表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の管理人  作者: 東風
第3章
39/39

39 これは大きな伏線・・・なのか? Ⅰ


 そういえば他にも出会いがあったなあ。


 あれは、夏樹ちゃんに出会った後の春休みになるか・・・?


 私と兄様は、母様が里帰り?するのに一緒について行ったんだ。

 母様の両親と兄弟は外国に住んでいるけど、母様は毎年何回かは会ってるみたいだ。

 母様が仕事で向こうに行くこともあるし、向こうから来ることもあるしね。

 わが家まで訪ねてくる時には、私たちも会ってる。


 今回は、私たちの春休みの時期に一緒に行くことになったんだ。

 まあこれまでも、大体年に1回ぐらいは会ってた、と思う。


 今回は、まず愛国に行ってグランマたちに会ってから、米国に行っておじさんたちに会う予定だったんだ。


 数年前まではグランマたちも米国に住んでいたんだけど、今はグランマの両親たちが住んでいた愛国の家に住んでいる。

 私と兄様は愛国に行くのは初めてだ。

 だから、スッゴく楽しみにしていたんだよ。

 な~んといっても、母様がベルと出会った国だから。

 ああ、ベルっていうのは母様の傍に大体いつもいる妖精の名前だよ。


 母様の傍には小っちゃな妖精がいる。

 私がそれに気付いたのは、まだ赤ちゃんだった頃だ。

 母様に抱っこされている時に、母様の肩に座っている小っちゃい人形のようなモノを指さして「あ~あ~(アレアレ)」って言ったら、母様が「ああ、やっぱりモモカには見えているのね。」って言ったんだ。

 そして、「これはママのようせいさんよ。」って。

 その頃の私には「妖精」なんて当然わからなかったけど、その小っちゃいお人形がいると他の変なのが寄ってこなかったから、いてくれる方がよかったのだ。

 小さい頃は「ようちぇいちぁん」って言いにくかったから「ベル」って言ってたけど、「ル」の発音もアヤシかったかも。でも、通じればいいのだ。

 大きくなるにつれて、妖精についてもっと詳しくなっていったよ。

 兄様は5歳くらいの時に気付いたって言ってた。


 ベルは、5センチくらいで緑色をしている。そして頭にはスノーフレークのような黄色の花が付いている。

 だから、てっきり花の形から「ベル」って名前が付いたと思ってたんだけど、違ってた。

 名前は、ある時から現れる合図としてベルの音を使うようになったからなんだって。

 「なんじゃそれ」って思ったよ。


 母様がベルに初めて会ったのは10歳くらいの時だったって。

 ベルの方は「アリス、ウマレタトキカラシッテル。ズットミテタ」って。


 母様の実家、グラスプリーフ家はずーっと昔っから薬草を育てて薬を作っていたんだって。

 その流れで今も製薬会社を経営している。割と大手らしいよ。

 時々、植物を育てるのが上手(じょうず)な人(「緑の手を持つ人」って言うのかな)や薬を作るのが上手(うま)い人が出るらしくて、そんな人は「緑の魔女」とか「薬の魔女」(男性は「魔法使い」だってさ。)とか言われていたみたいだ。

