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異世界の管理人  作者: 東風
第3章
35/40

35 まだまだ成長中Ⅰ


 「第1団 応援歌ぁーー」


 ドドォーンッ、と勇介君の打つ太鼓の音が青空の下、グラウンドに響きわたる。

 観客席からは“キャーー”とか“ウォーッ”とかの歓声もすごい。耳が痛くなりそうだ。


 今、目の前では高等部第1団の演舞が行われている。

 今日は体育祭の最終日だ。

 兄様は副応援団長として演舞の中にいる。

 なーんで高等部1年の兄様が副応援団長?って思ったけど、応援団長にって話もあったそうだからビックリだ。

 兄様が、イヤイヤ団長は3年でって必死になって断ったので副応援団長を受けることで落ち着いたらしい。

 副応援団長は2名いるから、団長よりは引き受けやすかったのかもねー。

 兄様も大変だねー。

 ま、兄様はもしかしたら来年はこの学校にいないかも・・・だから、高等部の先輩たちも兄様を前方で舞わせたかったのかもねー。

 昨年の体育祭の演舞、高等部の優勝得点より中等部の優勝得点の方が高かったもんねえ。

 その優勝した中等部の団長はモチロン兄様ね。


 ああ、そうそう。忘れるところだったよ~。

 兄様は15歳になるとすぐに冒険者としての活動を始めたよー。

 それと神職の資格も取ってた。まだ(仮)だけど。

 高等部の卒業資格が取れれば、(仮)ではなくなる予定だ。

 一応、私も神職の資格を取るための勉強中だよ。

 神社の割と近くに資格を取るための養成所があるからねー(お祖父様も先生の1人だ。お祖母様も教えに行くことがある)。



 さて、ちょっとここで我が校の体育祭について説明しておこう。

 ああ、その前に学校についてが先かなあ。

 私と兄様が通っている青北(せいほく)学園は小学部から大学部まである。敷地内は小学部、中等部と高等部、大学部に分かれているが、ちょっとした(かなりか?)広さのある学園だ。大学部は広い道路を挟んだ向こう側にあるが、大学部の近くには研究所も各種専門学校もある。

 中等部と高等部は校舎は別だが隣接していてグラウンドや体育館は共用だ。

 だから行事も一緒に行うことが多い(小学部は当然別だよ~ん)。

 で、やっと体育祭なんだけど、これも中等部と高等部同じ日程で行われる。


 内容としては、こうなっている。

(1、2日目)各競技予選会。準決勝までが行われる。

       競技内容は、バレー・バスケ・サッカー・野球等々(年によって若干変更あり)。

(3日目)午前:リレー競技、障害物競走、演舞など  午後:各競技決勝と表彰式


 体育祭は3日間行われるのだ。表彰は中等部と高等部それぞれ行われるのだが(競技なんかも別だしね)、広いグラウンドを2分割して左右で行われているから両方見られるのだ。

 特に応援団の演舞は、観客に配慮して両方見られるようになっている。


 今も兄様、長髪のままなのよ~。母様の希望でっ。

 小学部の時から私も兄様もストレートの黒髪、長さは肩甲骨ぐらいかな。で、大体紺色系の組紐(くみひも)で1つに結んでいることが多い(それがまたよく似合っているから女性陣に大人気なのよねえ)。

 そして、演舞がまた決まるのよ。

 普段から武術で鍛えてるから舞いの型も綺麗に見えるのよねぇ。映えるって言うかぁ、とにかく見栄えがするのよねー。

 また、同じ団員に(あきら)君と(はるか)君、太鼓担当の勇介君が1年生から入っているもんねえ。彼らも中等部で人気あったから観客が多い多い。


 高等部には総合科と専修科がある。総合科は3年制で卒業後は大学等への進学を考えている者が入る。専修科は専門的な技能を身に付けたい者が入り、3年制と5年制があるので、進学後に取りたい資格やどこまでの技術を身に付けるかでどちらか選択するのだ。

 1クラスは30人から50人であるが、割と流動的である。

 なぜかというとクラス単位で受ける科目以外は各自で自分の時間割を組んでいるからだ。各自の興味・関心や卒業後の進路に合わせて授業を組むようになっているのだ。だから、一応クラスはあるものの授業はクラスや学年が混ざることが多いのだ。

 まあ、大半が小学部から一緒だから同じ学年かどうかはわかるけどね。

 この学校は、小学部から飛び級もできるが留年もあるから、どこかの学年でズレているということもある(留年した者の中には奮起して元の学年に戻る者もいる)。落としたのが1教科くらいなら、留年せずにその教科だけ下の学年で再度学ぶこともできる。

 ただ条件がないわけではない。

 順番がある教科(数学Ⅰから数学Ⅱへ進む等)は守らなければならないし、人数は無制限ではないので多すぎる場合は当たり外れが出る(卒業後の進路先が考慮されることもある)。外れたら他の教科を選び直すか翌年にするかだね。


 こんな風だから、逆にクラスで一緒にやる行事への取り組み方が熱い!のだ。

 それに兄様は高等部の単位を早めに全て取得して世界を見に行こうと思ってるみたいだからねえ。

 もしかしたら2年の途中から、イヤイヤ1年が終わったら行くかも・・・(何せ中学部の頃から高等部の単位も少しずつ取ってたもんねぇ)。

 それもあってか兄様の周囲の熱がなおさら熱いっ。

 見ている私は暑苦しいと感じるのだが、あそこらへんの彼女たち(彼らもか?)はきっと違うんだろうなあぁ。

 いやぁ若いっていいねぇ~(私はもっと若いが、それが何か?でも、アレにはついていけないの~)。



 そういえば勇介君は小学部から兄様と一緒だったけど、彰君と遙君はいつからだったっけー?

