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異世界の管理人  作者: 東風
第2章
28/34

28 2人の聖女Ⅱ

 別の部屋に移動するかと思っていたんだけど違ったね。これから会う人たちがやって来たよ。道理でこの部屋が広いはずだ。座るところも多いしね。20人くらいだったら余裕で座れるし話もできるように上手く配置されているよね。

 おっと登場かな。

 入ってきたのはエルンスト王太子とオパール王太子妃、トゥーリ殿下とメルティ妃、そしてロジェ殿下だ。

 ふーん。ロジェ殿下は見たことあったけど、殿下たちは3人とも金髪碧眼だね。いや、違うね。王太子の髪は赤みがかった金髪、ロジェ殿下の瞳は青だね。

 確か3人の魔法属性は、王太子が火と風、トゥーリ殿下が風、ロジェ殿下は水だったよね。

 そして、オパール王太子妃は青みがかった銀髪にアイスブルーの瞳で光魔法、メルティ妃はシャンパンゴールドの髪に薄青の瞳で水魔法だな。

 桃香がジーッと彼らを見ているねえ。多分、おおぅ美形揃いっ、とか思ってるんだろうなあ。

 全員座ったところで話再開かな。

 王から殿下たちの紹介、テッドから(公爵だからね)僕たちの紹介がされた後、いよいよ今度は何の話が始まるのかな。


 「ねえモモカ、聞いてもいい?

  ああ、(わたくし)のことはオパールでいいわよ。

  なぜ髪と瞳の色を変えているのかしら。その色は本当の色ではないのでしょう?」

 「ん?ホントの色?オパールには何色に見える?」

 「ええと、ピンクゴールドと金色かしら?聖女の色と同じね。」


 桃香が、銀と水色に見せていた髪と瞳の色を聖女の色に戻す。髪はストレートヘアから少しウエーブした髪になってるね。

 桃香が聖女の色を持っていると知らなかった人たちは驚いているね。


 「オパールはいい目を持ってるんだね。普通の人は気付かないのに。」


 「ふふっ。ありがとう。

  ノースランド国の王家は妖精王の子孫だと言われているのよ。だからかしらね。私のように他の人が気付かないものが見えることがあるのよ。」


 「ふーん。ねえ、オパールはノースランド国に住んでいた聖女ミーナに会ったことある?」


 「ああ、この国の王立学院にいる、ロジェ殿下が手助けをしているという・・・?

  いえ、ないわね。

  ノースランド国は妖精やエルフがいる国だから私のように光の魔法を使える者が他の国より多いの。だからかしらね、聖女がいたら保護はするけれど他の国のように特別だとは思わないのよ。

  もし聖女に手助けが必要であれば、聖女がいる地区の神殿が保護したり神官が助けたりすることはあるけれど、大体は神殿に協力しながら普通に生活しているわ。

  だから特に王宮に招いて会うこともないのよ。ただし、王宮近くの大神殿に招くような大聖女候補の聖女は別よ。

  モモカなら王宮に招くわよ。私でもすごい力を感じるもの。

  それと、一緒にいる3人もすごいわね。」


 「まあ、そうなのですね。(わたくし)には力の強さはわからないので、少し残念ですわ。ああ、私もメルティと呼んでくださいね。

  私の弟も王立学院に通ってますの。弟からお二人(ふたり)が学院で金の君、銀の君と呼ばれていると聞いていましたが納得ですわね。」


 「えっ?僕たちがですか・・・?」(僕が銀で蓮が金だろうね。)


 「そうだよ。(わたし)も何度か声をかけようとしたんだが、上手くいかなくてね。

  ああ、私のこともロジェと呼んでくれ。」


 「ありがとうございます。ですが、学院で話すのは遠慮いたします。

  僕たちはあまり目立ちたくないので・・・。どうも上手くいってないようですけど。学院で殿下と話すとどうしても目立ってしまいかすから。ああ、学院では殿下か王子としか言いませんので、そこはご理解ください。」


 その後、桃香がミーナを直接見てみたいと言ったので、どの機会がいいかという話になった。

 アラベラ王妃から「1週間後のお茶会はどう?」と提案された。王妃主催で毎年成人(この世界では16歳だね)を迎える女性が招待されるお茶会が行われるそうで、今年はちょうど1週間後だそうだ。晴れた日は王宮の庭園で行われる女性だけの会で、王太子妃や王子妃、王子の婚約者も主催者側で協力するようだ。