 彼らの中には、母様と同じように妖精が見えた人もいた、って言われているらしいよ。

 確かに、母様も薬剤師の資格を持ってて薬もつくっているけどねえ。


 グランマによると、母様がある程度成長するまで様子を見て、姿を見せても大丈夫かを判断したんだろうって。


 初めて妖精を見た母様は当然ビックリした。

 でも、それまでに先祖の話や妖精の話も聞いていたから、妖精と話してみたい、友だちになりたいって気持ちの方が強かったって。

 最初の頃、妖精が現れるのは愛国にある森の中だけだった。この森はグラスプリーフ家の裏にあり、グラスプリーフ家が管理していた。

 その当時は母様のグランマたち(私にとっては曾お祖母様たちだ)が住んでいた。母様たちは年に数回(学校が休みの期間とかだろうね)訪れていたらしい。


 最初の数回は森にいた時に現れ、そのうちに母様の部屋にも現れるようになったみたいだ。

 で、いつも急に現れて話しかけられるから、ビックリして心臓がドキドキしていたらしいんだ。

 だから、ある時「急に現れたり話しかけられたりするとビックリするから何か合図して」って妖精に言ってみたら、それから現れる前に小さいベルの音が聞こえるようになった。


 しばらくして「ナマエヲツケテホシイ」って言われて、合図のベルの音から「ベル」って付けたらしいよ。

 母様は妖精に名前を付けることの意味も、ちゃんとわかってた。

 名前を付けてからは、米国に戻るときも一緒についてきた。

 それからは、大体ずっと一緒にいるみたいだ(たまにどこかに行ったり妖精の世界に戻ったりすることがあるようだけどね)。


 今のグラスプリーフ家で、妖精が見えるのは母様だけだ。

 でも、家族は皆信じてくれて「よかったね」って言ってくれたって。


 今の神代家では、私と兄様は妖精が見えるし話せるよ。

 ああそうだ。導き手たちにも当然見えるよ。

 父様たちは、導き手に触れていれば見たり話したりできるらしい。あと、導き手と視界を同調させられれば触れてなくても見えるみたいだけど、これは訓練していないとかなり難しいらしい。

 でも、導き手がいない人には無理だって。


 神代家って私が言うのもなんだけど、かなり特殊な家でしょ?

 外部の人には入れない場所や教えられないこともあるし、理解できないこともある。

 一族内でも一部の人にしか知らされないこともあるしね。

 そんなところに他国から母様は嫁いできたんだけど、グラスプリーフ家も似たところがあるから平気だったんだって。

 確かに。妖精とか、魔女とか、魔法使い・・・。


 グラスプリーフ家は私の曾お祖父ちゃん(ダリウス)と曾お祖母ちゃん(バーバラ)の時に米国に移った。これは、米国の方が大きな商売ができると考えたからだそうだ。

 実際、米国に行ってから会社は大きくなってるしね。

 ただ、愛国の家や森は残して管理していたんだって。曾お祖父ちゃんたちの上の世代が残って住んでいたみたいだ。

 そして、曾お祖父ちゃんたちは現役を引退したら米国から愛国に戻ってた。

 で、今はグランマたちが住んでいる。グランマ(アイリス)とグランパ(イアン)、それと住み込みのお手伝いさん(言い方がこれで正しいかは不明)かな。

 曾お祖父ちゃんたちは兄様が生まれる前に亡くなっているから、私も兄様も会ったことはないんだー。


 神代家の方をお祖父様、お祖母様って呼んでるから、わかりやすいよう区別してグラスプリーフ家の方はグランマ、グランパって呼んでる。

 グランマもグランパも名前で呼んでって言うから、アイリスやイアンって呼ぶことが多いかな。


 愛国の家は初めてだから、とっても楽しみだ。

 裏の森で、ベル以外の妖精にも会えるかもしれないでしょ。会えるといいなぁ。私はものスッゴく期待してるよ!


 「アイリス~、イア~ン、来たよ~」


 「オー、マッテタヨー」


 私たちはハグをして挨拶を交わすと、庭でお茶しながらしばしおしゃべりすることにしたんだ。

 おやつにちょうどいい時間でもあったしね。天気も良かった。


 その後は、泊まる部屋で荷物の整理と休憩。

 ここには1週間ほどいる予定。

 森の探検は明日からだー。

 今日は夕飯食べたらゆっくり休むぞー。移動が長くて疲れたんだもんっ。


 そして翌日、私と兄様は母様とベルと一緒に森に出かけたんだ。

 ああ、当然、桐葉と蓮も一緒だよ。

 今回は、2人はずーっと人の姿だよ。蓮は将来的には兄様の秘書になるはずだし、桐葉は私の護衛・・・なのかな?

