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異世界の管理人  作者: 東風
第2章
24/34

24 異世界での学院生活Ⅰ

 「ええっ、本当にシュウなの?髪の色が全く違うから別人に見えるわ。

  よく顔を見せて。 ・・・シュウだわ。レンはわかるわ。少し大きくなったかしら。

  久しぶりね。 2人とも元気だった?」


 「おいおい、ブランシュ、少し落ち着け。」


 「だって、お兄様・・・ でも、そうね。 私、動揺しているわ。」


 ノルト辺境伯邸に着いたのは夕方前だった。

 邸の前では、ブランシュが待っていたんだ。

 隣で苦笑しているのが辺境伯かな?

 その後、応接間に迎え入れられた。

 ブランシュの夫であるノルト辺境伯はピーターという名前で、同時期に王立学院に通っていたらしい。

 ピーターの方が2学年上だったようだが、学生自治会(生徒会のようなものか?)の活動や魔法の授業で一緒だったらしい。

 ブランシュは段々とピーターのことが気になっていったようだけど、ピーターの方は一目惚れだったってさ。

 で、ブランシュの反応を見て、自分の(おも)いを伝えた後で、シルヴェスト公爵家にもノルト辺境伯家から婚姻の申し入れをしたんだって。

 シルヴェスト公爵家って、公爵家なのに恋愛結婚が多いらしい。珍しいんじゃないか?

 ブランシュがいいと思っていて、家格も問題ないということで、2人が学院在学中に婚約、そしてブランシュが学院を卒業した半年後に結婚したそうだ。

 ピーターとはテッドも付き合いがあったらしい。

 辺境伯同士だからかな?って思って聞いたら、なんとテッドは今は公爵になってるんだって。

 時の流れを感じるよね~。

 でもマーカスさんは、まだ宰相なんだってさ。辞めさせてもらえないらしい。

 トラスト辺境伯は弟のマルクが継いでいるらしいよ。

 ブランシュとマルクは国の端と端に離れちゃったんだね~。

 マーカスさんとベルタさんは王都にいることが多いらしいから、こちらの方が近いね。

 テッドがここに来ていたのは、ブランシュへ出産祝いを持ってきてたんだって~。

 ブランシュは一月(ひとつき)前に長男を無事出産していて、体調を考慮して今になったんだってー。

 お披露目会は後日大々的に行う予定らしいよ。

 色々と話している間に、一緒に夕食をいただき、食後のお茶までいただいたよ(テッドたちは夕食からお酒だったけどね)。

 話の中で、僕たちがなぜこの地にいたのか聞かれたから武者修行のためって答えたよ。

 そしたら、どのくらい?って聞かれたから、夏休み中と言ってもわからないだろうから大体の日数で答えた。

 テッドが少し考え込んだ後で、「なぁ頼み事してもいいか?」って言ったから「内容による。」って蓮が答えてた。

 詳しくは明日ってことになって、今夜はこれで休もうってことになったんだ。

 あれ?いつの間にかブランシュがいなくなってるな。

 いや、夕食後、子どもの様子を見てくるって言ってたなあ。そのまま休んだのかも。

 うーん。ピーターの前でどのくらい話してもいいかわかんないから、ちょっと気を(つか)うね~。

 なんか疲れたからもう寝るよーー。オヤスミ~。



 翌朝、テッドたちと一緒に朝食を取った後、僕たちはピーターの執務室に案内されたんだ。

 何の話かな?

 ソファーに座ると目の前にお茶とお菓子が置かれた。

 んー?話、長くなるのかなー。

 部屋の中には、ピーターとテッド、僕と蓮の4人だけだ。

 これも秘密の話っぽい?

 テッドの頼みたいこととも関係があるのか?

 最初に話し出したのはテッドだった。


 「シュウは何歳になったのかな?」

 「ん? 今は11歳ですが、年内には12歳になります。」

 「じゃあ、この前会った時は何歳だったんだい?」

 「あの時は7歳でしたね。」

 「そうなのか。・・・4年か。 いや、こっちはあれから6年経ってるんだよ。

  時間の流れが違うのかな?それにしてもシュウは身長が高いね。16歳くらいにはなってると思ってたよ。」

 「テッド・・・ 」


 僕はピーターの方をチラッと見た。

 テッドはそれで察したようだ。


 「ああ、言ってなかったね。ピーターもシュウのことを知ってるんだよ。6年前、異世界から呼んだ聖女に協力した“渡り人”の冒険者だって。あの件を知っているうちの1人だよ。