 桃香はその場に姿を隠して参加してもいいと許可を取っていた。お茶とお菓子も準備してもらえると知って喜んでいたよ。

 王妃と王太子妃から「ノースランド国から来た大聖女候補として参加しない?」と言われていたけれど、それはイヤだったみたいだねえ。

 その他に僕たちの学院での様子や当たり障りのない話をして顔合わせ?は終わった。

 その場では、王太子とトゥーリ殿下はほぼ聞き役に徹していたね。6年前に僕と蓮は直接見ているだろうし、王やマーカスさん、テッドからも話は聞いているだろうから、今回は様子見かな?女性陣が退室した後、王太子から「我々のこともエルンストとトゥーリと」と言われたけど、笑顔で頷いておいたよ。まあそれは状況次第さ。空気は読まないとね。


 1週間後、僕たちは再び王宮へ行った。テッドと一緒に馬車でね。

 王宮では、お茶会の開始時間までマーカスさんの部屋で待機することになっている。ああ、前回来たとき桃香は聖女の色の姿をオパールたちに見せていたけど、あの後はまた元の色に戻して普段は銀髪の方の姿でいるよ。

 マーカスさんの部屋に行くとベルタさんと一緒に迎えてくれた。僕からお願いしていたこともあったんだけど、その返事をしてくれたんだ。もちろん全てオッケーだった。

 お茶会の会場に入る前に、オパールが桃香をここに迎えに来てくれるんだって。今日の桃香の傍には大きな犬の姿になった桐葉がいる。元の世界ではシベリアンハスキーなんだけど、こっちの世界では少し姿を変えている。こっちで騎士とともに活動している犬種に似せているんだ。桃香の肩の上には大吉もいるけれど、姿は見えないようにしている。多分オパールにも見えないんじゃないかな。

 僕と蓮は別行動だ。お茶会が行われている時間にロジェ殿下と会うようにしている。直接会って聞きたいこともあったからね。テッドも同行してくれるようになってるよ。

 さあ、そろそろ移動かな。中庭の方がザワついてきたからね。


 あ~あぁ、早く用事を終わらせて帰りたいよぉ。

 今日のドレスも窮屈だし。別にサイズが合ってないわけではない。堅苦しいだけだ。どうせ姿を隠すんだから楽な格好でいいよねぇ、って思ってたんだけど、ベルタさんが嬉々(きき)としてドレスの準備をしてくれたから着ることになった。

 スゴいよねえ、1週間前のと別のドレスなんだよ。私としては同じドレスでいいんだけど、ダメなんだってさ。無駄じゃんって思うけど、こっちの世界というよりか貴族としてはダメってことだろうね。一応高位のってことになってるし。ベルタさんが「気にしなくっていいのよ。何着か一緒に作らせたから。」って言ってのも怖いっ。また着せ替え人形になるのかなぁ?ま、慣れてるけど。元の世界でも母様に、いや両親にだな、イロイロな服を着せられているからね。兄様もだけどさ。あー、こっちでもかぁ~~。はぁ~・・・。

 さて、オパールが呼びに来たよ。じゃあ、行ってくるかな。この部屋を出るときには、私と桐葉の姿は見えないようにする。ただオパールには見えるはず(完全に見えないようにもできるけど今日はしないよ)。オパールは普通の人より目がいいからね。それに1人くらいは私のいる場所がわかっていた方がいい。開催者側に連絡することが起こるかもしれないしね。

 中庭に行くまでに、オパールから本日会場にいる令嬢と夫人たちについて話を聞いた。(ちゃんと周りに話が聞こえないようにはしているよ。オパールは扇子で口元を隠しているしね。後ろにはオパールが信用している侍女が1人付いてきているけど彼女にも聞こえないよ。)

 大体のことは公爵邸でベルタさんから聞いていたけどね。当日になって来なくなったり引率?の夫人が代わったりすることもあるからね。

 ま、今日は大体ミーナの周辺を中心に見るけどね。


 会場に着くとすぐにオパールとは別れた。

 彼女は王妃の傍にいることになっている。うん、王妃の傍にはメルティもいるね。えっと、じゃあもう1人がロジェ殿下の婚約者エウラリア嬢か。・・・ふーん、なるほどねぇ。

 では、私はミーナを探して彼女の様子を観察するとしますかねー。

 えーと、ミーナはどこにいるかな~。・・・あー、あそこだね。近付いてみるかな・・・。


 王妃の開始の挨拶の後、お茶会が始まった。

 しばらくは最初のテーブルでお茶を楽しみ、その後は庭園の花を観賞したり散策したり会話を楽しんだりするってことか。で、後半部分で王妃や王太子妃が招待した令嬢たちに声をかけていくと。その様子を引率者である母親たちが見てるんだな(何か目が怖いよ)。

