表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/70

24話 Re:ゲロから始める地下迷宮生活。


 24話 Re:ゲロから始める地下迷宮生活。


(言うべきか? ただ『なぜ知っているのか?』と問われた時、答えようがない。……でも、超特A完食の経験値、すげぇ高いんだよなぁ。どうすっかなぁ。うーん……もう俺が設計したって言っちゃうか? それによって生じる問題は色々とあるけど……まあ、いいや)


 決心すると、才藤は、立ち上がって、


「あのですね、実は、超Aランチを10回食べると、その上の超特……うぇ……うげぇえ……うごほぉおお」


「な、なんだ? は?」


「うえっ……うごぉ……うえぇ……おろろろろろ!」


 のた打ち回った後、

 才藤は、胃の中のものをすべて吐き出した。


「うわっ、きもっ」


 全力で距離をとろうとする『極めて一般的な女子的対処』に興じる華日とは対照的に、


「零児ぃ! どうした?! 何か悪いものでも食べたのか?」


 聖堂は、こめかみに大量の汗を浮かばせるという『非常に珍しい』焦った表情で、才藤の背中を、火が出るんじゃないかというくらいの勢いでさすっている。


 才藤のセカンドゲロで制服が汚れたが、そんな事はお構いなしに、とりだしたハンカチで、才藤の口元を優しく拭い、


「救急車呼ぶか? おい、聞こえているか? 返事をしろ!」


「う、うるせぇ……耳が痛い……離れろ、いいから……は、吐いたら……急激に楽になった……だから、離れろ……うっとうしい……はぁ……はぁ」


 強がりではなく、確かに、顔色がスゥーっと、

 目に見えて、元に戻っていた。


 嘔吐による喉の痛みは残っているが、

 気分そのものは正常に戻っている。


「はぁ、はぁ……な、なんだったんだ……今の異常な嫌悪感……うぇ」




 ★




「本当に、もう大丈夫そうだね」


「はい、すんません、羽金さん。不快な想いをさせて」


「ああ、気にしなくていいよ。ボク、一年の時、居酒屋とカラオケでバイトしていたから、吐瀉物としゃぶつの掃除は慣れているんだよね」


「バイト……ああ、経験値稼ぎすか」


「そうそう。社会勉強にもなったし、お小遣い稼ぎにもなったから、色々と美味しい経験値稼ぎだったよ。居酒屋もカラオケも、仕事内容がしょうに合っていて、凄く楽しかったしね。君もどう?」


「ぃや、あの……」


 才藤は、そこで、


(ためすか? おそらく、十中八九、コレが原因……今後の為に、確定させておくか)


 試しに、


「実は、バイトはコスパ的に、あんまり良くなくて、出来れば、フラン……うぅううう……ぐぅうううう……かぁあ」


「ちょちょ、また?」


 慌てて、才藤の口元にバケツを持っていこうとする羽金に、


「い、いえ……だ、大丈夫です。もう胃の中、何もないんで……うぅ……はぁ……」


「ほんと、病院行った方がよくない?」


「いえ、大丈夫です……原因わかっているんで。ここ来る前に、期限切れの牛乳にチャレンジしちゃって、それで、内臓をやっちゃっているだけです」


「ものすごい自業自得だね」

「ほんと、おっしゃる通りで」


 言いながら、才藤は頭の中で、


(間違いないな。――『キツいバイトを100時間する』より『フランス映画を五本見た方』が、経験値を多く獲得できるんだが……そういう製作者しか知らない情報、あるいは、情報に『直接』繋がるキーワードを口にしようとした瞬間、また強烈な眩暈めまいと吐き気がした。どうやら、俺の脳には、ネタバレ防止フィルターがかかっているらしい。……いや、まあ、確かに、ネタバレ禁止的なルールは設定した気がするけど、その設定って、こういう形で再現されんのかよ……いやいや『特定ワードは口に出せない』とかで良くない? 『言おうとしたら思いっきりゲロを吐く』ってなんだよ、ふざけんな)


 辟易へきえきしていると、扉が開いて、体操服に着替えた聖堂が現れた。


「おいクズ、胃薬、もらってきたぞ」


 ぶん投げられた二つの小瓶とペットボトルを何とかキャッチする。 

 ガス〇ールとソ〇マック。

 チョイスとしては極めて無難。


 すぐさま、胃の中に放り込む。


「ぷはぁ、くはぁ……あー、喉いてぇ……ジンジンする……なんで、俺ばっかり、こんな目にあうかなぁ。ほんと、俺の人生、おわってるわぁ……死にてぇ……いい自殺方法ないかなぁ」


「何度も言わせるなよ、クズ。貴様を殺すのは私だ。食中毒や自殺なんかで死んだりしたら、八つ裂きにして殺すぞ。私に殺されるその日まで、出来る限り、健康で過ごせ。いいな。クズ野郎。………………返事ぃい!」


「耳が痛い。わめくな、うぜぇ」


 そこで、扉が開いて、


「もう掃除終わった? ……んー、まだ気持ち悪い臭いが残っているわね。最悪。ほんと、なんなの、あんた。あたし、あんたに会ってから、不快な思いしかしてないんだけど」


「……震えるくらいミートゥーですねぇ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは才藤が『新しく見つけた』 という偶然を装う必要がありそうですね。 タイトルのセンスが良すぎて草。でも、何故 わざわざゲロw 別に、不快感に襲われるとか、 気絶するとかでもいいのに、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