プロローグ
世界は繰り返す。繰り返している。
同じ過ちを。
あぁ_____寒い。
真っ白な矢が身体を打ちつけ、思わず目を瞑る。まわりには何の気配もなく、無造作に木が横たわっているだけ。もう8万年この景色の中で生きている。わずかに残った洞窟を移動しながら暇を潰していたが、流石に飽きた。今まで通りならば、あと1万年程度でこの氷の世界は終わる…はず。
「新しい文明、起こらないかな。」
約1年に一度、この言葉を呟きながら1人の少女は、ただ待っていた。
どれくらい経っただろう。気づけばまわりにはたくさんの人がいた。氷の世界は終わり、今や教科書の中の世界になっている。今回の文明は太陽暦とやらを使っているらしい。前回は太陰暦だったのに。響き的にはあっちの方が好きだったが、自分でどうこうなる問題ではないので諦めた。
では今、私はどこにいるのか。ここは日本。多様な文化が発達した、世界でも有数の魔法先進国だ。人口の大半が義務教育によって魔法を習い、扱う。私の長すぎる人生の中で、一番進歩している文明だといえる。
だからこそ、期待してしまう。
私を終わらせる人が現れることを。
だが、この時は思いもしなかった。たった一つの出会いによって、この退屈な人生が終わりを告げることに。