 これは社交界に出る前の最終チェックってことかー?今日ダメなところがあれば1ヶ月後のデビュタントまでに特訓でも入るんだろうなあ。

 おおっと、私も目的物をしっかり見ないと・・・。

 はぁ~、ヒドいテーブルマナーだな。いろいろと音立てすぎ。周りの令嬢と(なご)やかに会話は・・・できてないな。話しかけも話しかけられもしてないな。

 最初のテーブルは同じくらいの爵位の家になっていたはず。社交するときに、顔を合わせる機会が多いんじゃないのかな。

 この()、大丈夫なのか?と思っていたらやっぱり大丈夫じゃなかった。

 大事件?(大事件だよね)は後半になって起こった。


 「あのぉ王妃様ぁ、ミーナは聖女なのになぜあの席なんですかぁ~。」

 「ミーナ様、失礼ですよ。」


 あーあ、やっちゃったなー。何かやるとは思ってたけど。たまたま運悪くミーナの近くにいたエウラリア嬢が止めようとしたけど遅かったね。


 「それには(わたくし)が答えましょう。 王妃様、よろしいでしょうか?」


 「おお、ブランシュか。構わぬ。」


 「ミーナさん、あなたがあの席にいるのは、あなたへの配慮からなのよ。

  伯爵以上の高位貴族とそれ以外では学ぶマナーの内容や教養に違いがあります。それらを身につけていないあなたが高位貴族の席にいたら、恥をかくのはあなたですよ。それに、ご家族からマナー講師を派遣しても学ぼうとしなかったそうですね。

  だから、家格に合ったところがよかろうと判断され、あの席が準備されたのですよ。」


 「ええーっ、そんなぁ~ひどいですぅ~。」


 「いいえ、酷くはありませんよ。酷いのはあなたの振る舞いですよ。

  王妃様、彼女とともに御前(おんまえ)を失礼させていただくお許しをお願い申し上げます。」


 「うむ。許す。」


 「ありがたく存じます。」


 その後すぐに、ブランシュは「えっ?何でよ。」と騒いでいたミーナを連れて(実際に連れていったのは侍女2人だ)お茶会の会場から出て行った。

 当日変更でミーナの引率がミーナの母親からノルト辺境伯夫人に代わってたもんなぁ。ブランシュも王都に来てたんだねえ。

 じゃあ、見るべきことは見たし私も戻ろうっと。

 お菓子はマーカスさんの部屋に準備してもらった。だってお茶会の会場じゃ食べられないでしょ?やることあるし、お菓子だけ空中に浮いて消えていったら怖いでしょ。私の姿は見えないようにしてるのに。

 だから部屋でゆっくり大吉とお菓子を食べた。桐葉はあまり甘いのは食べないのよ~ん。


 その日の晩、夕食後、兄様の部屋で情報の共有と今後の話し合いをした。まず私たちで確認してからテッドたちに伝えることにした。テッドもそれでいいって言ってくれたし。


 「桃香、どうだった?」


 「ヒドかった。」


 「うん、それはわかるけど、そうじゃなくって・・・。」


 「うーん、あれはねぇ、ミーナの魂がブレてるんじゃなくって、ミーナの身体(からだ)の中に魂が2つあるね。ミーナの魂と別人の魂。

  あれは転生ではなくって憑依(ひょうい)だね。あれじゃあ性格も変わるよ。別人なんだもん。

  でも、あれは早くどうにかしないとマズいねえ。」


 「うむ。そうだな。」


 「「やっぱりぃ?。」」


 「それと兄様、ミーナに爪を噛む癖があったか聞いといてー。

  紅葉ぃ、麺が食べたいよー。」


 すると、つけ麺をのせたお盆を持った紅葉が現れ、桃香の前のテーブルに置いたのだ。


 「えっ?・・・紅葉、どこから?」


 「いっただきま~すっ。(ずずっ)