 うーーーんっとぉ・・・?


 それに私が2回目の異世界から戻ってきた後、兄様はお祖母様から課題をもらってたなあ。

 お祖母様の部屋から戻ってきた兄様が???って顔してたから覚えてるよ。

 兄様から話を聞いた私も「はあぁーっ?」って思ったもんねぇ。


 兄様がお祖母様に出された課題とは・・・。

 兄様が呼ばれてお祖母様の部屋に行くと、部屋に入った途端、大きめの封筒を渡されたそうだ。

 中を確かめるように促されて見てみると、帯封(おびふう)付きの札束が入っていたんだって(100万だよっ。ワー、スゴーイ)。


 「柊、卒業祝いだよ。

  どう使ってもいいよ。ただし、高等部を卒業する時に、それをどう使ったかを報告しておくれ。

  つまり、これは柊の小学部卒業祝いと高等部卒業までの課題だよ。

  中身を確認したら戻っていいよ。」


 「あ、ありがとうございます。」


 驚きながらもちゃんとお礼は忘れない。

 兄様、偉いよっ。

 私ならえーーっと思いながらボーーっとしながら戻って来そうだ。そして後からお礼を言いに行く。

 それから、お金をどう使うか考えていたみたいだけど、思いつかずに取りあえず保留にしてたもんねえ。


 兄様が彰君を連れて帰ってきたのは、その頃だったかなぁ?


 父様は時々、兄様や私を視察に連れて行くことがある。

 これは後継者教育の一環として、これまでも行われていたことらしい。

 どこでどのようなことが行われているのか等を知ることは大事なことだ、ということだろう。

 まあ、ホントのところはそれだけではない。


 我が家には導き手たちがいる。

 そして、当主の傍には秘書として彼らが付いていることが多い。

 だから、信用できない人間や嘘をついている人間、良からぬことを企んでいる人間なんかはすぐに見抜いてしまう。

 でも、分からないこともある。

 直接見たり聞いたりしなければ分からないこともあるし、周囲や周辺についてまでは分からない。

 これらは直接行って確認するしかないのだ。

 だから、気になることがあったら直接行って確認するのだ。

 というような仕事の仕方を子どもの時から見せておくということだ。その時は分からなくとも何らか残るものがあるだろうということらしい。


 ま、これはどちらかというと表向きの理由。ホントの目的は多分こっちだと思ってる。

 私たちは子どもだからということでチョロチョロあっちこっち動き回ってもあんまり不思議に思われない。

 だから、割と自由に動き回って色んな話を見たり聞いたりして拾ってきやすい。

 例えば、父様たちが仕事関係の報告や相談を受けている時なんか、会社の食堂に連れて行ってもらって何か食べさせてもらったり、ちょっとした休憩場所でお菓子をもらったりしている時に、子どもだからって気を抜くのか色んな話が周りから聞こえてくるんだよねえ。噂話なんかも。それをコッソリしっかり聞いてるんだよねぇ。

 中には恋バナもあるけど、誰かに対する不満や悪口もある。会社だけでなく家庭や家族や友人の話なんかもある。聞いても???ってのもあるよ。

 で、後で気になったことを父様たちに聞かれるワケ。

 聞いたことだけでなく目にしたことも含まれる。

 私たちがアレッ?て思ったことは何でもいいからぜ~んぶ話してねって言われるから全部話すよ(覚えてる分だけだけどね)。

 それらを聞いて判断するのは大人たちの仕事だけどね。

 そうすると報告された内容にない大事なことや矛盾しているようなことが見つかることもあるらしい。


 特に、私と兄様にはとってもいい“目”があるし、傍にはいつも桐葉と蓮がいる(人の姿か犬の姿かは、時と場所によって変わる)からとってもいい“耳”もあるってことだ。

 ああ、そうそう。兄様はすっごく勘がいいらしくって、蓮から「何か気になるモンがあったら、しっかり見たり聞いたりしといたがいいよー。」って言われているらしい。

 私の場合は、いいモノは明るい色でよくないモノは暗い色で見えるからね(会話についてもおなじだよ)。その中でも緊急性のあるモノは点滅までするからわかりやすいよ。そのことに気付いた桐葉は何でか呆れていたけどね。何でだ?わかりやすくっていいじゃん。ねえ?

 だから、私たちがいると集まる情報が多くなって助かるんだってさ。

 それに父様の傍には北斗さんも大体いるしね。


 で、彰君は兄様が父様に付いていった視察先から一緒に来たんだよね(母様もたまたま同じ場所で仕事があったらしく、途中から一緒だったみた~い)。

 私はその時、一緒に行ってないから詳しい話は後から聞いたんだよ。

 ん?私?何で一緒じゃなかったのかって?

 うーん?とその時は、私はお祖母様たちと別の場所に行ってたんだよ(お祖父様はお留守番だった)。

 他領の温泉地。観光じゃないよ。何かよくないものが湧き出しているようだから見てくれって、お祖母様の知り合いから依頼が来たみたいなんだよね。

 んで、行って、ホントによくないモノだったから祓ってきた(お祖母様が。私もコッソリと協力した)。

 だからその時は別行動だったんだよねー。



 兄様、彰君と会った時のことどんな風に話してたっけなー?

本日より第3章を投稿します。これが最終章となります。

週2回、(日)と(水)を予定しています。

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