12. 不死者の世界4
先日UPするはずが上げられてなかった…
「なるほど、うまく考えているのね」
「豪華な住宅に住むというのは難しいですが、普通の暮らしはできてます。私たちにとっては、十分ですよ」
「他にはどんな制限があるの?」
「そうですね……一番大きいのは、移動制限でしょうか」
色々あるが、まず最初にあがるのはこれだろう。
私たち不死者が存在できる場所は限られている。
海外はもとより、国内でさえ自由に移動はできない。
不死者が生者と同じ場所に存在することは許されないのだ。
「……それは私も知っているわ。住む場所が限られているものね」
「はい。日本の場合、不死者の住む場所は、主に無人島ですが、本土にも多少あります。残念ながら自由な移動はままならないですが」
「それは本当に残念だわ」
「住めば都ですよ。このあたりは気候が温暖で、海や自然が身近なのでリフレッシュもしやすいですし」
「そう……」
話しているうちに、三度目の点滴が終わった。
器具を外しつつ、薬の入り具合を確認する。身体におかしな起伏はない。
皮膚変色などの異常も見当たらないので、問題はないと見ていいだろう。
点滴が入っていた箇所のみ、小さな穴があいている。
通常なら、血液が流れてすぐふさがり、気にも留めない部分も、死後はぽっかりあいたまま自然にふさがることはない。
保護成分入りの修復剤を塗り込んでいると、その様子をじっと見ていた麗華が呟いた。
「……生きていけるっていうのはわかったわ。でも、ここで私は何をすればいいの?」
騒いでいたのが嘘のように暗い声。同じように暗い瞳で、私を見つめる。
それに対し、返すのは我ながらだるそうな一言だ。
「さぁ?適当にすればいいんじゃないですかね?」
聞きようによっては投げやりのような言葉に、一瞬きょとんとした後、麗華は苦笑した。
「せめて少しは考えなさいよ、まったく」
「すみませんねぇ、そういうの聞くの、もう飽きたので」
ここに来た人たちは皆、そうだ。
確かに死んだはずなのに、いや、死んでいるのに生きている、そんな状態になったが故に、どうしていいのかわからない。
そうして、途方に暮れる。混乱状態になることも多い。
「どうしても死にたいのであれば、いつでも相談に乗りますので、ご安心を!」
「あんたね、医者ならせめて死ぬ前の相談に乗りなさいよ!」
暗かったのが一転、元気よくぷりぷりと怒りだした麗華にはいはい、と適当に返事をしながら、全身にクリームを塗りたくってあげた。
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・貧乏ぼっちのモブロード→ https://ncode.syosetu.com/n9310ed/
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