 2人は時々、北斗さんを手伝って会社の仕事もしてるみたいだし・・・。旅券も持ってた。


 「柊、桃香、この木よ。」


 「ふわぁ~」「「大っきい・・・」」


 森には色んな木々があった。花が咲いたり実らしきものががなっていたりするのもあった。

 その中に、1本の大きな木があった。


 「サンザシの木よ。白い花が咲いていたり、赤い実を付けていたりする時期はとても素晴らしいのよ。

  そして、妖精がいる木とも言われているのよ。」


 「「へー」」「そうなんだー」


 よく見ると、近くに多分同じ木が何本かある。

 母様が初めてベルに声をかけられてビックリしたのも、ここだったんだって。その後、何回か会ったのも。


 「ふーん」と思いながら、サンザシの木の方を眺めていたら、木の周りや枝の間を何かチラチラ光るのが飛んでる。


 「シュウトモモカ、キョウミモタレテルヨ。」


 「「 えっ?何に? 」」


 「ヨーセイダヨ」


 「「 えーーっ 」」


 「フタリニハミエテルヨネ?」


 「あの光のことかな?」「あの小っちゃい光?」


 「ソウソレ。ソノウチハナシカケテクルカモ~」


 「えー、楽しみー」と思っていたら、次の日、私と兄様に話しかけてきた妖精がいたんだよ。


 次の日は、母様は仕事をするからって森には来なかった。ベルは母様と一緒にいた。

 だから、森には私と兄様、桐葉と蓮で行った。

 森にはウサギやリスもいるらしいから、楽しみにして行ったんだ~。

 一応、昨日行ったサンザシの木のところまで行って、折り返して帰ってくる、って母様と約束したからね。

 私と兄様、約束は守れるいい子。

 サンザシの木のところに行く途中でウサギもリスも見られたから、私はちょーうれしくってルンルンだったよ。

 で、サンザシの木がある場所について、木の周辺をウロウロしていたら「オイッ」「ネェ」って聞こえてきた。


 「んっ?兄様、何か聞こえたー?」

 「聞こえたねえ。」

 「何だろ。」

 「さあ?」


 「オイッ、コッチダヨ」「ソウソウ」


 声のした方を見ると、近くのサンザシの木の根元に、ベルと同じくらいの大きさの妖精が2人(?)立ってこっちを見ていた。

 1人は黄土(おうど)色っぽい色で、もう1人は白っぽい色をしていた。両方とも葉っぱで作ったような帽子と靴を身につけていた(おおっ、ベル以外の妖精がっ)。


 「もしかして妖精なの?」

 って、兄様が話しかけたら2人はバイバイって手を振って、どこかへ行ってしまった。


 私たちもその日はそのまま帰った。

 戻って母様とベルに報告はしたけどね。

 そして、米国に出発する前日まで森に行き、少しずつ妖精たちと交流するようになっていったんだよ。

 そして、森に行った最後の日に、仲良くなった妖精から言われたんだ。

 「アノキ、モッテカエルトイイ」って。

 その木は、あの大きなサンザシの木の根元にある若木(わかぎ)だった。

 「?」って思ってたら、「アノキアルト、コイツライケルヨ」って。

 私と兄様は、最初に話しかけてきたあの妖精たちと友だちになっていた。

 黄土色っぽい妖精には、兄様が「マロン」って名付けた。マロンは土の妖精なんだって。

 白っぽい色の方は風の妖精で、私が「ブラン」って付けたよ。

 妖精の話によると、あのサンザシの若木を神代家の庭に植えれば、あの木を通してブランたちは行き来できるらしい。

 どうも友だちになったばかりだと外国まではついて行けないみたいだ(母様とベルは長いもんねー。米国の家にもサンザシの木はあるってさ)。

 ということで、若木を慎重に根っこから掘り出して持って帰ることにした。

 これは、母様に相談して、結局は大吉に頼んで源じいに渡してもらった。

 源じいに任せておけば、どこか適した所に植えていてくれるだろう。


 ああ、それと妖精から気になることを言われたんだったよ。

 あれ、何日目の夜だったかなあ?

 夕飯後に母様から「柊、桃香、ちょっと夜のお散歩に行きましょう」って誘われたんだよね。


 「「 お散歩? 今から? 」」


 「ウフフ、そうよ~」


 ということで、母様が私たちを連れて行ったのは、あの大きなサンザシの木の所だった。

 満月をバックに何かキラキラしていて綺麗だった。


 「「 わあぁ~ 」」


 「ねっ、キレイでしょう?」


 私たちは言葉もなく、見とれていた。

 ジーッと見ていたら、キラキラしているのは妖精たちだということに気付いた。


 「ねえ、兄様。あのキラキラって妖精だよね?」


 「うん、そうみたいだねえ。」


 「ウフフ、そうよ~。

  こんな満月の夜には、妖精たちがサンザシの木に集まってくることがあるのよ。

  今晩はどうかな?集まってるかな?って思って来てみたんだけど見られて良かったわ~。」


 キラキラ光っている中から一つ、こちらにスーッと飛んできたのがあった。

 その光は私たちに近付くと、「デアイトトラブルノヨカン」って言って、また離れて行ってしまった。


 そこに、ブランがやって来て「アレハタマニサキノコトヲオシエテクレルヨ」って。

 先のこと・・・、予言ってことかな?