  それにシルヴェスト公爵家の初代が“渡り人”だってことも知ってる人はいるからね。」

 「ああ、そうなんですね。いえ、どこまで話していいのかなと思って気になっていたので。」

 「それはこっちが悪かったよ。最初に言っとけばよかったことだ。

  じゃあ、話を戻すけど、この話は昨夜頼みたいことがあるって言ってたことに(つな)がるんだけどね・・・ 」


 その後、テッドから詳しい話を聞くことになったんだ。

 それは、僕がちょっと驚くような内容だった。

 まず僕が驚いたこと。

 それは、イーストウッド国に聖女がいるということだ。

 マジではぁ?だよね。じゃあ何でリリーを呼ぶ必要があったのさ、って思ったよ。

 でも、話を聞いてたらイロイロあったんだなーって。

 その聖女は、ノルト辺境伯の分家筋フリーレン子爵家の孫娘ミーナ15歳だ。

 6年前だと9歳だから、聖女だとわかっていたはずだ(この世界では7歳の時に協会で、魔力の有無や加護についての確認をするらしいからね)。

 ただ、この子はイーストウッド国ではなくノースランド国で生まれてるんだ。

 何とフリーレン子爵の嫡男だった父親が、ノースランド国の娘と結婚するために駆け落ちしてノースランド国に行ってしまったんだってさ。

 この嫡男には家同士で決めた婚約者がいたから、まあ親は当然反対するな。ついでに外国の女性だしね。

 幸いなことに相手の女性にも好きな人がいたようで、そっちが上手くいったから()めずに解決できたらしい。

 それはよかったよ。この世界、勝手に婚約破棄されたら女性の方が大変でしょう?(僕たちの世界の昔の価値観に近いって感じるからねー。)

 一人息子らしいけど、それから勘当(かんどう)状態だったそうだ。

 で、父親がずーっと子爵家当主だったんだけど、10年くらい経って息子について調べたらしいんだ。

 母親である妻が、死ぬ前に一目(ひとめ)だけでもいいから息子に会いたいと言い出したから。

 子爵の奥さん、1度病気で死にかけたらしい。一応回復はしたけれど、それ以来時々寝込むことが増えたらしいよ。意外と愛妻家なのかな?

 調べた結果、ノースランド国のイーストウッド国との国境に近い村で家族と暮らしていることがわかった。

 奥さんの一族が多く住む村だったらしいよ。

 その奥さんの一族というのがエルフを先祖に持つ一族で、薬草に詳しくて村では薬を作って売っていたんだ。

 そこに奥さんと娘の3人で暮らしていた。

 娘のミーナは生まれたときから、この世界の聖女の色(ピンクゴールドの髪、金の瞳)を持っていた。

 だから、7歳の時に光の魔法が使えるとわかっても周りは不思議にも思わなかった。

 そもそもノースランド国はエルフや妖精がいる国だ。

 光の魔法を使える者も他の国に比べて多いから、特別視されることもなかったのだ。


 そんなある日のこと、子爵家からの使いの者が手紙を持ってやって来た。

 病気になって体が弱った母親が息子に会いたがっていると。

 妻子を連れて来てもいいとは書かれていたが、息子は非常に悩んだ。

 母親には会いたいが、娘のことがある。

 自分の国に娘を連れていったら、聖女の色を持ち光の魔法を使えるのだから、国や協会に取られるかもしれない・・・と心配になったのだ。

 妻の一族からも止められた。

 その頃は、各地で瘴気が増え魔獣も増えていた。

 ノースランド国は自国で瘴気を浄化できるが、イーストウッド国では各地で魔獣が増えて大変だと聞く。

 そんな中にミーナを連れていったら、無理矢理浄化の手伝いをさせられるかもしれない。

 まだ10歳にもなっていないのに・・・。

 それにノースランド国は、自国から民が他国に行くのを制限していたのだ。

 これは自国の民を守るためでもあった。

 当時は、浄化できるということでノースランドの民が(さら)われて売られるということが起こっていたのだ。

 だから息子は、世の中がもう少し治まったら帰るという(むね)の手紙を書いて使者に渡した。

 そして、ようやく子爵家にやって来たのは昨年のことだったそうだ。


 子爵夫人は息子が戻ってきてとても喜んだらしい。

 そして子爵も、あれから10年以上経ったこともあり、息子が妻子を連れて戻ってきたのを嬉しく思っていた。

 そこでこのまま一緒に暮らさないかと息子に伝え、息子も両親を見て、大分年を取ったなと感じていたため受け入れた。

 どうやらこちらに戻る前に、イーストウッド国でそのまま暮らすことになるかもとの話を妻とはしていたみたいだった。

 子爵夫婦は孫娘もかわいくてたまらなかったようだ。

 ただ、髪と瞳の色のことがあったから、すぐにノルト辺境伯にも連絡があり、辺境伯から王宮に連絡したようだ。

 その後、王宮から孫娘を王都にある王立学院へ入学させるよう連絡が来た。

 王都には神殿もあるから呼び寄せたかったのかな?


