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5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ

百人戦争

 3000年以上昔の太古より、魔王は100年~200年に一度のペースで復活し、配下を率いて人間界を襲った。

 襲われた人々もまた魔王配下の魔物にされ、魔物は99体まで膨れ上がる。


 その度に人間側は100人の勇者を集め、100体の魔王軍と戦い、配下となった人々を救って魔王を封印してきた。

 その戦いを『百人戦争』という。


 人間側は魔王復活に備え、その戦いを古文書や歴史書に記し後世に伝えてきた。

 ――――そしてまた今回も魔王復活の時。



「はぁ……っ……はっ……」

「大丈夫か!!」


 100回以上にわたる長時間の戦いに、体力を削られた人間側の一人の男が膝をついた。

 彼は先程から徹底的に魔王に狙われ、攻撃されている。

 周りもサポートしようとするが、魔王の攻撃から逃れる(すべ)はない。


「いや、大丈夫だ……もう少しでこの戦いに決着がつくんだ。ここで負けていられるか」


 魔王の配下はあとわずか3体だけ。人間側の勝利は目前と思われた。

 しかし魔王は余裕を崩さない。


「ハハハハ。その意気だ。またお前を指名してやろう。……この遊びは実に楽しいな!」

「いざ尋常に……勝負!」


 配下の魔物と男の一対一の勝負。しかし男は負けてしまう。


「そんな……ああ、せっかく人間にもど……れ……たの……に」


 アッという間に男の涙が凍りつき、その皮膚は黒く染まり、口は耳まで裂けた。黒い蝙蝠の様な翼が背中に生える。

 男は魔物に姿を変え、魔王側の陣に加わった。


「ああ、まだ続くのね……」

「くそう……!!待ってろ、きっとお前を取り戻す!!」


 人間側の仲間は、ある者は涙し、ある者は歯噛(はが)みする。


 『百人戦争』の恐ろしいところはここだ。血は流れない。

 しかし、仲間と配下を一人ずつ奪い合う。

 長い戦いの中で人は疲弊し、仲間の裏切りに傷つき、やっきになって取り戻そうとする。


 それでも、どちらかが全滅するまでは戦いを止めることはできないのだ。


 今や195人になった人間側は、しっかとその両手を全員で繋ぐ。

 皆の心をひとつにして、腕を振り上げ、歩を進め、もう100回以上唱えた呪文を全員で詠唱する。


「せーのっ」







「勝~ってうれしい 花いちもんめ~!!」


お読み頂き、ありがとうございました!

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5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ
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― 新着の感想 ―
[良い点] こっこれは……っ! 珍しくオチが読めた……! 読めたぞ……! と鼻の穴が開いて興奮したら、そのあとすぐ、オチがきて。 あっ。 これは全然読めたうちに入らんな……orzとなりました。 […
[良い点] 壮大な遊びでした(笑) しかしやってる彼らはおそらく真剣そのものなのでしょうね。
[良い点] 平和(笑) へい‥わ(-ω- ?) いや、へいわじゃないな、観てる方はともかく、やってる方は確実に病むわ(笑) 花いちもんめとは思いませんでした。 てっきりポーカーとかかと(笑)…
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