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①正義のヒロイン ジェラートガールは諦めないっ!

ニチアサの某女児アニメに思いを馳せて書きました!

あるあるネタをぶっ込んでますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

私は大切な人を守るために戦う。

たとえ、それが罪だとしても――。


◆◆◆

 わたし、佐藤愛守さとうあいす。天海中学二年生。

 運動が得意なごく普通の女の子だったのに、ある日突然、アマール王国から来た妖精ジャリーに出会って、なんと伝説の狂戦士シュガールのジェラートガールに変身しちゃった!

 世界を激辛にしようとする【グレン帝国】と戦うなんて、聞いてないよ~!

 頼りになる仲間、チョコガールとクリームガールも加わわって、今日の午後も茶会日和~っ!



 ◆◆◆

『第10話 新たなる力 アフヌンロッド!』


 曇天空の下の採掘場――。

 暴れまわる大型怪人セチガライナーの上位互換、メッチャセチガライナー。厳しい現実を叩きつけられ、わたしたち正義のヒロイン【スイート♡シュガール】の三人は、手も足も出ずに地に伏していた。


「ジェラートガール! チョコガール! クリームガール! 今助けるジャリ!」

「ハハハッ! 無駄無駄ぁっ!」


 敗北寸前のわたしたちを見て泣き叫ぶ妖精ジャリーをあざ笑う、敵の幹部ガラムマサラ―。彼はジャリーのもふもふとした尻尾を鷲掴みし、ぶんぶんとタオルのように振り回している。


「うわー。目が回るジャリ~」

「弱ぇ弱ぇ! 妖精なんて、とんだ足手まといじゃねぇか!」

「ジャリーを放しなさいっ!」


 力を振り絞り、奮い立つわたしは、全力で怒っていた。大切な友達を侮辱するなんて、許せない。ジャリーはわたしの家族同然なんだ。


「ジャリー……、友達のためなら、わたしは何度だって立ち上がる!」

「ジェラートガールにだけ、いい格好はさせないわ」

「あたしだって……!」


 負けじと立ち上がるチョコガールとクリームガールと頷き合い、わたしたちは心を通わせた。

 友との約束を守るために。

 夢見た明日のために。


 すると、胸のブローチが光り輝き、そこからひと振りのロッドが飛び出して来たではないか。

 アフヌンロッド――。

 新たなる力の名前が、わたしの口から自然と流れ出てくる。


「二人とも、いくよ!」

「ええ!」

「はい!」


 わたしたち三人はガラムマサラーとメッチャセチガライナーにロッドを向け、心を一つにして叫んだ。


『シュガール・アフタヌーン・ティーパーティーーーッ!』


 ロッドの先からまばゆい光がほとばしり、メッチャセチガライナーを灰にして、さらに後方にいたガラムマサラーに迫り――。





(はい! 必殺技OFF! 10話でマサオを退場させたらあかん!)


 私が仲間に気取られないようにロッドをサッと引っ込めると、シュガール的裁きの光はガラムマサラーに届く寸前で消え失せた。ギリギリセーフである。


 そして死を悟っていた顔面蒼白のガラムマサラーといえば、「や、やばかったぜ」と震えながらジャリーを放り出している。


 すまない、ガラムマサラー。怖かったでしょう。そんな言葉をかけたい私だったが、立場上、それはできなかった。

 できることは、小者っぽく「覚えてろ、シュガール! 世界を必ず激辛にしてやる!」と捨て台詞を吐いて、謎空間にシュッと消え去るガラムマサラーを見送ることだけだ。


(今日の負け犬の遠吠えも最高だよ、ガラムマサラー)


 無意識に溢れ出すのは涙か愛か。


 チョコガールとクリームガールは、私の涙を「ジャリーを助けることができた感動の涙ね」と、良いように言ってくれた――が、しかし。


 ふわふわの可愛いうさぎのような妖精ジャリーが、瞳孔ガン開きでこちらを見つめているではないか。こっわ。


「ジェラートガール。次回予告が終わったら、集合ジャリ」

「え? わたし、アフヌンロッドの素振りで忙しいんだけど」

「集合ジャリ」


 二回言いやがった。これは、気がついている目だ。


 私が、前世の記憶持ちの転生者であることを。

 私の中身が、三十歳の女児アニメオタクであることを。

 私が【スイート♡シュガール】の悪役ガラムマサラーを推しまくるあまりに、戦闘で手を抜いていることを。

 私が、ガラムマサラーを最終回まで生かす計画を練っていることを。


「……あ〜あ。わたし、ジャリーが人型になって、シュガールに変身しちゃう方法知ってるんだけどな」

「ジャリ……?!」


 私がぽつりと発した言葉は、この糖度ジャリジャリ妖精の心にヒットしたらしい。ジャリーは、「ジャリーもダンスを見るジャリ」と、集合命令を取り下げた。


 これでしばらくは安心だ。なんと言っても、私たち【スイート♡シュガール】の絆はとても強いのだから。

 オネショタ好きのチョコガールこと佐東千代子には、ショタ幹部のタバスコスを斡旋済み。

 百合好きドMのクリームガールこと左藤みるくには、ドSでクールな少女幹部イチミーナを好きにする権利を確約した。


(ガラムマサラーを退場させようとする者は、何人たりとも許さない! 私が彼を最終回に連れていく!)


 私が目指すガラムマサラー生存の最終回への道のりは、かなり辛口だ。けれど、私は突き進む。正義のヒロインは、絶対に諦めないのだから!


☆次回、追加戦士 佐島杏子買収へ!

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