表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の管理人  作者: 東風
第2章
26/34

26 柊からのSOS

 緑色のジュースを飲んだら、どうしても言いたくなるよね。

 「マズい!もう一杯。」

 グッ。ゴホッ。あれ?父様とお祖父様が()き込んでるけど夏風邪かしら~。

 母様が自分も飲んであらっ?て顔してるけど、味はおかしくありませんよ。

 色は緑だけど、野菜だけでなく果物もたくさん入ってて、飲みやすい味に調整されている。

 特に私のは果物多めなのだ。


 「桃ちゃん、マズかったかしら?」

 「ううん。おいしゅうございました。」

 「じゃあ、何で?」

 「言いたくなったから。」

 「あらそうなの?それにしてもどこから見つけてきたの?」

 「昔のコマーシャルから。」


 夏休みも中盤に差しかかってきましたよ。

 宿題は終わった。

 兄様より少なかったのに遅かったのが、ちょっと悔しい。次は私が早く終わらせてみせる。

 でも嬉しいこともある。

 昼間に時代劇の再放送が増えてて、とってもう・れ・し・いっ。ホッホッホッ我が世の春って感じね(夏だけど)。毎日、充実してるわー。


 さてと、朝ご飯も終わったし、午前中に樹海に行って一仕事(ひとしごと)終わらせてこようっと。

 午後からはテレビを見るぞぉー。

 それに昼過ぎると山でも暑くなるからね~。平地よりは多少は涼しいけれど湿気もあるしね。

 仕事をするなら涼しいうちにやろう。

 桐葉と一緒にお仕事お仕事。


 昼前には本日分を終わらせて戻ってきてたら、神社のところでお祖母様に呼び止められた。

 「はあ、蓮からだな。」

 桐葉がボソッと(つぶや)いた。


 桐葉と一緒に本殿に行き、水鏡がある奥の間に入る。

 そこにはお祖母様と緑姉(みどりねえ)とお菊さんがいた。


 「ああ桃ちゃん、お仕事お疲れ様。

  終わったばかりで悪いけれど、蓮から連絡があったから呼んだのよ。

  水鏡に映せるみたいだから直接柊くんたちと話してちょうだい。」

 「へっ?異世界から連絡?何?」

 「まあ直接話してみて。」

 「はーい。」


 桐葉と一緒に水鏡のところに行って座ると、水面に兄様と蓮の姿が現れた。


 「ああ、いたいた。よかったー。

  ねぇ桃香、ちょっとこっちに来てくれない。桐葉と一緒にさ。」

 「はぁ?急に何言ってんのさ、蓮。」

 「ちょっと蓮、説明しなきゃダメだよ。ゴメンね、桃香。せっかくの休みなのに・・・。」


 その後、桃香たちは兄様から向こうでの状況を説明された。


 「えっ?兄様、夏休みなのにそっちでも学校行ってるの?そんなに学校が好きなの?

  それに蓮も学校行ってんの?」

 「えっ?そこ?別に学校好きなわけではないよ。それにこっちは夏前だよ。

  テッドから頼まれた話の流れでそうなっただけで。

  それより桃香たちの協力が必要になりそうなんだ。お願いできるかな?」

 「えーーーっ。桃香の愛する時代劇が~。桃太郎様が~。ひと~つ」(あっ邪魔された!)

 「おいっ桃香、それは今はいいだろう。それで急いだ方がいいのか?」

 「ああ、桐葉。そうなんだよ。僕も早く依頼を終わらせたいんだよ。

  長引くと夏休みも終わってしまうしね。早く来てくれると助かるよ。」

 「わかった。決まったら蓮に伝えよう。」

 「うん。頼むよ。」


 兄様が言った後、2人の姿が水鏡から消えた。

 桐葉はお祖母様たちと何か話していたようだが、すぐに部屋から出て行ってしまった。

 私はまだぼーっと水鏡を見つめていた。

 すると、目の前に月兎のドアップが、「わっ、何?ビックリした。」


 「な~にボーッとしてんのよ。アンタも早く準備した方がいいんじゃないの?」

 「ああ、至福の時間が減るかと思うとショックで・・・」

 「はぁー?そんなに時代劇が好きなの?」

 「月兎だって推しをしばらく見れなくなったら落ち込むでしょ?」

 「うーん、まぁそうねえ。

  アンタの(しぶ)い好みはわかんないけど、アタシの推しを見られないのは確かにイヤねぇ。

  それよりさ、向こうのことなんだけど、ちょっと厄介(やっかい)かもねえ。

  アタシと連絡取れるようにスマホ持って行きなさいね。持ってんでしょ?」

 「うん。一応。子供用だけどね。」

 「十分よ。ちょっと出しなさいよ。連絡できるようにしときましょ。」

 「えっ? ねえそれって曾お祖母様の?」

 「そうよぅ~。櫻がテレビと一緒にくれたの。」

 「えっ?テレビも?」

 「そう。大きな画面で推しが見られるからもううれしいわ~。」

 「えっ?見れるの?電波は?」

 「やぁねえアンタ、アタシを誰だと思ってんのよ。それくらいできるに決まってるでしょ。」

 「曾お祖母様のなら私の番号も入ってるんじゃないかな?」

 「はぁ~、中身はクリアにしてくれたわよ。個人情報じゃないの?