  んっ?そこの狐の置物からだよ。はぁ~美味しいよおー。し・あ・わ・せ。」


 「ま、まあいいや。紅葉、僕のもあるかな?」


 僕も久しぶりに元の世界の食べ物が食べたくなったんだよ。説明は後で聞けばいいよ。こっちの世界には、こんな麺料理はないのかな?食べたことなかったね。もしかしたらあるのかな?今まで興味なかったから調べたこともないよ。

 桃香はもう食べ終わって、僕が食べるのを見ながら、「やっぱりつけ麺は美味しいよねー。私はイケメンより上手い麺の方がいいかなー。」とか言うのやめてくれないかな。桃香はまだ色気より食い気でいいんだよ。

 桐葉は呆れた顔で桃香を見てるし、蓮は・・・向こうで大笑いしているね。あれっ?大吉はどこかな?さっきまで桃香から分けてもらった麺を「ウマイッス」って食べてたよね。・・・ああ、クッションの上で寝てるねえ。


 「ありがとう、紅葉、美味しかったよ。」

 「いえ、作られたのはアリス様です。私は持ってきただけですので。」


 何と作ったのは母様だった(美味しかったよ母様)。

 狐の置物?あー、あるね。いつの間にかテーブルの上に木彫りの狐がさ。

 僕の視線に気付いた桃香が説明してくれたよ。

 前回、異世界に来たときには紅葉は形代を通して行き来していた。

 でも、形代だと強風なんかで飛んで行ってしまうかもと心配になった桃香は、他に何かいいのないかなあと考えていたそうだ。

 ちょうどその頃、舞ちゃんの家に遊びに行って敏じいちゃんの作業場を見せてもらって、ある木端(こっぱ)が気になったらしい。

 それで、「これ、もらってもいい?」って聞いたら「おう、いいぞ。何か作るか。」って言われたから「かわいい狐を彫りたいの~。」って答えたら「小さいのならすぐできるぞ。」って目の前で作ってくれたの~。大きさも重さもちょうどよくってカワイイでしょ~、って。(確かに掌に載るサイズで重さもあるね。)

 これ木端でもいい物だよね。しかも敏じいちゃんに作ってもらったって、価値ある物だよ、これ。

 いい機会だからって今回試してみてるんだってさ。

 今のところ良好って、・・・それはよかったね。

 桃香がドレスに着替えるときも紅葉がやってたって初めて知ったよ。テッドのところの侍女さんがしてくれていると思ってた・・・。

 「それでは失礼いたします。」って紅葉は元の世界に戻って行ったね。

 疲れた1日だったから、もう休むことにしたよ。


 デビュタント1週間前。僕たちは王宮に行くことになった。最終打ち合わせ?になるのかな。

 僕たちは今日までに色々な情報を集めたり、ミーナのヤバイ行動の邪魔をしたりと忙しかったな。

 それにしても大吉の能力はスゴいな。

 まさか見聞きしてきたことを映像でも見せられるとは思ってなかったよ。大吉の頭上にマンガの吹き出しのように映像が映し出されるんだよ。音声付きでさ。初めて見たときには本っ当にビックリ!?したからね。

 どこにも忍び込めるから必要な証拠品なんかも手に入れてくるしね。

 僕が大吉に「スゴいよ、大吉。ありがとう。」って言ったら、「ヤクニタッテルッスカ。ナラ、アッシモウレシイッス。」って喜んでたよ。

 その横で、なぜか桃香が「さすがウチの大吉っ」て感じでドヤ顔してたけど・・・。

 で、ミーナはデビュタントの時にも何かやらかしそうだから、その対策も込みでの打ち合わせだな。

 場所は王宮の奥、王族のプライベートエリアにある応接間みたいだな。

 メンバーは王と王妃、王太子と王太子妃、マーカスさんとベルタさん、テッドと僕たち4人(大吉は桃香の肩の上にいるけど、僕たち以外には見えない)だな。

 何か桃香が聞きたそうだね。


 「ねえ、王宮には王族用の神殿ってあるの?」


 「おお、あるぞ。我々が気楽に王宮外に出るわけにはいかんからな。」


 「そこは地下なんかに霊廟(れいびょう)があったりする?」


 「うん?いや、霊廟は別に建物があるぞ。神殿は女神に祈る場所だな。」


 「ふーん、その神殿借りてもいい?