 イーストウッド国の王立学院は、ほとんどの貴族の子どもが学ぶ学校である。学ぶ期間は15歳から17歳の3年間になっているが、能力や家庭の事情によって13歳から18歳のうちの3年間通えばいいようになっている。

 また、平民であっても魔力があれば通えるようになっている。学費免除で通えるのだ。

 学ぶ内容は、必修は魔力操作や一般教養に関するものになる。その他は社交に関するものや魔道具の製作、領地経営、騎士や役人になるための内容など、卒業後の進路によって選択できるようになっている。

 進級や卒業は、必要とされる講座数を受講し、試験に合格すれば認められる(試験は講座にもよるが年1回か2回行われる)。

 優秀な人の中には、卒業認定試験を受けて1年や2年で卒業する者もいる。逆に、試験に合格できなければ次年度再度受講しなければならない。一応、6年までは在籍できるが、それでもダメなら除籍となる。甘くはないのだ。

 まあ、王立学院以外にも学校はあるようだから、他の学校に行く者もいるようだ。ただ貴族の大半は王立学院に行くから社交の面で困ることはあるかもしれない。


 さて、その孫娘ミーナ・フリーレンは今年から王立学院に入学した。

 子爵家は王都邸を持ってないため、彼女は王立学院の寮に入った。

 入学してしばらくは何の問題もなかったようだ。

 ところが、半年ほど経った頃からあまりよくない噂がテッドの耳に入ってきた。

 テッドがピーターから聞いていた話だと、浄化や癒しができる光の魔法を持つにふさわしい心優しい少女ということだった。

 ところが、噂によると真面目(まじめ)温和(おとな)しくしていたのは最初の数ヶ月だけで、途中からは勉強もあまりせず男子学生と遊び歩いている、と言われるようになった。

 マナーもなってないし、婚約者のいる男子学生にも()()れしくしていて、女子学生と()めることも多いと(それは大変だよね)。

 現在、王立学院には第3王子であるロジェ殿下が最終学年に在籍している。

 ミーナは神殿でも「聖女」と認められたため、神殿だけでなく国からも保護されることになっている。

 そのため、王立学院ではロジェ殿下がミーナの相談役となっているらしい。

 今までは殿下がミーナに関する揉め事も何とか(おさ)めてきてはいる。

 しかし、近頃になって殿下とミーナの距離が近すぎるのではないか、ということも(ささや)かれるようになってきているみたいだ。

 第3王子にも婚約者はいる。西のガルブ辺境伯の娘エウラリア嬢だ。この噂が辺境伯の耳に入れば、娘を溺愛しているそうだから王宮に苦情ぐらい言いに来るだろうとオヴニル王は思っているみたいだ。


 「・・・王も学院でのことを気にはしているが、学院内部のことや学生間のことまで詳しく把握するのは難しいようでね。」


 そこまで話すとテッドは一息入れて、お茶に手を伸ばした。


 「それでテッドは僕に何を頼みたいの?」

 「うん、2人に生徒として王立学院に通ってもらいたいんだよ。」

 「えーーっ、2人って僕と蓮?」

 「そうだよ。 そして学院内の様子を探ってもらいたいんだよ。」

 「僕11歳なんだけど・・・。」

 「大丈夫、2人とも13歳以上に見えるから。」

 「僕、武者修行に来たんだけど・・・。」

 「大丈夫、休みの日に行けばいいよ。 どこの領地でも行けるように協力するから。」


 その後、ピーターからもお願いされたが即答は避け、蓮と相談する時間をもらった(ピーターからしたら、ノルト辺境伯と関わりのある家の娘が問題起こして王家や他家と揉めることになったら、結局自分も関わることになるしね。問題は小さいうちに対処したがいいよね。今、どのくらいの大きさか知らないけど)。


 「ねぇ蓮どうする?」

 「うん、俺はちょっと興味あるかな。 その聖女にさ。」


 ああ、これは関わる気だな。

 せっかくの夏休みなのに、異世界で学校に行くことになるのかあ・・・?  

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