  まあ、でも神代家の分だけは残ってるわよ。こういうこともあろうかと考えていたんでしょうねえ。

  さすが櫻よ。それでも繋がないとダメでしょ。」

 「あっ、そうか。 ・・・? 」


 月兎は私のスマホと繋がるようにしてくれた。

 この世界の電波とは違うようで、「どこの世界でも繋がるわよ。」って言ってた。

 それじゃあ準備に行こうかなと話を終えようとしたら、水鏡からぴょこっと何かが出てくる。

 えっ?と思いながら見ていたら何と青いウサギが出てきた。


 「月兎、何か青いウサギが出てきたよ。」

 「あらっ、そっちに行ったのね。ラッキー帰ってきて~。 ・・・ 

  んも~う大吉(だいきち)戻ってこないの~?」

 「えっ?名前どっち?」

 「ん?最初付けたのは大吉だけど、ラッキーでも意味は同じようなものでしょ。

  でもねぇ、ラッキーって呼んでも返事してくれないのよー。いけずなんだからぁ。

  でも、その子いい子なのよぉ。」


 うっ、かわいいよぉ。ウルウルのお目々でこっちを見てるー。青というより水色にピンクのお目々だ~。


 「アッシハダイキチトモウシマス。ヨロシュウニ。」(えっ?しゃべってる?)


 「あらぁ、大吉はアンタが気に入ったみたいね。

  多分気が済んだらこっちに戻ると思うけど、しばらくそっちにいると思うからよろしくねー。

  その子けっこう有能だから傍にいると助かると思うわよ~。じゃあまたねー。」


 水鏡から月兎も消えてしまった。

 大吉は・・・目の前にいるね。


 「えっと大吉君、私は桃香、よろしくね。ねえ、しゃべれるの?」

 「ダイキチデイイッス。アッシハモモッテヨブッス。

  ハナセマスガマズケレバネンワモイケルッス。

  タメシニヤッテミルッスヨ。」


(「モモ、キコエルッスカ?」「おおぅ、聞こえるよ。大吉、スゴいね~。」「タイシタコトナイッスヨ。」)


 神代家以外の人がいるときには念話で、とその場で決めたのであった。

 いつの間にか紅葉も奥の間にやって来ていた。

 お祖母様たちは、なぜか呆れたような顔で私たちを見ていたが特に何も言われなかった。

 だからサッサと家に帰って、準備に取りかかった。

 まずは、お祖父様に時代劇の録画を頼まなければ。

 なぜそれかって?

 私の一番の楽しみだからだよっ。これがあるから、異世界でもサッサと仕事を終わらせて戻ってこようって気になる。夏休みに余裕があるうちに帰ってこないと堪能できないでしょう?私のやる気に繋がっているんだから大事なことだ。それが何か?異論はな・い・よ・ねっ!

 お祖父様はどこかな?っと。

 神社と道場にはいなかったからなー。

 書斎かなー?行ってみるか。

 ドアをノックしてみる。

 「はいよ。」(おっ、いるな。)


 「じい、入ってもいい?」

 「おお桃香か、いいぞ。」


 私は部屋に入って頼み事を伝えた。

 異世界に行くことは桐葉から聞いていてみたいだ。

 頼み事も快く聞いてもらえた。やったね。

 テレビのことが気になっていたから、この部屋にあるテレビの方についつい目がいってしまった。

 私はいつも居間にあるでっかいテレビで見ているからなー。お祖父様の書斎にもほとんど用事はないし。

 ここのテレビは居間ほど大きくないなーと思いながら見ていたら、VHSというのが横の棚に並んでいた。

 VHS?何それ?

 近くに行ってよく見るとラベルに寅シリーズと書かれていた。


 「ねえじい、寅シリーズってひいじいじの?」

 「はっはっは、違う寅だよ。今度一緒に見てみるか?」

 「ふーん、考えとく。 じゃあ、お願いねー。」

 「おお、気をつけるんじゃぞ。」

 「はーい。」


 お祖父様が私に付いてきている大吉をチラチラ見ていたが、「この子は大吉、話はお祖母様たちに聞いてねー。」と言って部屋から出ると、廊下で桐葉が待っていた。


 「桃香、準備はできたのか? ・・・ それで、そのウサギはどうしたんだ?」

 「ああ、大吉のこと?水鏡から出てきた月兎のところのウサギ~。

  なぜか預かることになったのー。」

 「アッシハダイキチトイウモノッス。イゴヨロシュウニナ、アニキ。」

 「兄貴?何か見た目とギャップがあるウサギだな。

  こっちの世界ではもっとくすんだ毛色にしておけ。鮮やかな水色は目立ちすぎる。」

 「リョーカイッスヨ。」


 おおっ、大吉の毛色が水色からグレーっぽい色に変わったよ。


 「桐葉、ちょっと着替えてくるから本殿の奥の間で待ってて~。」

 「わかった。 遅くなるなよ。」

 「はーい。」


 私は急いで自分の部屋に向かった。

 浅葱(あさぎ)色の膝丈のワンピースの下に紺の短パンを穿()いている。

 そしてポシェットを斜めがけして終了。

 このポシェットは異世界ではマジックバックになる優れものだ。こっちの世界では普通のポシェット。

 さて、行くか~。スマホも忘れずにっと。

 おっとその前にお昼ご飯を食べなきゃ。母様に(しか)られるよ~。

 メニューはつけ(めん)と抹茶プリンだー。まずは麦茶をゴクッと・・・「いっただきまぁ~す」。

 はぁ~っ美味しかったよ~ん。満足満足。「おごちそうさまでした~。行ってくるよー。」っと言って出て行く。

 後ろから「気をつけるのよー。」と母様の声が聞こえた。「はいよっ。」と答えて神社に向かった。


 奥の間では桐葉と大吉が待っていた。

 桐葉は紅葉とも打ち合わせしていたようだ。


 「お待たせー。月兎よろしく~。」


 月兎に呼びかけると、すぐに奥の間に兎の形で空間が開いた。


 「向こうまで最短で繋いでいるわよ~。」

 「わ~い、ありがとう。」


 お祖母様たちに見送られて、私と桐葉、そして大吉は異世界に向けて出発したのだった。 

次話から週1~2話投稿になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