 マロンもやって来て「ダイジョウブダヨ。キケンダッタラソレモオシエル」って。

 私と兄様はブランとマロンを母様に紹介した。



 愛国で過ごす最後の晩、叔父さんたちがやって来て一緒に晩ご飯を食べた。

 母様の弟のエイダン叔父さんは、明日一緒に米国に行くんだよ。

 父様の弟の(あき)叔父さんは、「(株)KAMISHIRO」の欧州を担当していて英国に住んでいる。

 経営コンサルタントが専門で、欧州担当ではあるが「(株)KAMISHIRO」全体をチェックしている。

 個人トレーダーでもあるが、こっちは趣味だそうだ。

 叔父さんは年に数回は和国に戻って来ていて、神社の手伝いもしているんだよ。

 現役の冒険者でもあり、導き手は白い(ふくろう)(ふく)だ。今も秋叔父さんの肩の上にいる。

 私たちが愛国にいると聞いて、会いに来たんだって。

 話したいことがあるんだろうな。


 食後、「柊と桃香にお土産があったんだ」って叔父さんに呼ばれたんだ。

 兄様と一緒に叔父さんの部屋(今晩はこの家に泊まるんだよ)に行くと、お土産を渡され、懐かしい名前を聞くことになった。

 秋叔父さんは、私たちが一番最初の異世界訪問(?)から帰ってきた後、定期的にリリーちゃんの様子を見に行っていたらしい。

 異世界の記憶が戻ってないか、私たちのことを思い出していないか・・・だね。

 もし思い出したら状況によっては、また何らか対処しなければならないこともあるってことだ。

 今まで彼女のことを叔父さんから聞いたことはなかったんだけどね。

 叔父さんによると、リリーちゃんは今は医者の卵なんだって。自分の夢に着実に向かっているってことだよね。 それと、従兄(いとこ)と婚約したんだって(あの時話していた賢仁(けんと)さんかな?)。

 リリーちゃん、おめでとう!(多分、直接言うことはないだろうけどね。)

 叔父さんは、今のリリーちゃんだったら、もし異世界のことを思い出しても特に問題はなさそうだ、って言ってたよ。


 愛国では、妖精とばかり過ごしていたのか、って?

 そんなことはないよ。

 ちゃ~んとアイリスとイアンとも遊んだよぅ。

 アイリスは母様と同じく薬剤師の資格を持っているんだけど、調香師としてその世界では有名なんだって。

 今は引退して趣味でやっているけど、親しい人の依頼だけは受けているみたいだ。

 だから、今回はアイリスと一緒に自分用のルームフレグランスを作ったんだ~。

 私のはシトラス系で兄様のはウッディ系だよ。

 色んな話をしながら作るのは楽しかったよ。


 イアンは、引退してからは趣味のハーブティー作りに(いそ)しんでいる。

 ハーブの栽培からやってるからね。

 で、毎日一緒にイアンの「今日のオススメ」ハーブティーとお菓子でティータイムを楽しんでいたよ。

 美味しかった~。

 庭でゆっくりお茶を楽しむ時間・・・。

 おしゃべりしても黙って静かな時間を楽しんでもいい。目に見えるのは親しい人と周りの木と花々。

 イアンの「これが幸せというものだ」という言葉が、心にストンと落ちてきた。


 それと、2人は地元のお祭りで、香水とハーブティーを売ってるんだ~。お祭りだから当然値段も地元の人が普通に買えるくらいだ。

 「素材は全てここのモノで作っているから、地元の人にも還元しないとね。」って言ってた。

 アイリスはこれまでも毎年1~2種類、地元の花を中心とした香水をお祭りに出していたんだよね(ブランド名はなく、数もそう多くはないけどね)。

 それにイアンのハーブティーも加わったってこと。

 誰が作っているかはわからないようにして、素材だけわかるようにして地元の人が売ってくれているらしいよ。

 でも、すぐに完売するんだってさ。



 うん、何?母様がここで何の仕事をしていたか?

 それは米国での方がいいかもね。

 ああそれと、私も兄様も母様の国の言葉もしゃべれるよ~。生まれたときから両方の言葉で育ったからね~。

  

今回からしばらくは週1回の投稿となります。

4月末までには終わる予定ですので、途中投稿の回数が変わることはあります。

その時は、ここで予告します。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