもレアなアイテムなんだろう。

 でも、これには装備者の指定がされてないから、レア度はボス猿の装備よりも低いと分かる。

 3か月後、毅へ渡すことにしよう。

 さ、レベル上げだ。

 

 王都側の門から町を出て、道を外れていくと町に近い場所ではプレイヤーがいた。

 ここまで来ると、プレイヤーが多くなったようだ。

 王都からも近いから、少し先のプレイヤーもこっちに来るんだろうな。


 プレイヤーから離れてしばらく歩いていると、ゴブリンソルジャー5体の集団を見つけた。

 六ツ町から通常モンスターとして出てくるみたいだ。

 盾と剣、槍を持ったゴブリンソルジャーは前回、力押しで倒した。

 今回は別の攻撃をする。


 5体は俺に気付くと、盾を構えて防御の体勢を取った。

 そのまま走って近づくと、ジャンプし盾の縁に足をかけ、頭上から大太刀を振り下ろす。

 すぐに離脱すると、俺のいた場所に槍が突き出される。


「危ないけど、いけそうだな」

 

 体力が3分の1減ったゴブリンソルジャー1体。

 今のを3回繰り返せば1体は倒せるだろうけど、同じことを許すとは思えない。

 ガードが固い相手には、強制力のある掴み攻撃がいいんだけど、それは敵側の専売特許だ。

 俺が出来ることと言えば、ヒットアンドアウェイだけ。


 近づくと今度は、盾の隙間から出ている槍が攻撃しようと迫る。

 地面に大太刀を突いて、体を宙に押し上げた。

 調子よくそのまま大太刀を振り下ろすと、盾に阻まれる。


 やっぱり面倒くさい。

 パーティー組んでの方がゴブリンソルジャーは良さそうだな。

 その後、結局は力押しで攻撃を続けて5体を倒した。

 新たに模索した戦闘方があるから、時間に余裕があるときは試してみよう。


 時刻は18時直前。

 そろそろアラームが鳴るから、夕食へ向かおう。

 平原でログアウトした。


 今日は何にしようかと、考えながらリビングへ行くと、母さんが夕飯を作っていた。

 母さんが夕飯を作るのは、忙しくない時、イライラした時だ。

 顔を見ると、間違いなくイライラを抑えるための気分転換としているのは分かる。


「何かあった母さん?」

「ねえ、聞いて」

「ご飯食べながらね」

「分かった」


 母さんはチャーハン、餃子、回鍋肉を作っていたようだ。

 皿に盛り、席に着くと対面の母さんが話し始める。

 色々細かい話をしていたから、ザッとまとめると。


「ゲームの問題で日本を取り戻せなかったと」

「短くまとめると、そう」

「『ゴーストリリース』すればいいよ」

「こういう時、女はアドバイスを求めてないの」

「へぇ。子供に言わないでよ」

「女の思考は知っとくべきよ。明日は13時から女性とゲームするんでしょ?」

「どこで知ったの、ノスローさんの配信見てた?」

「偶然だけど、知り合いから教えてもらったの」

「すごい配信者らしいから『ゴーストリリース』をしてもらえるのは助かるよ、ホント」

「続けてくれるかは分からないでしょ?」

「続けてくれたらいいけど、続けなくても魅力はある程度伝わるからね」


 そう。

 ゲームを知らなかった俺がハマったゲームだ。

 これ以外、今ままでしていなかったから、面白いのは間違いない。

 自分に合うか、合わないか、判断する材料になればいい。


「妙にポジティブだけど、あのゲームはそこまで魅力を感じないからね」

「子供が好きなことを否定するのはよくない」

「はあ、今から普通の話をするけど。誰が好きで何度も死ぬの?」

「ゲームの死なんて、現実の怪我よりよくあるから問題ないでしょ」

「ないから。実際の体を痛める人がいたくらいで、多少は問題になってたのは知ってるでしょ」


 あれは、痛みも正確にフィードバックするという軍用のVRだったはず。

 ただのゲームでは、誰もそんなことになってない。

 もちろん、死んだときの強制的なブラックアウトは少し慣れないけど。


「そうだっけ?」

「そうなの。はあ、あの子には当たり前とか言わずに気遣ってあげなさい」

「あの子?」

「配信者の子よ」

「ああ、ノスローさんね。分かった、戦闘中じゃないなら気遣うよ」

「それでいいけど、出来るだけ優しくね」

「もちろん、あわよくば続けてもらうつもりなんだから」

「プレイ人口が少ないんだから、そんな幻想は抱かない」

「ノスローさんが少しでも続ければ、視聴者が始めるよ」

「母さんも配信見るから」

「分かった。優しくはするよ」


 ゲームに戻ったのは19時30分を過ぎた頃だった。

 にしても、母さんがノスローさんを知っていたとは。

 明日の配信を見るらしいから、出来るだけ優しく、気遣う必要がある。


 いや、俺にはあんまり出来ないことだな。

 出来るだけ優しく気遣いながら、ゲームを進めさせよう。


 明日の事を考えていたのを止め、今に集中する。

 レベル上げの続きだ。

 求めるモンスターは狼、熊、ゴブリン。

 

 ボス戦用の開けた場所手前から、六ツ町側へ向かって移動しながら出会うモンスターがゴブリンソルジャーでない限り戦闘していく。

 最初に出会ったのは熊だった。未だに読み方が分からない『穢樹熊』だ。


 ノスローさんのドロップのために、何度も狩っているから強さは分かる。

 弾きのタイミング、攻撃の間合い、やりやすい相手だ。

 効率を求めるなら、大太刀以外を使うんだけど、練習として使っているからそれもできない。


 でも、動きの遅い熊の場合は大太刀でも対応しやすい。

 弾きをしながら、ひたすら攻撃していると案外早く倒すことができた。

 動きのパターンをなんとなく理解し始めたおかげで、次の攻撃を弾きやすい場所に移動出来ているからだな。


 リザルトを確認すると、変動ない。

 相変わらずの枝がドロップするくらいだ。

 ドロップといえば『ゴーストリリース』で日本風の防具一式は道中でドロップしたはずだけど、大太刀はフィールドボスだったっけ。

 少し調べておこう。


 結局、その日は予定通りレベル上げで終えた。


《QAZ 基礎レベル28 スキルポイント残り6》

《スキル》

《大太刀18》

《軽防具4》

《刀1 片手剣1 槍1 斧1 両手斧1 両手剣1 棍棒1 盾1 徒手1》

《経験スキル》

《剛よく剛を制す 大太刀の使い手》

《称号》

《対獣スペシャリスト、炎猿の決闘者》


 これなら軽防具はスキルポイント使ってもよさそうだな。

 次ログインするときに、ポイントを振ることを覚えておこう。

 それよりも明日に備えて、早寝して体調を整える。

 ノスローさんに『ゴーストリリース』を楽しんでもらおう!

明日も12時!

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