4話
「なぁスペース。結局作戦ってなんなんだだ?」
「海が影に潜ってる間に私が制圧する。」
「それだけ…?」
「15分潜れるんだろ?多分問題ない。」
「マジか…」
なんとなく予想はしていたが、それをはるかに上回るシンプルさだった。流石にこの広い施設から俺の父親、つまりボスの部屋を見つけ出し、制圧するのに15分で済むわけがないのだ。
「海はどれくらい動けるの?」
「並の男子と同じくらいには動ける。」
「なら銃や魔法は避けられそうだね。」
「待ってくれ無理d…」
とっさにスペースが俺を庇うように前に出ると、奥の方から足音が聞こえてきた。
「合図したら影に潜って。15分間出てこないでね。」
そう言い捨てるとスペースは駆け出していく。足音の聞こえた方へ向かっていくと、時期に男達の唸り声が聞こえてきた。俺もついていくと、俺の家に押しかけてきた奴らに似た3人が倒れていた。
「他にはいないみたいだ。とりあえず進もう。」
「…」
「どうかしたのか?」
ここ、なんとなく見覚えがある。何か忘れてる気がする。ここは昔俺が住んで…いや、教育されていた場所でもある。父親の部屋は場所さえ教えられず知らなかったが、ほんの少し、僅かに覚えている。確かいくつか罠があったような…
「あ!思い出した!!この先の扉、奥に隠し部屋がある!!」
俺が叫んだ瞬間、扉が開き男達がぞろぞろと出てきた。
「…ざっと30人か。」
「悪い、はやく思い出せればよかった。」
「いや、いいよ。手早く済まそう。」
刹那、静寂が流れた後、
「潜れ!!」
俺は影に潜る。スペースは何か強烈な魔法を繰り出したようだ。様子は見えないが、スペースの影にいるのでほとんど動かず男達を相手していることがわかる。
「こいつ、何もんだ!!」
「近づけねぇぞ!!」
声からしてスペースが優勢らしい。俺は安堵しながら影に潜む。すると、
「アレを使え。」
後ろの方から声がした。アレ?なんのことだ?嫌な予感と共にふと、昔の記憶が蘇ってくる。
『この弾は、いかなる魔法も弾く。世界でここにしかない代物だ。海、お前がこいつを使いこなせるようになることを期待しているぞ。』
銃は魔石の力によって発射される。そのためこの弾を使うことは不可能なのだ。
『父様、私は_______』
『お前は特別_______存在だから____…。』
『…はい』
俺は昔の記憶を封じ込めていた。忘れたいと願っていた。
しかし、その記憶が今、少しずつ、脳裏に浮かんでくる。
「あれ、俺って特別…だった…?」
鈍い音と共に体に強い衝撃が走る。
ん…何か聞こえる…?
「__」
「…い」
「海!!!」
「あ…」
スペースが俺の元に駆け寄ってくる。俺、今何してたんだっけ…そうだ、撃たれたんだ。
胸が紅に染まり、温かいものが流れていく。
「なんで、なんで回復魔法が効かないんだよッ!!」
俺は薄っすらと目を開けながらスペースを見る。
あぁ、取り乱していても綺麗だな…