  デビュタントの時、もしかしたらミーナを連れて()もるかも。」


 「いいぞ。番人も付けるか?」


 「うん。信頼できる人をお願い。中には入れないようにするけど、周りに誰も近付けないでほしいの。」


 「おお、わかったぞ。」


 何かオヴニル王と桃香の間で話が進んでいるね。

 では、次に僕からだね。

 テッドからミーナについての悪い噂が出てくるようになったのが、学院入学後半年経った頃からということだったから、その頃起こったことやミーナが具体的にどう変わったのか、関連してどんなことが起こっていたのか等々をまとめて報告したよ。

 ミーナが直接関わっていたものと、どさくさに紛れてミーナがしたように見せかけたものもあったから、当然それがわかるように証拠も添えて説明したよ。

 ミーナは途中からロジェ殿下を狙っていたのか、邪魔な婚約者であるエウラリア嬢を下位貴族の令息たちを利用して襲わせようともしていたからね(当然、僕と蓮で阻止したよ)。

 それと未確定だけどということで、ミーナが誰かに操られている可能性があるって伝えといたよ。憑依されているって説明が難しそうだしね。

 それを確認して解決するために、桃香は神殿を借りるんだろうって。

 王たちは一応納得していたようだったよ。

 マーカスさんたちもミーナの子爵家は、ブランシュのノルト辺境伯家と関わりのある家だからさ、できれば上手く片付いてほしいよね。

 で、次にどうやってミーナを神殿に連れて行くかってことを話していたら、「モモカが聖女としてミーナの前に出ればいいんじゃない」ってオパールが言い出したんだよね。設定まで考えてさ。王妃やベルタさんは喜んで賛成したよ。テッドは自分でも考えていたみたいだけどさ、オパールの案の方がよかったのかホッとしていたように見えた。

 桃香は「えーっ」と言ってはいたが、早く解決するためには仕方ないと受け入れた。でも名前が「ピーチ」はイヤだと言い張り、呼ばれてもまあ違和感がない「モカ」で妥協していた。モモカから「モ」が1つ抜けただけだからね。ベルタさんたちは「ピーチちゃんもかわいいのに」と残念そうだったね。

 ああ、桃香の設定ね。オパールが故国で親しくしてい大聖女候補で、ノースランド国からイーストウッド国に来た聖女もいるから会わせたいと思ってオパールが呼んだことにするらしいよ。ミーナにモカから色々教えてもらいなさいねってことだろう。

 大聖女候補「モカ」のエスコートはモチロン僕。他の誰にも譲る気はないね。

 ミーナのエスコートはノルト辺境伯のピーターに頼んでもらうよ。ブランシュにはマーカスさんの部屋で待っといてもらおう。ベルタさんはブランシュにまだ無理をさせたくないから喜んでたよ。

 デビュタント当日は、1曲目のダンスを終えたら僕たちとミーナは会場から抜けることにする。後はマーカスさんたちが上手く誤魔化すから任せておけってさ。任せたよ。



 そして、デビュタントの日がやってきた。

 オヴニル王の挨拶の後、デビュタントの主役たちの紹介?爵位ごと(高位から下位の順)に王から一言あるんだね。それから大聖女候補の入場と紹介(周囲の反応を見て、聖女はこの国では自分だけと思っているミーナは(くや)しそうな顔してたな)、そしてダンスだ。

 ダンスが1曲終わってすぐ、ピーターにミーナを僕たちの所に連れてきてもらった。僕たちは会場から出て廊下にいたんだけど、ここは人払いを頼んでいたから僕ら他には誰もいない。僕と蓮が彼女を迎えたよ。知ってる顔の方が安心でしょ?僕たち2人にエスコートされて彼女は嬉しそうだったよ。

 そして、進んだ先に大聖女候補「モカ」がいるのを見たミーナの顔が醜く歪んだ。


 「ちょっとアンタなんなのよ。大聖女候補だかなんだか知らないけど何でこの国に来るのよ。ミーナがいるんだからアンタなんて必要ないの。それにあの女も・・・。なんでいたのよ・・・。」


 彼女が桃香に近付いたところで我々は神殿に転移したんだ。

 これも大吉の能力。ある一定の範囲内であれば数人まとめて転移させられるんだ。スゴいよねえ。

 一瞬後には神殿の中さ。

 わめいているミーナに近付き、ジッと顔を見る桃香。


 「ああ、やっぱりね。

  初めましてミーナさん。いいえ、目黒(めぐろ)美菜(みな)さんって言った方がいいかしら~。」


 「えっ?あ、アンタは一体・・・。」    

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